再生可能エネルギーのひとつとして、世界的に導入拡大が進む太陽光発電。
そのなかで、次世代型の太陽電池ともいわれる「ペロブスカイト太陽電池」が、桐蔭横浜大学の特任教授である宮坂力(みやさか・つとむ)氏が発明した“国産エネルギー”として注目を集めています。
気になる名前の由来は?
ペロブスカイトは灰チタン石という酸化鉱物の一種で、メチルアミン・鉛・ヨウ素などからなる結晶構造となっています。
このペロブスカイトを発電層として使うしくみとなっている太陽電池のことをペロブスカイト太陽電池と呼びます。
国産エネルギーとしての期待
ペロブスカイト太陽電池は、折り曲げやゆがみに強く、軽量で柔軟という特徴があり、これまで設置が困難であった場所にも導入が可能です。また、製造工程が少なく、大量生産しやすいため、低コスト化も見込めるといいます。
ペロブスカイト太陽光電池の主な原材料のヨウ素は、チリについで日本は世界第2位の産出量があります。
日本は石油や天然ガス、石炭といった化石燃料を多く輸入に頼っている現状であり、国内でのエネルギーの安定供給といった面でも注目されているようです。
ペロブスカイトの3種類
ペロブスカイト太陽電池は、主に3つに分類できます。
そのうち、耐水性が高く、建物建材の一部になりうるガラス型・シリコン系太陽電池からの置き換えが期待され、世界的に巨大な市場が見込まれるタンデム型は、国際的に技術開発競争が激化しているのだといいます。
一方で、軽量で柔軟という特徴を持ち、建物壁面などこれまで設置が困難であった場所にも導入できるフィルム型では、製品化に向けた課題がある大型化や耐久性の面で日本は世界をリードしている状況なのだそうです。
国内の研究開発状況は?
ペロブスカイト太陽光電池には、寿命や耐久性・面積の巨大化に課題があります。また、変換効率のさらなる向上も求められているそうです。
そうしたなかで、積水化学工業株式会社では、現在、30cm幅のフィルム型ペロブスカイト太陽電池を「ロール・ツー・ロール方式」と呼ばれる技術を使って連続生産が可能となっており、耐久性10年相当、発電効率15%の製造に成功。
世界初となる1MW(メガワット)超の建物壁面への導入計画が公表されており、今後、1m幅での量産化技術を確立させて、2025年の事業化を目指しているそうです。
パナソニックホールディングス株式会社は、2023年8月から神奈川県藤沢市にあるモデルハウスのバルコニーに、建材と一体となったガラス型のペロブスカイト太陽光電池を配置した実証実験を開始。
京都大学発のスタートアップである株式会社エネコートテクノロジーズも、IoT機器などの用途も含め、複数の実証プロジェクトを推進しています。
<参照>
第1回 次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた官民協議会|経済産業省
日本の再エネ拡大の切り札、ペロブスカイト太陽電池とは?(前編)~今までの太陽電池とどう違う?
日本の再エネ拡大の切り札、ペロブスカイト太陽電池とは?(後編)~早期の社会実装を目指した取り組み|経済産業省資源エネルギー庁
「うめきた(大阪)駅」にフィルム型ペロブスカイト太陽電池を設置|積水化学工業株式会社
世界初、ガラス建材一体型ペロブスカイト太陽電池 Fujisawa サスティナブル・スマートタウン内で長期実証実験を開始|パナソニックホールディングス株式会社
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