HOMEビジネス 社会で「頭の良い人」になるには“SQ”がポイント! ベストセラー『頭のいい人が話す前に考えていること』の著者・安達裕哉さんに聞いた【インタビュー前編】

社会で「頭の良い人」になるには“SQ”がポイント! ベストセラー『頭のいい人が話す前に考えていること』の著者・安達裕哉さんに聞いた【インタビュー前編】

大槻由実子

2024/05/24(最終更新日:2024/09/20)


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上司に自分の提案や相談をなかなか聞いてもらえない、「話が浅い」と言われてしまう、社会人になったら学生の頃より自分が「できない人間」になった気がする。
そんな人はもしかすると、「SQ(社会的知性)」という観点が欠けているのかもしれません。

今回、U-NOTEでは、ベストセラー『頭のいい人が話す前に考えていること』の著者・安達裕哉さんに、上司に提案や相談を聞いてもらいやすい人・聞いてもらえない人の違いや、「頭の良い人」と言われるポイントとなるSQ(社会的知性)などについてお聞きしました。

上司に提案や相談を聞いてもらいやすい人・聞いてもらえない人

―――仕事などで提案や上司への相談をした時に、拒絶されないで取り合ってもらえるような、話を聞いてもらいやすい人とそうでない人の違いはどこにあるのでしょうか。

上司=相手の都合を考えている人の方が相談や話を聞いてもらいやすいのは間違いないと思います。自分勝手な相談をして、上司が怒っているのに気づかないでいるパターンはよく見かけます。

―――企画や提案などを通したい時、自分の意見を取り上げてもらえるような、人の心を動かす会話に必要な要素について教えていただきたいです。

基本的には信頼関係がある人です。人間というのは、他人には無関心で冷淡ですが、”身内”に対しては優しいという特徴があります。身内とは、利害関係が一致している人のことです。

自分と相手の利害関係が一致していることが、相手にちゃんと伝われば動いてもらいやすいです。つまり、心を動かす会話とは、相手の利益になるような話ができるかどうか。コミュニケーション力が高いと言われる人に共通しているのは、相手の都合や、相手の利益を考えている点です。

特にビジネスでは、自分の主張を相手の主張と一致させることがポイントになります。平たい言葉で言うと「Win-Win」ですね。

「話が浅い」と言われたらどうしたらいいのか

―――「話が浅い」と言われがちな人が、話を深くするコツについても教えていただきたいです。

「統計データを調べること」と「自分の主張とは真逆の主張を調べること」の2つがあります。これは自分の主観的な意見ではなく、客観性を保つためです。

自分の経験則だけでなく、多くの数で調べたらどうなるのかを知ることが重要なんです。会社で上司から「統計データはどうなっているんだ」と言われた方も多いのではないかと思います。

科学者でも自分の意見を強化する主張ばかり探す人が多いのですが、自分と反対の立場を取る人の意見をちゃんと調べることで、世界の広がり方が変わってきます。客観性を保つためには絶対に必要な作業だと、私は上司から言われてきました。

―――自分の考えと反対する人の主張を調べることで、反論が来た時に対応できる効果があるのでしょうか。

それはあります。ただ、IQが高い人ほど、自分の主張を強化する主張、自分に都合の良い理屈ばかり見つける傾向があるという研究結果が出ています。頭が良い人ほど陥りやすい罠で、賢い人ほど屁理屈をつけて自分の意見を正当化しやすいんです。

―――IQが高い人が陥りがちな罠は他にもあるのでしょうか。

頭が良い・賢いと言われる人は、論理で通そうとする傾向があります。論理的には正しいけれども、相手のため、相手の利益になっていないため、感情的に納得してもらえないことがあります。これは、SQ(社会的知性)の話にも深く関わっています。

SQ(社会的知性)が十分に育っていないと、屁理屈を並べたり、論理だけで押し通そうとして反発を受けたりします。これが「あの人は頭は良いんだけど……」と揶揄される人の正体なのです。

SQ(社会的知性)が、社会における「頭の良さ」

―――SQ(社会的知性)について教えてください。

心理学者のダニエル・ゴールマン氏が提唱した、人間にとって最も重要な頭の良さを示す概念です。他者の思考を読んで信頼を築き、他人を動かす能力をSQ(社会的知性)と言います。IQはSQの副産物であり、SQこそが本当の知的能力であるとゴールマン氏は主張しています。

―――SQを向上させるためには何をすればいいのでしょうか。

(以下、画像で示している)7つの基本的なスキルを実践することです。

安達裕哉さんの著書『頭のいい人が話す前に考えていること』より

特に若手ビジネスパーソンにとって重要なのは、「とにかく反応するな」「頭の良さは他人が決める」という2点です。

1つ目は、相手に反応する前にワンクッション置いて一度考えることです。

もう1つは、若い頃というのは学校を卒業したてなので、どうしてもIQのような、勉強ができることや論理的思考力が高いこと=「頭の良さ」と定義しがちですが、実際に社会に出ると、「頭の良さ」の基準が変わるということです。

学校で学んだ論理的思考だけではなく、相手への貢献度が高いか、相手の利益を考えられるかどうかで「頭が良い人だ」「仕事ができる人だ」と評価されるのです。

仕事というのは他人のためにやるものなので、他人に貢献しない人は「頭が良い」とみなされなくなります。

ここは学生と社会人との大きなギャップなので、若いうちから知っておくと非常に得をすると思います。

 

5月27日(月)18時公開の後編では、「話を聞けない人」とはどういう人なのか、コンサルに向いている人が面接時にすることなどについてお聞きしました。

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インタビュイープロフィール

安達裕哉(あだち・ゆうや)

1975年生まれ。筑波大学大学院環境科学研究科修了後、理系研究職の道を諦め、給料が少し高いという理由でデロイト トーマツ コンサルティング(現アビームコンサルティング)に入社。品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事し、その後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。大阪支社長、東京支社長を歴任したのちに独立。現在はマーケティング会社「ティネクト株式会社」の経営者として、コンサルティング、webメディアの運営支援、記事執筆などを行う。また、個人ブログとして始めた「Books&Apps」が“本質的でためになる”と話題になり、今では累計1億2000万PVを誇る知る人ぞ知るビジネスメディアに。

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