8月19日から電動マイクロモビリティシェアリングサービス「Lime(ライム)」の日本展開をスタートしたLime株式会社(以下、Lime)は、2024年度末までに提供車両台数を2,000台、2030年までには100倍の2万台へ拡大する予定だといいます。
9月6日に実施されたメディア向け説明会では、自社生産・設計の車両におけるサービス拡大のためのキーポイント、日本での事業展開に関する展望や課題などが発表されました。
コロナ禍を乗り越えたLimeの強み
電動バイクや電動キックボードなどのシェアリングサービスは、短距離移動の環境にやさしい手段として注目を集め、世界中で急速に普及しているといい、その市場規模は2030年までに3,600億ドル、2035年までには5,200億ドル(日本円換算で約76兆円)にものぼると予想されています。
そうしたなか、2017年に創業したLimeも、現在では世界280都市以上でのサービス展開、また新規ユーザー900万人超えなど著しい成長を遂げています。
しかし、今日に至るまでの道の地は決して楽な道程ではなかったそうです。Limeの親会社Neutron Holdings, Inc COO・ウッディ・ハートマン氏は「コロナ禍の折には、慎重を期した対応のため全世界の当社サービスを停止しました。その影響は大きく、レイオフや12都市からの撤退など、非常に難しい時期でした」と当時を振り返りました。
大手電動キックボードシェアリングサービス会社が経営破綻もするなか、Limeが成長を続けてこられた理由をハートマン氏は「自社生産・設計の車両にある」と強調しました。壊れにくく修理しやすい車両の開発で、各モビリティの収益性を向上できたといいます。また、各都市との良好な関係構築にも尽力したそうです。
日本における事業展開
8月19日から、電動マイクロモビリティシェアリングサービス「Lime(ライム)」の日本展開が開始しています。
東京都6エリア(渋谷区・新宿区・目黒区・世田谷区・豊島区・中野区)において40カ所以上のポートに200台を提供。最大の特徴は、「電動キックボード」にくわえて、国内で初めて、座って乗る「電動シードボード」も提供するということです。
利用料金は、100円(基本料金)+30円/分、サブスクリプションサービス「LimePass」だと30分/1日490円、60分/3日890円、160分/7日1,980円、300分/30日3.480円。Limeアプリから車両予約で利用可能。
日本のマイクロモビリティ市場については、「潜在的な需要が高い」とし、利便性向上のための密度向上と新サービスの提供を進めていくそうです。
具体的には、2025年3月までに関東地方の主要都市、その後関西地方への進出を計画しているとのこと。サービスで提供している電動モビリティは8月現在で200台ですが、2024年12月末までに2,000台、2026年3月末までに2万台へと拡大し、2030年までに全国展開を目指すとしています。
Limeは「電動マイクロモビリティを公共交通手段として発展させカーボンフリーでサステナブルな未来をつくる」をミッションにしています。実現のために、日本におけるさまざまな社会問題にも向き合い、解決方法の1つになることも目標に定めているとのこと。
三井住友海上と包括連携協定を締結
三井住友海上火災保険株式会社との間で、電動マイクロモビリティの普及に向けた包括的パートナーシップを締結したことも発表されました。
エコシステム構築を目的とした包括連携協定で、交通安全と利便性を高めるための5つの取り組みを行っていくといいます。
具体的な取り組み内容は、(1)利用者に対する損害保険の提供(2)安全講習会の開催(3)電動キックボードなどの利用ガイドブックの共同作成(4)三井住友海上のネットワークを活用したポート設置展開(5)同社の自治体とのネットワークを活用した地域展開、です。
同社の執行役員 企業マーケット戦略部長の有元威彦氏は「包括連携協定の締結を通じて、安全講習会取り組みなどによる交通ルールの遵守徹底と自己削減、およびポート設置拡大などによる利便性向上によって、交通渋滞緩和やCO2削減などの社会課題の解決につながることを期待しています」とコメント。
この取り組みによって、持続可能な交通システムの実現への貢献を目指していくそうです。
<参照>
世界最大手のマイクロモビリティ「Lime」が日本でサービス開始。国内初の座って乗る「電動シートボード」も提供、また業界初の「ヘルメットセルフィ」機能を搭載、8月19日より都内6エリアで利用可能
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