2022年のサービス開始から何かと話題の生成AI「ChatGPT」。2023年には有料版「ChatGPT Plus」のリリースと続き、今年4月にはOpen AIのアジア初拠点となる東京オフィスがオープンし、日本でもChatGPTがより日常的にビジネスで使われる段階に入ってきそうです。
『面倒なことはChatGPTにやらせよう』の著者の1人・からあげさんへのインタビュー後編では、ChatGPT以外で、業務効率化に使える生成AIやおすすめのサイトなどについてお聞きしました。
インタビュー前編はこちら
ChatGPTとClaude 3に同じ質問をしてよいとこ取りをする
ーーー20代前半の若手ビジネスパーソンに向けて、仕事の業務効率化で使えるChatGPTなどの生成AI以外でおすすめのサイトやアプリはありますか?
会社の規定などをクリアしている前提にはなりますが、個人として使って仕事に使えるものだと、メモアプリ「Notion」と、チャットアプリの「Slack」や「Discord」です。
Notionは、プロジェクト管理もできる高機能なメモアプリで共同編集もできるのですが、データを大量に無制限にアップロードできるのがとてもよいです。
今回の書籍は共著なのと、編集者の方にかなりチェックをしてもらいつつ書いたのですが、そのプロジェクト管理や執筆、原稿に対するコメントなどをNotionで行っていて、非常に役立ちました。仕事でも内容によっては、プロジェクト管理に活用できるのではないかと思います。
Slackは、IT系企業だと使っているところも多いと思うのですが、Discordは個人に特におすすめです。Discordは無料版でも、昔の書き込みがちゃんと残っていることと、複数人で音声チャットとかもできるので、オンラインでのコミュニティーで使用するのに使い勝手がよいです。
チャットツールは、ChatGPTのような生成AIとの組み合わせが便利なんです。自分の代わりに自動投稿してくれるbotを生成AIで作って、チャットで運用するのは私も結構やっています。
ーーー生成AI関連だと、ChatGPT以外に何かおすすめのものはありますか?
AI関連は移り変わりが激しい業界なので、もしかするとすぐ変わってしまうかもしれないのですが、Anthropicが提供している「Claude 3(クロード3)」ですね。ChatGPTのような生成AIなのですが、性能がよいんです。
ChatGPTとClaude 3に同じ質問をして、回答を見比べていいとこ取りをする使い方を私はしています。ただ、まだChatGPTのように、Webブラウザ上でいろいろな作業をやらせることはできないので、作業系はChatGPTの方が使い勝手がいいなと思っています。
今後もどんどん新しい生成AIが出てくるのではないでしょうか。
AI関連の最新情報をキャッチアップするには
ーーー移り変わるAI関連の最新情報をキャッチアップするにはどうしたらよいのでしょうか?
AI関連の情報発信をしている人を何人かSNSでフォローしておいて、良さそうなものがあったら取り入れたり、検討してみたりするぐらいが、多くの人にとってはよいのではないかと思います。情報発信している人たちというのはだいたいつながっているので、1人見つければ芋づる式に見つけられるはずです。
ーーーとはいえ、自分ではなかなか最初の1人が探せないので……まずはからあげさんと「面倒なことはChatGPTにやらせよう」のもう1人の著者・カレーちゃんさんをフォローするのがいいんでしょうか?
はい(笑)。カレーちゃんもデータサイエンス業界で有名な素晴らしい方なので、まずは私たちをフォローすることから始めていけば、いろんな情報がSNSで流れてくるんじゃないかなと思います。
●からあげさんのX(旧Twitter)アカウント
https://twitter.com/karaage0703
●カレーちゃんのX(旧Twitter)アカウント
https://twitter.com/currypurin
ーーー最後に、ChatGPTを使用し始める人へのメッセージはありますか?
まず、無料版だけ使って物足りなさを感じてやめちゃうのはもったいないので、ぜひ一度課金して有料版を使ってみてほしいです。無料版と有料版だと、性能も使える機能も結構違うので。Excelファイルを処理して、グラフを表示して保存してくれるといったほかのツールを使うところまでやってくれるのは有料版なんです。
自分の書籍も基本、有料版をターゲットに書いています。
そのうち、無料版でも使える機能が増えてくると思うのですが、一度有料版の便利さを体験しておくと早く使った分だけ慣れてゆきますし、いろんな可能性が広がるんじゃないかなと思います。
必要以上に恐れてAIを使わないのは社会的損失
ーーーChatGPTでは著作権侵害の問題が話題になることも多いですが、どう気をつけたらいいのでしょうか……。
この話は結構難しくて、まだどこまでがオッケーなラインなのか、社会的な共通認識がない状況だと思います。
著作権問題などを取り上げて、AIを使うことを必要以上に恐れている人も多いように感じています。ただ、AIを恐れて使わないのも社会的損失につながってしまうと思っています。そのために、個人で使うなら自分なりの、会社で使うなら会社での、基準やガイドラインを決めて運用していくのがよいのではないかと思っています。
日本ディープラーニング協会からも「生成AIのガイドライン」が公開されていますので、それらを参考にして利用していくのがいいのではないでしょうか。
からあげさん・カレーちゃんさんの共著『面倒なことはChatGPTにやらせよう』の購入はこちらから
インタビュイープロフィール
からあげ
東京大学松尾研究室/株式会社松尾研究所に所属のデータサイエンティスト。『人気ブロガーからあげ先生のとにかく楽しいAI自作教室』『Jetson Nano超入門』を執筆。『ラズパイマガジン』『日経Linux』など多数の商業誌・Webメディアへも記事を寄稿。
個人としてモノづくりを楽しむメイカーとして「Ogaki Mini Maker Faire」をはじめとした複数のメイカー系イベントに出展。好きな食べ物は、からあげ。
ブログ:「karaage.」
X(旧Twitter):@karaage0703
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