7月3日(水)に20年ぶりとなる新紙幣が発行されてから1カ月が経ちました。
偽造防止の強化を目的に、銀行券では世界初となる3Dホログラムが新たに採用されるなど、各所で話題になった新紙幣。これから実物を手にする人もいると思いますが、ここで気になるのが「新紙幣は駅や銀行で問題なく使えるの?」ということ。
本記事では、JR東日本・JR西日本など大手鉄道会社8社と、三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行の3大メガバンクでの新紙幣対応状況について一挙に紹介。どうして紙幣のデザインが変更されるのかについても、あわせて解説していきます。
大手鉄道会社の新紙幣取り扱い状況
JR各社の新紙幣発行にともなう、券売機・ICカードチャージ機の対応状況は、一部で未対応ではあるものの、引き続き対応を進めていくようです。
JR東日本
管内に設置されているすべての券売機や自動精算機などで新紙幣に対応するための更新作業が完了しているとのことです。
JR西日本
管内の駅のうち、有人駅では各駅最低1台は新紙幣に対応する券売機を設置。無人駅における対応は、2024年度末までに有人駅と同様に、最低1台の新紙幣対応機を設置予定だそうです。
JR東海
券売機・自動精算機ともに新紙幣に対応するための更新作業が完了。TOICA ICカードチャージ入金機では、一部新紙幣に対応していない場合もあるそうですが、券売機を利用したチャージが可能だといいます。
JR四国
管内108駅中91駅で設置されている券売機で新紙幣対応済みで、愛知県・高知県ではすべての券売機設置駅での対応が完了だといいます。引き続き、全駅での更新作業を進めていくそうです。
また、ICカードチャージ機においては、ICエリア内の有人駅(高松・坂出・宇多津・丸亀・多度津・詫間・観音寺・善通寺・琴平・栗林)にてすべて対応可能。
JR九州
6月末時点で、600台の券売機のうち約50%が新紙幣に対応しているそうです。対応機がない場合は、有人駅であれば係員に頼んで両替が可能。
また、無人駅や無人の時間帯には、券売機の横に設置された二次元コードを読み取ることで発駅証明が発行されます。着駅にて、当該証明を提示することで、精算可能です。
JR北海道
券売機を設置している駅のうち、8割程度は対応済みとのことです。
3大メガバンクの新紙幣対応
3大メガバンクの新紙幣発行にともなう、ATM・両替機などの対応状況は新旧混合にて対応可能だそうです。
三菱UFJ銀行
新紙幣の預け入れ・引き出しは、窓口・ATMともに可能ですが、ATMは旧紙幣が出てくる場合もあるそう。さらに、入金についても、ATMでは新旧混合で対応だといいます。
両替は、新紙幣の新券両替が可能。旧紙幣を希望の場合は、在庫がある場合に限り、券種指定(別途手数料あり)で対応してくれるとのこと。支店により両替機と窓口の対応状況が異なるそうです。
三井住友銀行
窓口・ATMともに、新紙幣の預け入れが可能。ただし、引き出しに関しては、新紙幣と旧紙幣が混在するそうです。
両替については、窓口・両替機にて可能。順次「新紙幣の新券」への両替を取り扱いも開始予定とのこと。また開始後は、「旧紙幣の新券」への両替ができなくなるといいます。
みずほ銀行
両替については、原則、新券への両替は新紙幣となります。従来の紙幣の新券両替は現在行っていないそうです。
ただし、ATMでの新紙幣への両替は行っておらず、払い戻しの際も、従来の紙幣と混在して出てくる場合があるといいます。
紙幣のデザインが変更される理由
新たな紙幣には、一万円札に「近代日本経済の父」と称される渋沢栄一、五千円札に日本初の女子留学生で津田塾大学創立者の津田梅子、千円札に破傷風の予防・治療法を開発した細菌学者の北里柴三郎の肖像がデザインされています。
改刷は経済状況に合わせて行われるため、明確な時期は設定されていないといいます。ですが、近い間隔ではおよそ20年ごとに行われています。
今回、2004年以来20年ぶりとなる紙幣改刷ですが、改刷する1番の理由は「偽造紙幣防止」です。
この20年間で、民間の印刷技術は著しい進歩を遂げています。そのため、紙幣に用いられるものもより高度な技術が必要となるのです。
従来の偽造防止技術には、紙幣を傾けると表面には額面数字、裏面には「NIPPON」の文字が浮かび上がる「潜像模様」、カラーコピー機などでは再現困難な「マイクロ文字」、「紫外線を当てると表面の印象(日本銀行総裁印)などが浮かび上がる「特殊発光インキ」などが採用されてきました。
今回発行された新紙幣にも、偽造を防ぐための最先端技術が多く取り入れられているそうです。一体どのような技術が採用されたのでしょうか。さっそく、見てみましょう。
まずは、「3Dホログラム」があります。ニュースやSNSなどでも話題になった、世界初の銀行券への採用技術で、ストライプ型の3Dホログラムで表現された肖像が回転するという特徴があります。
肖像の周りに施された連続模様の「高精細すき入れ」は、従来の「すき入れ」に高精細な模様を新たに採用したそうです。
また、誰にでも使いやすいユニバーサルデザインも一新され、目が不自由な人などのための識別マークは、指で触った際にわかりやすい形として11本の斜線に統一。券種ごとに位置を変えることで識別しやすくなったとのことです。
券種ごとに異なる3Dホログラム・すき入れの形や配置、額面数字の大型化も、識別のしやすさへの配慮だといいます。
新紙幣の発行にともない旧紙幣が突然使えなくなる、ということは現状ありません。ただし「法令に基づく特別な措置」は発令された場合は、使えなくなります。
現在は、これまでに発行された紙幣56種類のうち31種類がその通用力を失い、25種類が有効券となっています。
<参照>
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