HOMEビジネス 成長したい人ほど成長しづらいジレンマ。成長する人の共通点とは? 『幸せな仕事はどこにある』の井上大輔さんに聞いた【インタビュー後編】

成長したい人ほど成長しづらいジレンマ。成長する人の共通点とは? 『幸せな仕事はどこにある』の井上大輔さんに聞いた【インタビュー後編】

大槻由実子

2024/08/14(最終更新日:2024/09/16)


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若手のうちは特に「成長したい」という意欲が高いもの。しかし、『幸せな仕事はどこにある 本当の「やりたいこと」が見つかるハカセのマーケティング講義』を6月に発売し、国内外の企業でマーケター・新規事業担当として活躍する井上大輔さんは、「成長意欲が強すぎると、逆に成長しづらい」と語ります。その理由とは?

インタビュー後編では、成長したい人ほど成長しづらいジレンマや、成長する人の共通点などについてお聞きしました。

成長したい人ほど成長しづらいジレンマ

―――「成長したい」と思っている若手ビジネスパーソンへのアドバイスをお願いします。

井上さん:成長する人には、ある共通点があると思っています。

それは「貢献を意識している」という点です。目の前のチームや会社に「貢献しよう」と思っている人のほうが成長し、自分が「成長しよう」と思っている人は、逆に成長しづらいーーそんなジレンマがあるのではないでしょうか。

なぜかというと、成長の機会は、貢献を意識している人に、より多く巡ってきやすいからです。

人が成長する機会は大きく「書籍などでの学習」「人からのフィードバック」「実務経験」の3つに分けられると言われています。その貢献度は「1:2:7」、つまり書籍などの学習が10%、人からのフィードバックが20%、実務経験が70%だそうです。「実務経験」の比重が高いわけです。

では、職場で「成長したい」と言っている人がいたとして、重要なプロジェクトという大きな「実務経験」を積む機会を任せてもらえるでしょうか? それよりも「貢献したい」という意識が強い人に任せたいと思うのが人情でしょう。「貢献したい」という人に、より多くの成長機会がめぐってきやすいのには、こういう理由があるのです。

貢献を意識している人はこんな行動をする

―――成長したい人と、貢献したい人の具体的な行動の違いはありますか?

井上さん:極端な話ですが、成長したい人は「自分が成長できるプロジェクトをやりたい」と言ったりします。たとえば、「英語力を伸ばしたいので、英語を使えるプロジェクトをやらせてください」などですね。

一方で、貢献を意識している人は、そういった選り好みはあまりしません。任されたプロジェクトを精一杯がんばるでしょう。

―――面談などで「どんな仕事をしたいか」と聞かれることも多いと思います。どんな仕事だと自分が一番貢献できるか、それを見つける方法はありますか?

井上さん:なかなか難しい問題ですが、「○○をできるようになりたい」という自分の願望ではなく、「役に立ちたい」という貢献の気持ちで仕事をしていれば、会社やチームで自分が何を求められているのかがだんだんわかってくると思います。

もしわからない時には、「直属の上司の役に立つ」ことに集中するといいと思います。自分の仕事を見た上司の反応を観察していけば、自分がいちばん貢献できる仕事が、徐々に見えてくるでしょう。

会社やチームを好きになることが大切?

―――「貢献したい」という気持ちになるには、会社やチームのことが好きでないと、なかなか難しい気がします。

井上さん:それは非常に大事です。貢献したいという気持ちは、その会社やチームが好きであればあるほど生まれやすいものでしょう。

そのためにも、カルチャーフィットが重要になります。価値観や文化が合っている会社の方が好きな気持ちも強化されやすいですし、評価もされやすいので自信を深めやすく、結果、パフォーマンスも出しやすくなります。

―――「この会社は自分に合うはず」と思って入社したら、思っていたのと違ったというパターンも多いと思うのですが、カルチャーフィットする会社を見つけるためのコツはあるのでしょうか。

井上さん:実際には、なかなか難しいと思います。

一言に「カルチャー」と言っても、「会社全体のカルチャー」と「部署やチームのカルチャー」が同じとは限りません。むしろ、違うことの方が普通だったりします。ですから、会社全体のカルチャーが自分に合っていると感じても、配属された部署やチームのカルチャーは全然違った、ということは起こりえます。上司やチームリーダーが変わった途端に、カルチャーが変わることもあるでしょう。

ただ、前編でもお話しした「自分はなぜ働いているのか」というパーパスを明確にして、それが叶えられる会社に入社できれば、カルチャーの点で多少のズレが生じたとしても「貢献したい」気持ちが急激に損なわれることはないでしょう。その意味でも、やはり自分のパーパスを見つけておくことは、とても大切なのだと思います。

 

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インタビュイープロフィール

井上 大輔(いのうえ・だいすけ)

ソフトバンク株式会社 コンシューマ事業推進統括 プロダクト本部 新規事業開発統括部 統括部長。ニュージーランド航空、ユニリーバ、アウディジャパンでマネージャーを歴任。ヤフー株式会社 マーケティングソリューションズ統括本部 マーケティング本部長、ソフトバンク株式会社 コンシューマ事業統括 コミュニケーション本部 メディア統括 部長を経て現職。WASEDA NEO「早稲田マーケティングカレッジ」並びに「『人生の可能性』を広げるビジネスパーソンのための本づくり講座」講師。

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