いすゞ自動車株式会社(以下、いすゞ自動車)は7月24日(水)、国内唯一になるというAT限定の普通自動車運転免許(普通免許)で運転できる小型ディーゼルトラック「ELFmio」(以下、エフルミオ)を7月30日(火)に発売すると発表しました。
これまで接点のなかった個人事業主などへ向けた、オンライン販売チャンネルも立ち上げ顧客開拓もしていくとのことです。販売台数は2024年度で5,000台を目指しているといいます。
最大積載量1.35トンの高積載性を確保
2017年3月12日に施行された改正道路交通法により、準中型免許が新設されました。これにより、法改正以降に免許を取得した場合には、普通免許で運転できる車両は車両総重量3.5トン未満に制限。
さらに、働き方改革法案により、ドライバーの残業時間に上限が課されたことで生じた物流・運用業界における「2024年問題」も相まって、慢性的なドライバー不足が深刻化しています。
この現状を受けて、いすゞ自動車は普通免許でも運転できる小型トラックの開発を推進。ディーゼルエンジン搭載で車両総重量3.5トン未満、AT限定免許で運転できる新型の小型トラック「エルフミオ」を誕生させました。
小型化にともない課題となったのが、軽量化による堅牢性・耐久性の低下です。しかし、いすゞ自動車は、エンジン・トランスミッション・サスペンション・フレームなど、車両根幹部品をはじめ多くの部品での軽量化を行い、その高いハードルをクリア。
その結果、車両総重量3.5トン未満でありながら、高燃費性能で軽量な1.9リッターディーゼルエンジン「RZ4E」を搭載し、最大積載量1.35トンという積載性を実現したといいます。6速ATと組み合わせることで、省排気量であることを感じさせない走行性能になっているそうです。
さらに、誰でも運転しやすい車両にすべく、シートスライドピッチを細分化。運転する人にとって最適なドライビングポジションを設定することが可能となりました。
そうしたドライバーへの配慮は、ステアリング(一般的にハンドルと呼ばれる装置)にも窺えます。ステアリングにはスイッチを設け、手元で各種操作が可能になるそうです。ヘッドクリアランスの拡大、ステアリング自体の小径化も図り、多様なドライバーが扱いやすい仕様を目指したとのことです。
ボディカラーは、標準のアークホワイトに加え、エルフミオ専用のペールブルー・ダークカーキメタリック(SEカスタムに設定)など全6色。トレンドを取り入れた多彩なカラーバリエーションを用意し、多様化するドライバーのニーズに対応したそうです。
ラインアップはディーゼル車とEV車で、ディーゼル車の東京地区希望小売価格は365万5,000円(税抜き)。2030年にはEV車の比率が大きくなると予測し、コストダウンを進めていく方針です。
コネクテッド技術で安全をサポート
エルフミオは、高度純正整備「PREISM(プレイズム)」のコネクテッド技術を活用した「プレイズムスマホアプリ」にて、パソコンやスマートフォンで常時車両コンディションを把握することが可能です。
消耗品の状況や故障の予兆をとらえ未然に防ぐとともに、故障した場合もすぐに直すことで安全稼働に寄与するそうです。
車検や点検の期日が事前にわかるプッシュ通知機能、ワンプッシュでオペレーターに電話がつながるサポートも用意しています。また、安全機能では、「プリクラッシュブレーキ(直進時)」「車間距離警報」「誤発進抑制機能」なども搭載とのこと。
より多くの「トラックの選択肢」提供を目指す
発表会で登壇した、同社の代表取締役社長COOの南真介氏は、「少子高齢化による担い手不足に加え、AT限定免許保有者の増加、新免許制度などにより、トラックドライバーの人材確保は困難さが増しています。トラックを運転することが難しい、というイメージを払拭したい。その思いから、誰もが乗れる小型トラックの開発を推進してきました」とエルフミオ開発の背景を語りました。
また、新しいビジネスエリアの創造においては、従来の訪問販売だけではなく、世の中の変化に合わせてWeb販売にも挑戦し、これまで接点のなかった顧客層拡大を目指していくそうです。
「いすゞの使命は『地球の『運ぶ』を創造する』です。それは、物流を担っている方々に、より多くのトラックの選択肢を提供することです。エルフミオは、その1つとしてお客様と社会の課題にフォーカスし、的確な選択肢を提案できることを目指していきます」と、エフルミオ発売への展望と意気込みを述べました。
新CM出演の本田翼さん「トラックの概念がひっくり返った」
発表会には、エルフミオのイメージキャラクターで、7月30日(火)から放送開始する新CMにも出演する本田翼さんも登場しました。
トークセッションで、エルフミオの印象を聞かれた本田さんは「トラックは自分とは遠い存在だと思っていたんですけど、色がかわいくて清潔感もあって、私のなかのトラックの概念がひっくり返しました!」と魅力を語りました。
自分の相棒のような存在になってくれそう、とエルフミオに好印象を持った本田さん。車両発売日に合わせて開設するオンライン販売チャンネル「エルフミオストア」の実演では、シンプルな操作で自由にカスタムできるという仕様に「すごく身近で手軽!」と、こちらも絶賛。
エルフミオでやりたいことにはキャンプを挙げ、「私はインドアなんですけど、アウトドアな景色がすごく好きなんです。なので、これは私の理想形ですね」と楽しそうに語ってくれました。
実は、東京オートサロン2024で、いすゞ自動車のグループ企業、いすゞA&S株式会社が、トラックの新しい使い方を提案するコンセプトカー「エルフミオ アウトドアエディション」を出展しています。
ウッドデッキ仕様の荷台にテントを乗せた、モノを運ぶだめだけではない使い方は、本田さんが望む「理想形」のアウトドアの相棒としての可能性も感じられます。
「だれでもトラック」として発売するエルフミオ。ドライバー不足問題解消だけでなく、日常生活での身近で頼れる存在にもなるかもしれません。
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