HOMEビジネス 北海道に「商業宇宙港」がある!? 民間企業による ‟地産地消エネルギー” LBM燃料の燃焼試験などを実施【北海道・大樹町】

北海道に「商業宇宙港」がある!? 民間企業による ‟地産地消エネルギー” LBM燃料の燃焼試験などを実施【北海道・大樹町】

服部真由子

2024/05/02(最終更新日:2024/05/07)


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北海道スペースポートの将来イメージ図

「商業宇宙港」と聞いたとき、どんな場所をイメージしますか? やはり、SF映画などで描かれる宇宙旅行者が行き交う「宇宙商業港」でしょうか。

「商業宇宙港」は2024年現在、建設・運営維持を商業的にまかなおうとするロケット発射場であり、将来的に宇宙へ飛び立つ「スペースプレーン」の離着陸にも対応することが見込まれる施設を指します。

北海道十勝地方南部にある大樹町には、地方自治体と民間企業が運営する宇宙商業港「北海道スペースポート(以下、HOSPO)」が稼働しています。

HOSPOとは?

東海大学学生ロケットプロジェクト

HOSPOは、さまざまな企業、大学研究機関などが利用できるという「シェアするスペースポート(宇宙港)」であり、民間に開かれた「宇宙ビジネスを支えるインフラ」となるべく2021年春に誕生しました。

垂直打上げロケット(Vertical Launch)の実験・打上げ施設を備え、政府機関をはじめ民間企業や、東海大学や室蘭工業大学といった教育機関による実験や、ロケット打ち上げが行われています。

また、併設する滑走路では宇宙旅行などを目的とした「スペースプレーン」の試験も行えるそうです。

40年前から宇宙産業を誘致

北海道広尾郡大樹町は、ロケットを打上げる東と南方向に海が広がっていることなどから、宇宙港の適地となる条件が「世界トップクラス」といえるほどに整っているそうです。

1980年代に北海道東北開発公庫(現・日本政策投資銀行)による「航空宇宙産業基地」の候補地に選ばれたことをきっかけに宇宙産業誘致に取り組んできたという同自治体。

HOSPOの運営を担う企業として、官民が出資するというSPACE COTAN株式会社が2021年に創業。同社は「宇宙版シリコンバレー」を北海道に実現することを目指し、「地域や日本の発展に寄与したい」といいます。

酪農王国・北海道ならではの「地産地消」

CO2(二酸化炭素)と同様に、温室効果が高いとされるメタンや一酸化二窒素の排出は、農業・酪農・畜産業に起因することが多いそうです。

三菱総合研究所|食料由来の温室効果ガス削減で世界に先駆け

SPACE COTAN社に出資する、エア・ウォーター北海道株式会社(北海道・札幌市)は、家畜ふん尿から発生するバイオガスを、LNG(液化天然ガス)の代替燃料となるLBM(液化バイオメタン)に加工することで、地域循環型のサプライチェーンを構築する取り組みを行っています。

「HOSPO」がある十勝地方の基盤産業は、酪農や畜産。二酸化炭素に次いで影響の大きい温室効果ガスだとされるメタンを分離・精製・液化したというエア・ウォーター北海道社のLBM燃料を用いたエンジン燃焼実験が行われました。

この実験は、堀江貴文氏が創業したことで知られるインターステラテクノロジズ株式会社が実施。世界では2例目、民間ロケット会社として初めて実施・成功したといいます。

同社は、地球温暖化対策に具体的に貢献することを目指して、地元で排出されたメタンガスから生まれたロケット燃料を「地産地消」。酪農が盛んな北海道を拠点とする企業として、エネルギーの地産地消や環境問題対策に寄与していこうという取り組みです。

<参照>

北海道・大樹町HP|航空宇宙

北海道スペースポートHP

インターステラテクノロジズの小型人工衛星打上げロケットZERO、エンジン燃焼器単体試験に成功

SPACE COTAN、北海道オプショナルツアーズ、日本旅行が北海道スペースポートで民間宇宙開発を学ぶツアー販売開始

東海大学学生ロケットプロジェクト 北海道大樹町で打上げ実験に成功

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