会議の議事録や取材など、会話の内容をテキストにしたいときには、音声を聞きながらタイピングしている人も多いでしょう。文字起こしアプリを使えば、音声や動画などの発言を自動でテキスト化したり、会議の内容を要約したりできます。
本記事では文字起こしアプリの概要やメリット、活用時の注意点、選び方を解説。個人向け・企業向けに分けて、おすすめアプリも紹介します。
- 文字起こしアプリのメリット
- 文字起こしアプリの注意点と選び方
- おすすめの文字起こしアプリを個人向け・企業向け別に紹介
文字起こしアプリとは
文字起こしアプリとは、音声や動画などで話されている内容を自動でテキスト化するアプリです。最近はAIを搭載し、人の聞き取りに近い精度で文字起こしできるサービスが増えました。
人力で文字起こしをするにはかなりの時間と労力がかかります。特に初めて文字起こしをする場合、あまりの大変さに驚いてしまうでしょう。1時間の音声をテキスト化するのに8時間以上かかったという人も。慣れていても、音声データをテキスト化するには、データの2〜3倍程度の時間が必要です。
文字起こしアプリのメリット
アプリを利用することで、文字起こしにかかるコストや、ストレスを大きく軽減できます。文字起こしのプロ(リライター)もアプリでベースのテキストを作ってから、細かな修正や調整をしています。
しかし、文字起こしアプリを利用するメリットは作業の効率化・時間短縮だけではありません。文字起こしアプリのメリットを3つの観点から紹介します。
文字起こしの手間が省け生産性が向上する
アプリを活用する最大のメリットは、やはり文字起こしの手間が省けることでしょう。文字起こしにはかなりの時間と労力がかかります。
理論上は、最短で「音声の再生時間と同じだけの時間」で文字起こしが完了することになりますが、現実はそうはいきません。
プロのリライターやタイプライターは別として、人が話すのと同じスピードでタイピングができる人はあまりいないでしょう。タイピングが間に合わなかったり、特定の箇所が聞き取れなかったり、文字起こしでは再生速度を落として何度も巻き戻しをすることになります。
アプリを使えば再生時間の調整や巻き戻しは必要ありません。文字起こしするファイルの大きさにもよりますが、数分ほどで文字起こしできるアプリも多く、再生時間の何分の一もの時間で大まかな文字起こしが完了します。
音声よりもテキストの方が確認しやすい
「動画や音声はテキストの何百倍、何千倍の情報を短時間で伝えられる」といわれています。情報量だけで見れば、動画や音声はテキストよりも遥かに優れています。
しかし、一定のスピードで進んでいく動画や音声では、再生速度に内容の理解が追い付かないこともあるでしょう。外出先ではイヤホンをつける必要がある、何となく集中できなくて内容が全然頭に入ってこないなど、動画や音声には不便な側面もあります。
自分のペースで読めるテキストなら内容をじっくり理解できます。重要な部分や自分に関係のある部分だけを拾い読みするのも簡単です。気になる部分にメモを残すこともできます。
難しい内容、何度も確認したい動画や音声は内容を確認・理解しやすいよう、アプリで文字起こしすると便利です。
会話やトークに集中できる
議事録作成やセミナー参加、インタビューなどをする場合、録音アプリと文字起こしアプリを活用することで、会話やトークの最中にメモを取る必要がなくなります。話の内容そのものに集中しやすくなり、質問や話を聞いたうえでの自分の意見なども思い浮かびやすくなるでしょう。
もちろん、メモを取ることには「話の要点を理解しやすくなる」「内容が記憶に残りやすくなる」などの効果もあります。ただ、マルチタスクが苦手な人だとメモを取ることで精いっぱいになり、話の内容に頭がついていかなくなることもあります。
自分の特性やその日のコンディションも考え、メモを取るのか、録音と文字起こしでメモの代用をするのかを考えましょう。
文字起こしアプリを活用するときの注意点
文字起こしアプリは便利ですが、万能ではありません。録音環境や話の内容にもよりますが、ある程度の手直しは必要です。文字起こしアプリの活用、文字起こし用の音声録音に関する注意点を紹介します。
ある程度の手直しは必要
音質や話の内容にもよりますが、文字起こしアプリを使っても、ある程度の手直しは必要です。アプリを使っても正確にテキスト化できない部分、同音異義の漢字や似た発音の違う言葉が使われてしまう部分はあるものです。
また、文字起こしには「素起こし」「ケバ取り」「整文」という3つの段階があります。素起こしは音声をそのままテキスト化すること、素起こししたテキストから「あー」「えー」などの意味のない言葉を取るのがケバ取り、最後に「文章として読みやすく整える」のが整文です。
アプリでできるのは基本的に素起こしです。ケバ取りや整文ができるアプリもありますが、きちんとした文章に書き起こしたいなら、やはり人が微調整しなければなりません。
私的な目的で、すでに視聴したことがある音声や動画を文字起こしをするなら手直ししなくても構いません。しかし、議事録や資料、動画の字幕などを作るために文字起こしをするなら、アプリを使ってもある程度の手直しが必要です。
録音環境の影響を受けやすい
人の手による文字起こしにもいえることですが、アプリも録音環境の影響を受けやすいです。音声に雑音が入っていたり、音質がクリアでなかったりすると、文字起こしの精度が低くなります。
文字起こし用の音声は、録音機器の性能や設置場所などに気を付け、なるべくクリアな音質で録音しましょう。たとえば録音機器はポケットやカバンの中ではなく表に出しておく、話者の近くに置く、屋外で録音するときは風避けをするなどの対策が考えられます。
録音担当者(自分)の私語にも気をつけましょう。特にセミナーや講演会などの音声を録音する場合、録音する人が内容に感心して独り言を言ってしまうことが多いです。話者の話に独り言が被さってしまうと、その箇所は人でもなかなか聞き取れません。
専門用語が多い音声には不向き
固有名詞や専門用語が多い音声はアプリによる文字起こしに向いていません。これらの単語を理解し、正しくテキスト化するには前提知識が必要です。たとえば建設業の音声を文字起こしする場合、建設業界で働く人や建設関連の文字起こしや執筆が多いリライター・ライターに任せるとスムーズでしょう。
アプリで読み取れなかった専門用語は自ら確認し、辞書やインターネット検索を活用しながら修正していかなければなりません。その後、アプリの辞書登録機能やAIによる学習機能を活用し、読み取れなかった言葉をアプリに記憶させるといいでしょう。
文字起こしアプリの選定ポイント
選ぶべき文字起こしアプリは、文字起こしの目的や用途、求める精度などにより異なります。文字起こしアプリの選定ポイントを5つ紹介します。
対応したデバイスやOS、ファイル形式
まずは文字起こしに使うデバイスとそのOSを確認し、導入候補の文字起こしアプリが対応していることを確かめましょう。
文字起こしの対象となる音声・動画のファイル形式も重要です。ファイル形式は変換することもできますが、これには手間がかかります。何度も文字起こしをするなら、音声・動画ファイルをなるべく統一し、変換の手間がかからないようにしましょう。
文字起こしの精度
人の手による修正・調整を減らすために、アプリの文字起こし精度を確認しましょう。最近はAIを搭載し、高精度で音声を読み取れる文字起こしアプリが増えてきました。そのアプリがどのような技術を使っているのか、口コミや評判と併せて確認しましょう。
何度も使う前提なら、トライアルや安価なプランでアプリを実際に使ってみて、文字起こしの精度を確かめるのがおすすめです。
文字起こしの速度
読み取るファイルの大きさにもよりますが、アプリによる文字起こしは数分程度で完了することが多いです。ただ、容量の大きなファイルや長時間の音声をテキスト化するにはそれなりに時間がかかります。アプリによる文字起こしのスピードを確認し、ストレスフリーで使えるものを選びましょう。
特に議事録作成のために、リアルタイムで文字起こしをするような場合、リアルタイムで文字起こしができるアプリがおすすめです。
機能
文字起こしアプリには議事録作成をサポートしたりテキスト化したファイルを共有したり、便利な機能が付帯したものも多いです。動画用の文字起こしアプリには、テキスト化した音声をそのまま字幕にし、動画に入れられるものもあります。
文字起こしの目的に応じて必要な機能、あると便利な機能を考えてみましょう。
料金
無料で利用できる文字起こしアプリもありますが、文字起こしできる容量(動画や音声の再生時間)や機能が制限されていることが多いです。無料でどこまでできるのか、機能と価格のバランスはどうなのか、料金の金額や形態を確認しましょう。
一般的に、高機能のアプリほど料金が高くなっていきます。本当に必要な機能を見極め、費用対効果の高いアプリ・プランを選びましょう。
個人におすすめの文字起こしアプリ4選
次からは、実際におすすめの文字起こしアプリを紹介していきます。
まずは個人におすすめの手軽に使える文字起こしアプリ、無料で使える文字起こしアプリを紹介します。
Notta
Nottaは音声認識とAI要約により、高精度の文字起こしと要約ができる文字起こしソフトです。無料プランもあり、1回につき3分、月間120分までの文字起こしが可能。費用をかけずに文字起こしを試してみたい、私用の短い音声メモをテキスト化したいケースにおすすめです。
>>公式サイト
Speechy Lite
Speechy Liteは人工知能と音声認識を活用した音声入力アプリです。ひとつのアプリで同時に音声入力と録音ができます。音声認識されたテキストを88以上の言語に翻訳したり、テキスト・オーディオファイルを外部アプリに共有したり、コンパクトでありながら便利な機能がそろっています。
>>公式サイト
文字起こしさん
文字起こしさんはブラウザで使える文字起こしサービスで、最大90分、1GBまでの音声・動画ファイルに対応しています。無料で最初の60秒を文字起こしできるので、文字起こしの精度や速度を確認してみましょう。
>>公式サイト
RIMO Voice
RIMO Voiceは日本語に特化したAI文字起こしソフトです。1時間の音声データを5分ほどでテキスト化できます。音声の再生に合わせて文字起こしされたテキストをハイライトしたり、文字をクリックすることで該当部分の音声をピンポイントで再生したりできます。
また、要約機能も搭載しており聞きたい部分をサッと確認したり、要約で全容を振り返ったり、議事録作成や記事編集に適した機能が充実しています。
>>公式サイト
企業におすすめの文字起こしアプリ7選
次に、企業におすすめの高機能な文字起こしアプリを紹介します。議事録や記事の作成・編集を効率化したい企業には特におすすめです。
Texter
Texterは最先端のAI音声認識技術を活用した文字起こしアプリです。音声はもちろん、画像や動画の文字起こし、録音しながらのリアルタイム文字起こしにも対応。句読点や疑問符への変換にも強いです。
>>公式サイト
toruno
torunoは文字起こし・録音・画面キャプチャの3つの方法で会議を記録するサービスです。Web会議とリアル会議の両方に対応し、会議の記録や議事録作成を効率化します。要点をサッと確認したときは文字起こししたテキストで、詳細を振り返りたいときは音声・画面キャプチャでというように、目的に応じて効率よく記録を確認できるのが便利です。
>>公式サイト
YouWire
YouWireは通話の録音・文字起こしができるサービスです。顧客との通話を自動で録音し、録音終了と同時にテキスト化。文字起こしされたテキストデータは、音声データと一緒にクラウドで保管されます。顧客との言った言わないのトラブル防止、顧客対応やテレアポの精度向上などに役立つサービスです。
>>公式サイト
スマート書記
スマート書記はAI活用により議事録作成をサポートするサービスです。90%以上の精度を誇る文字起こしとAIによる要約・要点抽出でわかりやすい議事録を簡単に作成できます。書き言葉への変換も自動でできるため、きちんとした資料を作りたい場合に便利です。
>>公式サイト
YOMEL
YOMELはワンクリックで議事録の9割以上が完成する議事録作成サービスです。会議終了後、誰がどんな発言をしたのか、会話がチャット形式で一覧表示されます。「あー」「えー」などのケバ取りは自動、会議の要約や要点一覧も全文書き起こしと同じ画面で表示されるため、会議の全容を簡単に把握できます。
>>公式サイト
AI GIJIROKU
AI GIJIROKUは月額1,500円から利用できる議事録作成ツールです。音声認識精度は99.8%と圧倒的で、発言を正しく記録しテキスト化します。Zoomと連携することでWeb会議やウェビナーの会話をリアルタイムで字幕化することもできます。
>>公式サイト
AI議事録取れる君
AI議事録取れる君は月額980円から利用できる議事録作成システムです。会議中の発言をリアルタイムでテキスト化できるため、会話の流れを振り返りながら会議を進めていけます。会議(文字起こし)終了後はAIがテキストを解析し、小見出しと箇条書きで内容を要約。単語登録により専門用語や固有名詞の認識精度を高めることもできます。
>>公式サイト
文字起こしアプリは精度を軸に、機能や価格を比較しよう
- 文字起こしアプリを活用することで議事録作成やメモ取りの負担を軽減
- 文字起こしアプリは精度を軸に選ぼう
- 録音環境の整備や用語の辞書登録で読み取り精度アップ
手動での文字起こしには膨大な時間と手間がかかります。アプリを活用することで文字起こしの負担を何分の一にも軽減し、議事録作成や動画の字幕作りなどを効率化できます。最近はAIを活用した要約機能を備えたアプリも多く、議事録作成に特におすすめです。
文字起こしアプリでは何よりも読み取り精度が重要です。高精度のアプリを選ぶのはもちろん、録音環境を整えたり、専門用語や固有名詞を辞書登録で学習させたりすることで、文字起こしの精度を高めていきましょう。
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