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くるみん認定企業とは?厚生労働省の認定マークについて解説

U-NOTE編集部

2024/05/22(最終更新日:2024/05/22)


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子供がおくるみに包まれた「くるみんマーク」を取得している企業を「くるみん認定企業」と呼びます。くるみんマークは、従業員が育児と仕事を両立させやすい環境を整備している企業の証。子育てと仕事を両立させたい方は、くるみんマークの有無を確認しましょう。

そんな「くるみん認定企業」について解説。くるみん認定企業を取得するための要件や3つの種類などもご紹介しています。くるみんマーク以外に存在する厚生労働省の認定マークについても解説しているので、気になる方は併せてチェックしてみてください。

本記事の内容をざっくり説明
  • くるみん認定企業と3つのくるみんマークについて解説
  • くるみん認定はなぜ誕生したの?その背景と経緯を解説
  • くるみん認定を受ける際にクリアしなければならない10個の認定基準とは?

 

くるみん認定企業とは

「くるみん認定企業」とは、「子育てサポート企業」として厚生労働大臣に認定された企業のことです。認定を受けるには条件があり、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、その目標を達成することが必要です。一定の要件を満たした上で申請を行えば、くるみん認定を受けることが可能です。

参考:厚生労働省「両立支援のひろば Q36「くるみん認定」、「プラチナくるみん認定」、「トライくるみん認定」、「プラス認定」を取得したい

 

くるみんマークの3つの種類とその取り組み

くるみん認定企業は「くるみんマーク」を商品や広告、求人広告などで使うことができます。くるみんマークには3つの種類があり、認定を得るための要件が異なります。マークの違いと必要な要件について理解しておきましょう。

くるみんマーク

「くるみんマーク」は、策定した行動目標を達成するなど一定の要件を満たした企業が申請を行うことで得られるマークです。淡いピンクのおくるみが特徴。マークの上部には認定取得年が書かれ、おくるみを囲うように配置された星はこれまで認定された回数を表しています。

くるみんマークを取得するには、10項目の認定基準を全て満たす必要があります。認定基準は都度改正されているので、認定取得を目指す企業は要件をしっかりと確認しておきましょう。

参考:厚生労働省「次世代育成支援対策推進法関係パンフレット くるみん認定とは

プラチナくるみんマーク

「プラチナくるみんマーク」は、くるみんマークの上位に位置します。くるみん認定またはトライくるみん認定企業のうち、高い水準の取り組みを実施し、かつ一定の要件を満たした場合にプラチナくるみん認定を受けることが可能です。

プラチナくるみんマークは、プラチナのおくるみと王冠が特徴。おくるみにはマントが付いており、マントのカラーは12色から選べます。

プラチナくるみんマークを取得するには、事前にくるみん認定もしくはトライくるみん認定を受けなければなりません。加えて、12項目の特例認定基準を全て満たす必要があります。

参考:厚生労働省「次世代育成支援対策推進法関係パンフレット プラチナくるみん認定とは

トライくるみんマーク

「トライくるみんマーク」は、令和4年4月に新設された新たなくるみんマークで、淡い黄緑色のおくるみが特徴です。

トライくるみんマークを取得するには、10項目の認定基準を全て満たしていなければなりません。認定基準1〜4はくるみん認定と同様で、認定基準5〜10の内容がくるみん認定と異なります。トライくるみんマークの取得を目指す場合には注意しましょう。

参考:厚生労働省「次世代育成支援対策推進法関係パンフレット トライくるみん認定とは

 

くるみん認定が誕生した経緯・歴史

介護と仕事、育児と仕事など、従業員が介護・育児と仕事を両立する支援を促進するために「くるみん認定」は誕生しました

日本では平成17年4月1日から「次世代育成支援対策推進法」が施行されています。この法律は、次世代である子供が健やかに生まれ、成長していくための環境整備やその他対策を国・地方公共団体・国民が担い、行動計画の策定や次世代育成支援対策を推進するための事項を定めた法律です。

「次世代育成支援対策推進法」は、常時雇用する労働者が101人以上いる企業が適用の対象です。「一般事業主行動計画」を策定し、その内容を都道府県労働局に届け出なければなりません。従業員が100人以下の企業は努力義務です。

厚生労働省は、企業の自発的な次世代育成支援に関する取り組みを促進するために、「くるみん認定」の制度を導入しました。認定を受けた企業に対して「両立支援等助成金」「くるみん助成金」「働き方改革推進支援資金」を用意するなど、企業を支援する制度も併せて用意しています。

参考:厚生労働省「次世代育成支援対策推進法関係パンフレット

 

くるみん認定を受けるための10の基準

くるみん認定を受けるためには、以下の10個の認定基準を全て満たす必要があります。

  1. 雇用環境の整備について、行動計画策定指針に照らし適切な行動計画を策定したこと。

  2. 行動計画の計画期間が、2年以上5年以下であること。

  3. 策定した行動計画を実施し、計画に定めた目標を達成したこと。

  4. 策定・変更した行動計画について、公表および労働者への周知を適切に行っていること。

  5. 次の(1)または(2)のいずれかを満たしていること。11)計画期間における、男性労働者の育児休業等取得率が10%以上であり、当該割合を厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」で公表していること。(2)計画期間における、男性労働者の育児休業等取得率および企業独自の育児を目的とした休暇制度利用率が、合わせて20%以上であり、当該割合を厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」で公表していること、かつ、育児休業等を取得した者が1人以上いること。

  6. 計画期間における、女性労働者の育児休業等取得率が、75%以上であり、当該割合を厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」で公表していること。

  7. 3歳から小学校就学前の子どもを育てる労働者について、「育児休業に関する制度、所定外労働の制限に関する制度、所定労働時間の短縮措置または始業時刻変更等の措置に準ずる制度」を講じていること。

  8. 計画期間の終了日の属する事業年度において次の(1)と(2)のいずれも満たしていること。なお、認定申請時にすでに退職している労働者は(1)・(2)のいずれも、分母にも分子にも含みません。(1)フルタイムの労働者等の法定時間外・法定休日労働時間の平均が各月45時間未満であること。(2)月平均の法定時間外労働60時間以上の労働者がいないこと。

  9. 次の①~③のいずれかの措置について、成果に関する具体的な目標を定めて実施していること。①所定外労働の削減のための措置②年次有給休暇の取得の促進のための措置③短時間正社員制度、在宅勤務、テレワークその他働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置

  10. 法および法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がないこと。

参考:厚生労働省「次世代育成支援対策推進法関係パンフレット

 

就活でくるみん認定企業を選ぶ際メリット

くるみん認定企業は、従業員の育児と仕事の両立を支援するためのサポートが充実しています。

例えば、2018年にくるみん認定を取得している株式会社ニトリホールディングスは、育児休業中の従業員を対象とした、休業中・復職後のキャリア支援体制を強化したり、日曜・祝日に出勤する際の託児サービス費用を補助する制度を導入したりと、子育てと仕事を両立する支援制度を拡充させています。

このようにくるみん認定企業は子育てサポートが充実しているため、長く働きやすいというメリットがあります。育児と仕事を両立させ、子育てを十分に行いながらキャリアも積んでいきたいと考える就活生は、希望する企業がくるみん認定企業かどうかをチェックしましょう。

 

知っておきたい厚生労働省の認定マーク

厚生労働省が認定するマークには、くるみん認定以外にもさまざまあります。関連する取り組みを行っている企業は、認定マークの取得を目指してみてはいかがでしょうか。

えるぼし認定

えるぼし認定」は、女性の活躍を推進する取り組みを行っている企業のうち、一定の要件を満たした事業主に付与される認定マークです。取り組み内容に応じて3段階で認定されます。

評価項目は「採用」「継続就業」「労働時間等の働き方」「管理職比率」「多様なキャリアコース」の5つ。これらの項目のうち満たした数に応じて認定段階が決定されます。

参考:厚生労働省「「えるぼし認定」とは

ユースエール認定

ユースエール認定」は、若い世代の採用・育成に積極的な企業のうち、認定基準を満たした中小企業に付与される認定マークです。この制度では、常時雇用する労働者が300人以下の事業主を中小企業と定義しています。

ユースエール認定を取得するには、12の項目を全て満たす必要があります。基準を満たした上で労働局に申請を行うことで、ユースエール認定企業として認定されます。

参考:厚生労働省「ユースエール認定

安全衛生優良企業認定 ホワイトマーク

安全衛生優良企業認定 ホワイトマーク」は、従業員がより安全かつ健康に働ける企業を増やすため、平成27年6月に設置された制度です。

安全衛生優良企業とは、高い安全衛生水準を維持・改善している事業主のうち、厚生労働省から認定を受けている企業のことです。認定を受けることにより、企業は取引先や求職者に働きやすい優良企業であることをPRできます。

認定基準は3つです。第一・第二項目は必須で、第三項目は6割以上、全体として8割以上を満たすことで安全衛生優良企業として認定を受けられます。

参考:厚生労働省「安全衛生優良企業公表制度について

健康経営優良法人 大規模 ホワイト500認定

健康経営優良法人 大規模 ホワイト500認定」は、より優良な健康経営を実現している企業を認定する制度です。従業員・求職者・取引先・金融機関から社会的な評価を得やすい環境を整備する目的で作られました。

大企業を対象とした「大規模法人部門」と、中小企業を対象とした「中小規模法人部門」が設置されています。各部門の上位法人には、大規模部門の場合は「ホワイト500」が、中小規模部門の場合は「ブライト500」が付与されます。

2024年には、株式会社ニトリホールディングスや株式会社セブン&アイ・ホールディングスなどが優良法人として認定されています。

参考:経済産業省「健康経営優良法人認定制度

健康経営優良法人 中小規模 認定

健康経営優良法人 中小規模 認定」は、優良な健康経営を実施している企業のうち、中小規模の企業に与えられる認定制度です。

経営理念・組織体制・制度、施策実行・評価、改善の4項目の総合評価から、優良法人であると認定されます。評価項目は、大規模部門・中小規模部門どちらも同じです。

参考:ACTION! 健康経営「健康経営とは

 

くるみん認定企業の基準を把握しよう

本記事のまとめ
  • くるみん認定には3つのマークがある
  • くるみん認定企業では育児と仕事を両立させやすいため長く働ける
  • くるみん認定企業の他にも厚生労働省の認定マークが多数存在する

就職活動や転職活動を行う際には、くるみん認定企業かどうかを確認しましょう。3種類のくるみん認定マークごとに満たしている内容が異なるため、認定の有無に加えて認定基準も把握しておくと就職後の認識の齟齬を防げます。育児と仕事を両立した働き方を理想とする方は、くるみん認定企業がおすすめです。

その他にも、厚生労働省の認定マークがあるため、本記事を企業選びの参考にしてみてください。

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