HOMEライフスタイル 育児の難しさ・つらさを軽減へ! 外出先で使えるベビーケアルーム「mamaro」とは

育児の難しさ・つらさを軽減へ! 外出先で使えるベビーケアルーム「mamaro」とは

菓子翔太

2024/08/15(最終更新日:2024/09/16)


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外出先で授乳室を使いたくても、どこにあるか分からない……!

そんな風にこまる保護者の数は多く、100人の赤ちゃんに対して、授乳室数はわずか3%なのだそうです。

これでは、乳幼児を抱えた保護者が外出するためのハードルは高く、育児の難しさ・つらさを感じてしまう1つの要因になってしまうでしょう。

そんな課題を解決するためのサービスとして、神奈川県横浜市に拠点を置いて活動するスタートアップ企業Trim株式会社(以下、Trim)が開発した「mamaro」というベビーケアルームをご存じでしょうか。

mamaroは、商業施設や自治体庁舎、鉄道駅などで全国的に普及が進んでおり、2024年7月時点で約700台が導入。東京ドームやららぽーとなどにも設置されています。

mamaroの室内

なぜ、このmamaroの普及が全国で進んでいるのか。今回は、Trimがmamaroに仕掛けた画期性と、そのビジネスモデルについてU-NOTE編集部が追究してきました。

デザインが良い

今回、mamaroに関する記事を書くうえで、実物を見せてもらいました。最初に思ったのは、

デザインが良いな……

ということでした。

mamaroは、丸みのある箱形のベビーケアルームで、大きさは1畳ほど。表面は木を基調としたデザインをしています。大きな哺乳瓶のイラストも描かれており、誰かが使っているときには、このマークが点灯する仕組みです。

ルーム内は完全個室となっており、内側から鍵をかけて授乳や搾乳、おむつ交換などで利用できます。また、男性にも利用可能としました。

Trim代表の長谷川裕介さんは、

お父さんが使うことで、お出かけ中のお母さんが1人になれる時間を作ることができます。そうすると、これまでは子供服売り場でしかお買い物ができなかったお母さんも、自分のために化粧品の売り場などに行けるようになります。

そういった意味合いからユニセックスなデザインにしています

と話します。

これまでは、子どもの面倒を見て、ベビーケアルームを使うのは女性という固定概念に基づいて設計されていたことから、男性でもベビーケアができることを利用施設側に説得してきたそうです。

さらに、個人的には、コンセントや荷物フックがあるのも、利用者にとってはありがたい仕様だと思いました。

mamaroの設置場所は、スマートフォンアプリ「mamaro GO -安心お出かけアプリ-」を使うことで検索でき、利用状況もリアルタイムで把握できるそうです。

ユーザー側は無料で利用可能で、設置した施設から料金をもらうビジネスモデルとなっています。

その理由には、

世の中の通常のインフラとして存在すべきものではないかという思いが強いので、なるべくユーザーからお金を取りたくない

という会社としての姿勢があるのだといいます。

Trim代表の長谷川裕介さん

企業側の導入ハードルを低く

では、企業にとってお金を払って「mamaro」を設置するメリットはどこにあるのでしょうか。

その1つとして、mamaroが特別な工事を必要とせずに設置でき、あとで移設もできる「可動式」となっている点が上げられます。

つまり、大型商業施設などでテナントの入れ替えが発生しても、すぐに設置場所を変えることが可能なのです。

さらに、mamaroでは利用者数・平均滞在時間などのデータを記録しており、企業側で確認もできます。Trim代表の長谷川裕介さんによると、

トイレの近くに設置していたときは利用者数が思ったより伸びなかったものの、フードコートに移設したらよく使われるようになって、フードコード全体の売り上げに貢献したという企業からの声をいただいたこともあります

といい、費用対効果を期待できる要素もあるそうです。

原価率は10%程度としており、値段も抑えていることから、導入のハードルも低くできると強調します。

屋外設置用も販売開始

また、これまでmamaroは屋内用のみでしたが、地元横浜市での実証実験などを経て、4月からは、屋外に設置できるという「mamaro solana」の予約販売受付も始めました。

エアコンが搭載されており、暑いときも寒いときも含めて1年間利用できるといいます。

「道の駅果樹公園あしがくぼ」(埼玉県横瀬町)に設置された「mamaro solana(実証実験機)」

さらに「mamaro solana」では、ソファの背もたれ部分が変形し、ベビーベッドにもなるとのこと。子どもを寝かせると、体重測定もできる機能もあるといいます。

授乳ソファは、背もたれ部分を倒すとおむつ交換台になります(右)

長谷川さんによると、屋外では、子どもを連れて行く公園に授乳室はなく、多目的トイレは「汚くて使えない」という趣旨の声が多かったとのこと。

屋外設置用をつくるハードルはかなり高かったそうですが、仮設トイレや防災備蓄トイレなどを展開する株式会社ハマネツと約2年かけて共同開発をしたそうです。

「根岸森林公園(横浜市)」での実証実験の様子

mamaroとTrimの今後の展開

従来のmamaroについては、DXを進めることで、室内で医療相談や簡単な問診を行い、隣の自販機で処方箋がもらえるようなサービスなどの構想も抱いている、と長谷川さんは語ります。

mamaro以外にも、既存の授乳室をより良いものにアップデートしていくことへの支援や、ベビーケアルームの利用を終えて次の育児のステップに進む親たちに向けたサービスを展開していく可能性も視野に入れているそうです。

長谷川さん自身のキャリアについても聞いた「「もうからない」では日本は衰退する 資本金30万円から営業利益1.2億円まで成長させたTrim代表・長谷川裕介さんが子育て世代向けのビジネスを展開する理由【インタビュー】」は8月16日(金)18時公開

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