『ドラゴン桜』『クロカン』『アルキメデスの大戦』など数々のヒット作を生み出している漫画家の三田紀房先生。今回、U-NOTEでは、著書『ボクは漫画家もどき イケてない男の人生大逆転劇』でご自身を「漫画家としての才能はなかった」「お金のために漫画家になった」と語る三田先生に「才能に頼らなくても成功する方法」についてお聞きしました。
漫画家として成功するためにした3つの方法
ーーー「漫画家の才能がなかった」という三田先生が、漫画家として成功するため具体的にどのようなことをされていたのかお聞きしたいです。
「潰れないでいる方法」「土壇場でひたすら頑張る方法」「コツを掴んで生きる方法」の3つがあります。
まず、「潰れないでいる方法」については、常に自分のできることを確実にコツコツやっていくことですね。
漫画家って、もうやめたって言えば、それで終わりなんですよ。でも、描き続けてる限りは業界にしがみつくことができるので、漫画家になってからも危機的な状況が何回もありましたが、次のチャンスが来るまでのインターバルとしても、自分のできることをやることが生き延びるための1つの方法だと思いましたね。
「土壇場でひたすら頑張る方法」は、最初に自分が頑張るためのプログラムを作成することですね。
漫画家は〆切があるので、土壇場が毎週来るような状況です。そこで、頑張り方が重要なんです。
がむしゃらに頑張るのは1回か2回はできるんですけれど、継続して続けることは不可能なので、頑張るプログラムを自分で作成するんです。この時間にはこの作業をやる、といったことをあらかじめプログラミングしておくと、エネルギーをセーブしながらちゃんと期日に間に合うようにできます。
「コツを掴んで生きる方法」は、先人の経験や知恵を自分なりに学んで、取り入れることです。
自分の完全オリジナルで全て解決しようとするのは、よほどの天才でない限りは無理です。なので、まずは自分の強みと弱みを分析する。すると、自分に足りない部分が見えてくるので、そこは先人の経験や知恵を借りてみると、自分のパフォーマンスのパイを広げることができ、大きな成果につながると思います。
ーーー先生ご自身は漫画を作る際に、具体的にどんな「自分が頑張るためのプログラム」を作ってらっしゃるのでしょうか。
人の力を借りることを大事にしています。
頑張るというと自分1人で頑張ろうとする人が多いですが、僕は、人に頑張ってもらうための環境をどう整備するかに注力しているんです。
漫画家もそうですが、だいたいの仕事はチームワークで成果を出すものですから、チームの中でのバランス配分をプロデュースすることが大事なのではないかと思うんです。僕の仕事場のスタッフも得意・不得意なことがそれぞれにあるので、そこを把握し、できるだけ得意なことをやってもらい、高い成果を得られるようにしています。
人気漫画を分析し、自分の漫画の欠点を知った
ーーー先人の知恵や経験を借りるという点は、三田先生の場合には具体的にはどういったことなのでしょうか。
人気漫画と自分の漫画を比較して、自分の漫画に欠けている点に早く気づくことです。
自分のオリジナルでがむしゃらに描いても成果が出ない場合には、自分の努力に何かが欠けているんです。
そこで、人気漫画を自分なりに分析し、自分の漫画には決めゼリフや見せ場がなかったといった欠点に気づいて、どう改善するかを学ぶ。
これは、作品=商品として欠けている部分を売れている商品から学ぶ、そして、自分の商品を改善することで成果が出る、というどの業界でも通じる基本だと思います。
ーーー営業職でいうと、営業成績が良い人と自分を比較することですね。
その通りです。営業成績が良い人は顧客に対してどういう取り組みをしているかを学んで、その方法をそっくり真似てみてください。自分に決定的に欠けている部分があるわけですから、そこは素直に謙虚に、営業成績のいい人がやっていることを一通り自分もやってみることが大事だと思うんです。
この時、「自分の能力が足りないから」「自分の努力が足りないから」とネガティブ思考をしないことが重要です。「ただ自分がうまくいく方法をやっていなかったから」だとポジティブにとらえると、じゃあ一度試してみようかと思えるようになり、そのうち成果が上がってくるはずですから。
同期でとんでもなく差がつくのなら、何かしらの決定的な原因があるかもしれないですけれど、3つ、4つ上の先輩が成績がよくて、自分の成績が振るわないのは、その先輩は上の人がうまくいった方法をやっているだけかもしれません。うまくいく方法って、だいたいがその職場の中でノウハウとして存在していて、単に先輩が後輩に引き継いでいるだけです。
だから、自分1人の努力で克服しようと思わず、素直に先輩に聞いてみると「これはこうやればいいんだよ」などと教えてもらえて成果が変わってくるはずです。
スピーディーに決断、実行することが大事
ーーー漫画家になられる前は、家業の衣料品店を手伝われていた先生が、漫画作りに生かした「個人商店の商売で得た教訓」について詳しく教えていただきたいです。
スピーディーに決断し、実行することです。家業は個人商店なので、商品の仕入れに時間をかけていると非常に効率が悪くなるので、結果的に決断と実行が速くなりました。だから、僕の漫画作りは速くて、そこがアドバンテージになっています。
コマ割りやセリフのチョイス、キャラクターの見せかたなどを決めることをスピーディに行うことで漫画の量産が可能になります。商品が大量に出荷できることは成果に結びつきやすいですよね。決断と実行に時間がかかるのは、何事においても不利なんですよ。
商売の世界は「タイムイズマネー」です。イーロン・マスクやジェフ・ベゾスも決断が速かったからこそあれだけ会社が急成長したわけで。新しくこれから伸びていく会社も人も、いかに決断を速くするかが重要だと思います。
インタビュー後編では、才能に恵まれない人が何をすべきか、三田先生が人生で学んだ「意外と簡単なこと」などについてお聞きしました。後編はこちらから
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インタビュイープロフィール
三田紀房(みた・のりふさ)
1958年生まれ、岩手県北上市出身。明治大学政治経済学部卒業。代表作に『ドラゴン桜』『インベスターZ』『エンゼルバンク』『クロカン』『砂の栄冠』など。
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