昨今は海洋のマイクロプラスチック(プラスチックのゴミが海に流され小さな破片となること)問題が深刻化していると言われており、早急な対応が求められています。マイクロプラスチックの問題とは、海の生き物がエサと間違えて食べてしまうなど、海洋環境への影響が心配されています。
合成樹脂プレート製造業に従事する東宝化成工業株式会社および生分解性バイオマスプラスチック原料の製造に従事する株式会社ネクアスは、共同プロジェクトを通じて、非可食バイオマス由来の海洋生分解性酢酸セルロース板材「RECEBIO(リセビオ)」を開発しました。
RECEBIOの持つ機能性と持続可能性
今回発表された新素材RECEBIOは、「高い透明度」「抗菌・抗ウイルス効果」「帯電防止効果」といったプラスチックとしての高い機能性を保持しつつ、「リサイクル性」や「海洋生分解性」といった持続可能性も保有しているといいます。
海洋生分解性を有しているため、再生可能資源としての利用や意図しない自然への流出時にも環境へのダメージが少ないといった、SDGsに則った性質を盛り込んだプラスチック資材とのこと。
そのため、RECEBIOでは、2つの資源循環サイクル「マテリアルリサイクル」と「生分解」で、循環型社会の実現を目指すといいます。
海洋生分解性プラスチックとは
海洋中で微生物などの働きにより、最終的に水と二酸化炭素に分解されるプラスチックのこと。
汎用プラスチックと遜色ない物性と加工性
RECEBIOの特徴として、透明度と加工性があるといいます。
従来の海洋生分解性プラスチックでは困難であった全光線透過率89%を実現しつつ、汎用プラスチックと同等の加工性を持っているとのこと。また、帯電防止効果も見込め、静電気の発生や蓄積をおさえ、ホコリやチリを寄せ付けにくい性質もあるそうです。
今後は汎用プラスチックからの代替品としての利用に加え、酢酸由来の抗菌・抗ウイルス性能といった観点から、衛生面が求められる製品への活用も期待できます。
<参照>
新世代 エコ素材「 RECEBIO(リセビオ)」:全光線透過率89%の海洋分解可能バイオ板材
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