国内およびアジアパシフィックエリアで総合人材サービスを提供するパーソルホールディングス株式会社(以下、パーソル)は、2023年から「男性育休取得促進」に取り組んでいます。
いまだ上司や同僚への「罪悪感」から取得しづらさもあるという男性の育休取得。そうした遠慮なく誰でも育休が取得できる風土づくりを、と発足したのが同グループ内部活動「男性育休推進部」だそうです。
8月26日、同部はその取り組みの一環として育児によるトライアスロン、その名も「イクジ(育児)アスロン」を開催しました。
現地で取材した大会のレポートとパーソルグループが掲げる「男性育休取得推進」の目標を紹介していきます。
社員の相互理解へもつながる「男性育休取得推進」
パーソル総合研究所によると、育休を取得した男性の3~5割が多様な人材への理解や時間管理といった「対人力」や「タスク力」の向上を実感したことが明らかになったそうです。
また、「男性の産休・育休制度推進」は、女性が会社の未来展望を明るいと感じさせる効果もあるそうで、女性の管理職昇進意向の向上にもつながったとのこと。
同グループ人事本部 本部長の大場竜佳氏は、「育休を取った男性社員がいる組織だと、育児のリアリティのようなものが分かっている人が増えるので、『自分が置かれている立場(育児中)を理解してもらえるようになった』という声は多いです」と語ります。
グループ全体で多様性を推進しているということで、いま注力している取り組みのひとつ「男性育休取得」に関しては、2025年度までに取得率100%を目指すそうです。
この目標達成に向けて、これまでにグループ社員に対する制度周知・事例発信・研修などを実施してきたパーソル。2023年12月には、グループ内の男性育休取得経験者を中心に社内の有志が集い、社内部活動「みんなの部活」として「男性育休推進部」が立ち上がったそうです。
今回、開催された「イクジ(育児)アスロン」は、この「男性育休推進部」発のイベントです。
育児はスポーツ! 「イクジアスロン」の様子
「イクジ(育児)アスロン」の競技種目は、赤ちゃん人形を使用しての「おむつ替え」「抱っこ紐」「寝かしつけ」の3つ。
競技とはいえ、赤ちゃんへの配慮が最重要ポイントとなるので、激しい動作は厳禁。赤ちゃんの扱いが雑だった場合は失格となります。
この日、競技に出場した選手は8人。部活動メンバーではないものの、イベント開催を聞いてパーソルテンプスタッフ株式会社 東日本営業本部所属の横谷秀俊さんも生後8カ月のお子さんを率いて参戦しました。
2人が登場すると、会場も「かわいい~」「がんばってー!」と一気に盛り上がりました。
全員がそろい、「スタート!」の掛け声とともに大会が始まると、参加者は、各々赤ちゃんへの声かけをしながら、おむつ替えを行い、次に抱っこ紐で抱っこ。まだ慣れないおむつ替えや抱っこ紐装着に、選手たちの必死になる姿も見られました。
抱っこ紐で抱っこした後は、指定ルート途中にある買い物袋を持ちあげ、保育園とされている部屋の入口に向かいます。そこでUターンをして戻って来たら、最後は赤ちゃんを抱えた状態で寝かしつけをイメージしたスクワット(10回)。
それらを全て終えて最初にゴールテープを切ったのは、パーソルキャリア株式会社 エージェントソーシング統括部所属の金村魁さんでした。2022年には約1カ月の育休を取得したそうで、本大会でも先輩パパとしての意地を見せつけました。
レース後には、参加者全員へ社員の子供たちが作ったという折り紙のメダルが授与されました。
銀メダル獲得の本橋孝昭さんは、パーソルクロステクノロジー株式会社 コンサルティング統括本部部所属。
10月に赤ちゃんが生まれる予定で、これから新米パパとなる本橋さんは受賞の際、「育児の準備になって、不安が和らぎました」と大会の感想を述べたうえで、「先輩パパたちに負けないようにがんばりたいです!」と意気込みも語ってくれました。
お子さんと参加した横谷さんは、銅メダルを獲得しました。「今日は息子の機嫌もよくて、一緒に楽しめました!」と、笑顔で語ってくれました。
銅メダルをしっかりと握って口にくわえるお子さんの姿には、会場から「将来のオリンピックメダリストかも」との声も。
競技が終わってみると、参加者全員が失格になることはなく、愛情をこめて赤ちゃんを扱っていた様子から、参加者たちの育児に対する真剣な姿勢がうかがえました。
男性育休サポーターズも発足
「男性育休推進部」では、育休取得がしやすい風土づくりの一環として「男性育休サポーターズ」も発足。
男性育休サポーターズのロゴをステッカーを制作・配布することで、「育児休暇取得をみんなが応援している」ことを目に見える形で伝えるための取り組みだといいます。
女性にくらべて、代替要員の確保をはじめとする「不在時のマネジメント」が課題となりがちな男性の育休取得ですが、今回の取り組みへの取材を通して、日常的に社員同士が応援・サポートしあう環境づくりこそが、男性の育休取得率向上の架け橋となるのではないか、と感じることができました。
<参照>
育児はスポーツだ!パーソルの部活動「男性育休推進部」が、パパによる「イクジ(育児)アスロン大会」を実施
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