HOMEインタビュー 上司に意見しても通らない時、どうしてる? 販売員コンサルタント・平山枝美さんに上司とのコミュニケーション解決法を聞いた【インタビュー後編】

上司に意見しても通らない時、どうしてる? 販売員コンサルタント・平山枝美さんに上司とのコミュニケーション解決法を聞いた【インタビュー後編】

大槻由実子

2024/06/28(最終更新日:2024/06/28)


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職場で切っても切り離せない上司との関係。うまくコミュニケーションが取れずに悩んでいる若手ビジネスパーソンは多いはず。

著書『「若手と一緒に成果を出したい」と思ったら』を5月に発売した販売コンサルタントの平山枝美さんに、販売員でなくても使えるタイプ別上司のコミュニケーション攻略法などについてお聞きしました。

上司が若手の進言にYesと言えないのには理由がある

―――上司の言葉に納得できなかったり、上司と折り合いが悪かったりするとき、どういう行動をしていったら改善できるのでしょうか。

上司・部下両方の立場になった今だからわかるのですが、上司が若手から進言されたとき、「そうしよう」と即答できないのには理由があるんです。めんどうくさいとか、上の人に話をしに行くのが嫌など、感情的な理由もあります。ただ、そう思ってしまうことにも原因があって、例えば、以前上の人に相談したときに、すごく嫌な顔をされたことがあって及び腰になっているとか、改善しようと思ったけれどうまくいかなかったとか。

なので、上司が即答できないのはなぜなのか、という部分に部下が寄り添っていくことがポイントになります。

若手の方が会社に対して「ここが良くない」と思うことはよくありますよね。私は新入社員の時、帰りがすごく遅くなるのが嫌で、仕事を減らすため、閉店後にお店の服をたたむ作業はしなくていいんじゃないかと店長に提案したことがありました。

すると、最初は「そうだね、でもちゃんとたたんで帰らないとね」と言われて、自分の意見が聞き入れてもらえないと思ってモヤモヤしました。

でも、後からもう1回聞いてみたら、「盗難があったとき、どこを荒らされたかわからないから、たたんで帰るんだよ」と言われて、たたむ理由がはじめてわかりました。

なにか意見を言って通らなかったときは、まず「何か理由があるんじゃないか、そこを聞いてみよう」という意識を持ってほしいです。上司の言葉を一度聞き入れて、どういう理由があるのかを考えてから、再度理由を聞く。その理由を聞いて納得したら、自分が協力できる部分はないか考えてみてください。

「自分が進言したことを上司が全部やってくれる」という意識ではなく、「上司と一緒に取り組んでいこう」という意識を持ってもらえると、将来、自分が上司になったときに生かせるはずです。私の新刊『「若手と一緒に成果を出したい」と思ったら』は、上司向けに書いた本ですが、部下から上司に渡してほしいなと願っています。

平山さんの著書『「若手と一緒に成果を出したい」と思ったら』

―――たしかに、若手だと自分は指示以上のことをしてはいけないと思っていて、上司や会社が現状を変えてくれると考える人も多いかもしれません。

若手の方が先頭を切って「みんなやろうよ」と呼びかけることは反発も出るかもしれませんが、個人ではなく上司や同僚と取り組んでいけば進められると思います。

むしろ上司は日々の業務で忙しいので、部下からの進言を待っているのではないでしょうか。ただし、そこで「会社のやり方はおかしいと思うんです」という(一方的な)言い方をすると、「何も知らないくせに」と思われる可能性があります。なので、「こういう風にしたら良くなると考えたんですけれど、一緒にやってみませんか」と提案するように投げかければ受け入れられやすくなりますよ。

これからの世の中ではアイデアがとても大切なので、若手の方がアイデアを出すことで会社を良くするイノベーションを起こしてほしいです。

3つのタイプ別上司へのコミュニケーション攻略法

―――サバサバ系・厳しい系・優しい系のタイプ別上司とコミュニケーションをうまく取るにはどうしたらいいのでしょうか。

まず、サバサバ系上司で、声が大きかったり、あまり細かいことは気にしなかったりする感じの人は、豪快に見えて実は意外と繊細な人が多い、というのが私の持論です。自分の繊細なところを豪快さで包んでいる人が多く、相手がちょっと嫌そうな顔をしたことを実はいつまでもウジウジと考えているタイプです。

こういう上司には「いつもありがとうございます」と、やっていることに感謝し、認めてあげると、「この子はわかってくれている」と急に距離が縮まります。「自分ばかりが頑張っている」と思っているタイプなので、「部下の私もちゃんと一緒に考えてますよ」というところを見せるとうまくやっていけると思います。

厳しい系の上司も対処法は似ています。自分に厳しく、自分のやっていることはたいしたことじゃないと思っているタイプなので、みんなもできると思い込んでいたりします。

「店長しかこんなことできないですよ」など、「あなたのやっていることは実はすごいんですよ」と気づかせて、上司の自己肯定感を高めると良いでしょう。このタイプは、部下の提案や相談に対して「こんなことしか考えてないの?」と思うことも多いので、なぜその考えに至ったのか、理由をきちんと説明することもポイントです。

優しい系の上司は、「こんなことを任せたら、プレッシャーになっちゃうかな」と、とにかく相手に対して気をつかっています。なので、部下の方から「私がやりましょうか」と声をかけることでうまくいきます。

ただ、部下に言われても「いいよ、大丈夫」と一人で仕事を抱え込むパターンが多いので、「その作業を替わりましょうか」とか「一緒にやりましょうか」など、具体的にやることを部下から提示することがポイントです。「その仕事を教えてください」と、教示を仰ぐのもおすすめです。

「でしゃばりだと思われたらどうしよう」と声をかけることをためらう若手の人も多いと思いますが、このタイプの上司は、そこは気にしないので、どんどん声をかけてみてください。

上司の背景を考えるとアクションが変わってくる

―――タイプ別の上司の攻略法はどうやって見つけたのでしょうか。

これは接客と一緒で、「この人にはどういう風に接したら、どういう反応が返ってくるのか」ということを、常に探ってきました。上司もお客様も、基本は人なので対処法は大きく変わらないのです。

上司は若手をひとくくりにしがちですが、実は若手の方も上司をひとくくりにしがちだと思うんです。上司にもさまざまな人がいるので、「この人がサバサバ系になった経緯はなんだろう、昔なにかあったのかな」とその人の背景まで考えると面白いですよ。

これは以前に聞いた話ですが、すぐ部下を決めつけた言い方をする上司に「自分を決めつけられて否定されると、すごく自信をなくしてしまいます」と正直に打ち明けてみたら、上司が反省してくれたそうです。「実は私も自信がなくて、決めつける言い方になってしまっていたんだけど、ごめんね」と言われて、その上司をすごく好きになれたとその人は話してくれました。

――上司に厳しいことを言われてショックを受けたり落ち込んだりするところから一歩進んで、「この人はどういう経緯でこうなのだろう」と考えてみると、相手へのアクションが変わってきますね。

叱られると相手を嫌いになってしまいそうですよね。でも、仕事で嫌いなものは少ないほうがうまくやっていけるものです。上司でも、お客様でも、目の前の相手を好きになるにはどうしたらいいのかと“攻略法”を考えると、楽しく仕事ができるんじゃないかなと思うんです。

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インタビュイープロフィール

平山枝美(ひらやま・えみ)

販売コンサルタント。アパレル企業で販売員・店長・エリアマネージャーを経て、顧客戦略のコンサルタントとして独立。顧客作りのための接客や、店舗マネジメントへのアドバイスを行っている。これまでの著書にベストセラー『売れる販売員が絶対言わない接客の言葉』(日本実業出版社)のほか、『あの人だけがなぜ売れるんだろう?』(幻冬舎)、イラストでひと目でわかる お客様に嫌がられる接客 喜ばれる接客』(日本実業出版社)がある。

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