ファミリーレストランの配膳など、街中でロボットが働き手となり稼働する様子を見る機会が多くなっていませんか?
東武タワースカイツリー株式会社とKDDI株式会社は、8月19日~9月25日までの期間、ロボットを活用した団体利用客の案内誘導の実証実験を行います。東京スカイツリー内では、初の試みだといいます。
国内で進む人手不足
パーソル総合研究所が2019年2月に公開した調査結果によると、日本国内では、2030年に644万人の人手不足に陥ることが推計されています。
なかでもサービス業や医療・福祉業は、すでに働き手が不足している状況だといい、今後も更なる不足が予測されています。
東京スカイツリーではその対策として、案内誘導などの各種業務をロボットが担うことで、省力化や省人化による業務体制の効率化を目指します。これは、観光業界ではめずらしい取り組みだといいます。
また、KDDIでは2024年5月から新たなビジネスプラットフォーム「WAKONX(ワコンクロス)」を始動。WAKONX Smart Cityを実現することで、人口減少や労働力不足などの社会解決を目指します。
WAKONXは、日本のデジタル化をスピードアップさせることをコンセプトに掲げ、AIを活用して業界別に最適化したネットワークの設計・構築から大規模計算基盤による企業間データの蓄積・融合・分析を行うといいます。
今回の実証の企画設計や推進を行うことで得た知見を基に、スマートシティにおけるロボット活用を推進していくといいます。
労働市場の未来推計 2030|パーソル総合研究所
実証実験の内容
本実証実験では、自律走行型かつ大型ディスプレイ搭載の案内ロボットを東京スカイツリー1階団体フロアに設置。効率的な案内誘導が可能か検証します。
ロボットは、東京スカイツリーのスタッフに代わり、ディスプレイや音声で案内誘導を実施します。日本語と英語に対応するため、インバウンドの利用客にも案内誘導が可能です。
本実証実験を通して、効率的な案内誘導が可能か検証するといいます。
案内ロボットの誘導とは
案内誘導ロボットは、東京スカイツリー1階団体フロアで団体利用客を団体東ロビーから西ロビーの間約80m先まで案内誘導を行います。
編集部が実際の様子を見てきました。スタッフが液晶に触ることで、指示を受けたロボットが、まず団体利用客に案内誘導する旨を説明。その後、団体客の先頭で誘導していきました。秒速は最大1mだといい、障害物が近くなると、減速して避ける対応をとっていきます。
西ロビーまで誘導後は、音声にてエレベーターで4階に上がるよう案内。この時、日本語だけでなく、英語でもアナウンスを行いました。案内終了後は、ロボットが事前にマッピングしたルートをたどり、自動で団体東ロビーの元いた位置に戻っていきます。
インバウンドや子供も多く訪れる東京スカイツリーでは、ロボットの親しみを持ちやすいフォルムに興味関心を抱く利用客もいるそうです。その一方で、それらの利用客に引き留められ、元の位置に戻るまで時間を要すこともあるんだとか。
団体利用客を案内誘導するだけでなく、東ロビーに置かれているロボットの液晶画面には「こちらは団体フロアです。個人のお客様は4Fからご入場いただけます」と音声と液晶画面表示で案内されており、個人で入場されるお客さまの誘導案内にも効果が見られたといいます。
今後の展望
案内誘導ロボットの本導入については、さまざまな視点で検証しながら検討していく予定です。
東京スカイツリーでは、現在インバウンドの入場者が円安の影響なども受け増加。その対策として、4Fでのエレベーター乗車案内時に適宜、英語での案内強化を進めるほか、コロナ禍に取りやめていた「東京スカイツリーパンフレット」の18カ国語対応を再開するなど、今後もインバウンド対応や省人化など色々な側面であらゆる可能性を模索していくといいます。
東武タワースカイツリー株式会社で団体予約センター主任を務める川畠さんは、「東京のシンボルとしての憧れや気持ちが高鳴る瞬間をお客さまに提供していきたい」と話しました。
実証ロボット概要
寸法:横幅51cm、奥行51cm、高さ150cm
重さ:80kg
連続使用時間:最大9時間
走行速度:毎秒0.1~1.0m(設定可能)
対応言語:12言語に対応(本実証では日本語と英語に対応)
販売:LG Electronics Japan 株式会社
<参照>
東京スカイツリー(R)で初のロボットによるお客さま案内誘導の実証実験を実施
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