HOMEインタビュー Z世代に多い退職理由とは? 「退職代行モームリ」谷本慎二さんに聞くリアルな利用実態【インタビュー前編】

Z世代に多い退職理由とは? 「退職代行モームリ」谷本慎二さんに聞くリアルな利用実態【インタビュー前編】

大槻由実子

2024/07/23(最終更新日:2024/07/23)


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キャッチーなネーミングと退職手続きを本人に代わって行うサービス内容で一躍話題になった「退職代行モームリ」から、7月に初の書籍『退職代行業者が今すぐ伝えたい!Z世代が辞めたい会社』が出版されました。
同サービスを運営する株式会社アルバトロスの代表取締役・谷本慎二さんは、本書は「会社の辞め方」を教える内容ではないと語っています。

今回、U-NOTEでは谷本さんに、Z世代が退職したい会社の特徴などについてお聞きしました。

Z世代に多い退職理由とは?

―――Z世代に多い退職理由について教えてください。

谷本さん:「入社前後で契約内容に違いがある」です。

労務関係の内容が次に多く、続いてセクハラ・パワハラなどの各種ハラスメントです。

新卒の方が多いZ世代には特に多い退職理由になっていると感じます。

―――「退職代行モームリ」の利用者の中で、新卒の方の割合はどれくらいなのでしょうか。

谷本さん:新卒で14%、20代というくくりだと40%、30代は20%で、それ以降は割合が減っていきます。当社のサービスは20代の方への認知が特に多いです。一方で最高齢で71歳の方からも依頼もありました。もちろん若い方の依頼は多いですが、年齢関係なく幅広く依頼を頂いております。

―――昨年2023年のデータと比べて変化はありますか。

谷本さん:そもそも昨年のデータは2023年1年間の利用者1,637名を対象に調査したものですが、今年に関しては1カ月ですでに1,800名ぐらいの利用者がいるので、母数が違うため一概に比較ができません。

去年に関してはニッチなサービスで利用されていましたが、今は一般的に利用されるようになりました。

―――昨年から今年にかけてそんなに利用者の方が増えたんですね。

谷本さん:200社ぐらいのメディアから取材を受けて露出が多くなったことで、普段ネットを見ない方の認知度も上がりました。

「モームリ」が思うZ世代に合わない会社の特徴とは?

―――実際に退職代行のやり取りをされていて気づいた、Z世代に合わない会社の特徴とは?

谷本さん:一言でいうと「昔かたぎの会社」や、「退職者が出るのは、退職する従業員側が悪い」という他責志向の企業は、退職者が出続けていると感じています。

―――それは、先方企業に「退職代行モームリ」の担当者が連絡したときに感じるのでしょうか。

谷本さん:そうですね。会社にご連絡したとき「あいつのせいだ」とか「あいつは許せない」と企業担当者の方がおっしゃることが多いです。

また、弊社に対しても「お前らがいるせいで退職者が出るんだ」とおっしゃる企業は、従業員に対しても同じような扱いをしているので、やはり退職者が多い傾向になります。

そういった企業は、労務関係が法律どおりになっていないことがほとんどです。

有休が取れない、サービス残業があるなど、労務関係で違法に近い、もしくは違法な対応を取られている会社に勤めている方が、退職代行サービスを使われるケースが多いです。

―――逆に、どんな会社がZ世代に合うと思いますか?

谷本さん:今の若い世代の方々は、プライベートを重視する方が多い印象を受けます。

労働時間が短いとか、お休みが多いとか、フレックスタイム制やリモートワーク可能であること、職場でのフリーアドレスや服装・髪型の自由など、自由な会社を好む傾向があると思います。

利用者の3〜4割は、自分で一度退職を切り出した経験

―――退職代行サービスの利用者は、自分で一度退職を会社に切り出しても止められたのでサービスを利用する方と、最初からサービスを利用する方、どちらが多いのでしょうか。

谷本さん:体感で言うと、一度会社に伝えている方は3〜4割です。

一度も会社に伝えていない方に関しても、他の方が退職を止められているのを見たり、上司に言ったらおそらく退職を止められると感じたりしているから、退職代行サービスを利用する方がほとんどです。

20代に限ると、退職を伝えたとき、「すぐ辞めるのは甘えだ」とか「まだ(仕事や社会のことを)何もわかってないんだから、1年間は働いてみろ」と強制されたり、圧力をかけられて、辞められないから当社に依頼する方が多いです。

―――ほかのメディアで、「退職代行モームリ」の担当者が先方の会社に連絡した時に、暴言を吐かれているのを見たのですが、そういったことはよくあるのでしょうか…。

谷本さん:暴言を吐く会社は1割程度、ものすごく丁寧に「退職代行でご迷惑をおかけして申し訳ありません」と言ってくださる会社も1割程度、残り8割は事務的に対応されますね。

―――今は、会社側にも退職代行サービスがかなり認知されているのでしょうか。

谷本さん:そうですね。人事や総務の方にご連絡すると「ついにうちにも(モームリさんが)来ましたか」とか「昨日、テレビやYouTubeで見たばかりです」と言われることが増えたので、かなり認知度は上がっていると思います。

対応の最後に、「私も(退職する際には)お願いします」と総務の方から言われたり、実際に、総務の方から退職代行の依頼が来たりしたこともあります。


後編では、「退職代行モームリ」に関する海外メディアの取材についてや、退職代行が目指すところについてお聞きしました。

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インタビュイープロフィール

谷本慎二(たにもと・しんじ)

神戸学院大学卒業後、東証一部上場企業に入社し、接客サービス業に従事する。翌年に店長昇格後、入社5年でエリアマネージャー昇格。首都圏を中心に新店舗の立ち上げ責任者を6店舗経験。勤続約10年を経て退社。半年間の自己啓発・準備期間の後、株式会社アルバトロスを設立。事業として退職代行モームリを運営。
 

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