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リードナーチャリングとは?意味や成功事例、方法を紹介

U-NOTE編集部

2024/04/11(最終更新日:2024/04/11)


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マーケティングにより獲得したリード(見込み顧客)を育成する活動のことを「リードナーチャリング」と呼びます。見込み顧客は将来的に顧客となる可能性を秘めており、売上向上・受注率向上にはナーチャリングが欠かせません。

そんな「リードナーチャリング」について解説。成功事例やリードナーチャリングの基本的な流れもご紹介します。

本記事の内容をざっくり説明
  • リードナーチャリングとは?
  • リードナーチャリングの手法をオフライン・オンラインに分けてご紹介
  • 施策実施前に適切なKPIを設定するポイントとは?

 

リードナーチャリング(見込み顧客育成)とは

リードナーチャリングは、別名で見込み顧客育成とも呼ばれます。マーケティング活動を行う際のプロセスのひとつで、顧客の購買意欲を高め、購入確度を上げる役割を担っています。リードナーチャリング・リードジェネレーション・リードオリフィケーションの3つに分けられるマーケティング活動のプロセスをそれぞれ簡単にご紹介します。

リードナーチャリングの意味

「リードナーチャリング」とは、獲得した見込み客の購買意欲を高めるマーケティング活動のことを指します。マーケティングの流れは、顧客の獲得・育成・選別の3つに大きく分けられます。まず最初に獲得した顧客のことを「リード」と呼び、そのリードを育成するのがリードナーチャリングです。

リードジェネレーションとの違い

「リードジェネレーション」は、見込み客を獲得するマーケティング活動のことです。将来的に自社の顧客となりそうなユーザーを発掘します。この時点では顧客の選別は行われず、自社製品やサービスとマッチしそうなユーザーを数多く獲得します。

関連記事:リードジェネレーションとは?意味や手法、事例を紹介

リードクオリフィケーションと違い

「リードクオリフィケーション」は、獲得し、育成した顧客の中から購入確度の高いユーザー「ホットリード」を選別する活動です。3つの活動の中でも特に重要なプロセスで、スコアリングを行うことでホットリードを抽出します。

 

リードナーチャリングが重視される理由

マーケティング活動では、なぜリードナーチャリングを実施するのでしょうか。リードナーチャリングを導入することによって得られるメリットと共に、重視されている理由を解説します。

ユーザーの購入意思決定のプロセスの変化に対応している

ユーザーの購入意思決定プロセスは、時代によって変化します。購買行動モデルと言えば「AIDMA」「AISAS」などが有名ですが、インターネットやSNSが広く普及した現代では「ULSSAS」や「SAUSE」が主流となってきています。

リードナーチャリングは、こうした時代に合わせて変化する購買行動モデルに対応することが可能。ユーザーの購入意思決定プロセスが変化した場合に効果的な施策を実施できるため、重視されています。

見込み顧客に継続的にアプローチできる

リードナーチャリングは、中長期的にリードを育成し、購買や成約に繋げる活動です。リードのステージに合わせた手法で、継続的にアプローチすることが前提となっています。

こうした継続的な取り組みにより、機会損失を防ぐことが可能。近年は購買に至るまでのプロセスが長期化しています。リードナーチャリングにより長期的に接点を持ち続けることができれば、顧客との良好な信頼関係を築きつつ、競合他社への流出も防止できます。

営業リソースの最適な分配ができる

リードナーチャリングでは、獲得したリードを分析・分類して購買に繋がりそうなホットリードを営業に共有できます。営業効率が高いのが特徴です。また、購入確度が高いリードからアプローチができるため、受注効率の向上も期待できます。

従来の営業は、リストの上から手当たり次第にアプローチを行い、受注や成約に繋げる手法が一般的でした。リードナーチャリングは、こうした無駄なコストを削減しリソースの最適な分配をしながら、営業効率・受注率を共にあげる方法として注目されています。

 

リードナーチャリングの成功事例

ビデオリリースサービスを展開する「株式会社NewsTV」は、リードナーチャリングの手法としてメルマガ配信を実施。顧客管理や開封率の分析などができるMAツールを導入し、定期的なメルマガ配信を行うことで、リードをナーチャリングしていったと言います。営業チームと連携し、リードの取りこぼしを防いだこともあって、案件化率は従来の約4倍にも達しています。

リードナーチャリングの手法としてメルマガを用い、MAツールを活用しながらナーチャリングを成功させた参考となる事例です。

参考:SATORI「マーケティング組織の本格立ち上げと同時に「SATORI」を導入。顧客ナーチャリングで案件化率は約4倍に!

 

リードナーチャリングの手法・方法

リードナーチャリングの手法・方法は、オフライン・オンラインに分けられます。それぞれ代表的な手法・方法をご紹介します。

オフライン

オフラインの手法は、準備する時間や実施の手間がかかるものの、リードに対して直接的なアプローチができるのがメリットです。オフラインの手法の中でも3つピックアップしてご紹介します。

セミナーなどのイベント

セミナーなどのイベントは、リードと直接コミュニケーションが取れるため、リードナーチャリングの手法の中でも高い効果が期待できます。質疑応答の時間を設けることで、その場でリードの不安や疑問も解消できます。

近年はオンラインでのイベント開催も一般化しています。リードが参加しやすいという点でもぜひ実施したい手法です。イベントは、メルマガやオウンドメディアコンテンツと組み合わせも可能です。

電話

電話での直接的なアプローチもリードナーチャリングで有効な手法です。リードジェネレーションでは手当たり次第に電話をかけ、顧客獲得を目指しますが、リードナーチャリングでは、中でも特に興味・関心が強いリードに対して電話でのコミュニケーションを行います。

手紙・チラシ

手紙・チラシを使ったリードナーチャリングの手法は、古典的ですが効果が期待できます。メールに比べてたくさんの情報を掲載できるのがメリットです。資料が手元に届く分、開封される確率が高く、オンラインのコミュニケーションが難しい見込み客に対してアプローチが可能です。

一方で、制作費や郵送費などオンライン施策に比べてコストがかかりやすいことは留意点です。

オンライン

オンラインのリードナーチャリングの手法には、ホワイトペーパー・メルマガ・オウンドメディアなどのコンテンツ・SNSなどが挙げられます。各手法のポイントをわかりやすく解説します。

ホワイトペーパー

ホワイトペーパーとは、自社商品やサービスの説明を詳細に記した資料のことです。企業のサイトから顧客がメールアドレスを入力して自らダウンロードします。ホワイトペーパーをダウンロードする顧客は購入確度が高いと言われています。購入や成約に繋がるよう、見込み顧客が求める情報を記載しましょう。

メルマガ

メルマガは、見込み客へのコミュニケーションの回数を増やせる手法です。リードの興味・関心の度合いに合わせて段階的に配信内容を変更していく「ステップメール」や、設定した条件でリードを分類し、それぞれ適した内容を配信する「セグメントメール」などを行うのが一般的です。

オウンドメディアなどのコンテンツ

オウンドメディアなどのコンテンツは、SEO検索による流入があったリードにアプローチできる手法です。セミナーなどのオフラインのイベントや、メルマガ・SNSとも連携させることが可能です。

SNS

BtoC向けのコンテンツであれば、SNSを活用したリードナーチャリングも可能です。近年は、SNSで情報収集を行う方が増えています。定期的に情報を発信することで、情報を求めているユーザーの購買意欲をかき立て、購入に繋げることが可能です。

 

リードナーチャリングのやり方・流れをSTEPに分けて紹介

リードナーチャリングには基本のやり方・流れがあります。STEP1〜STEP6まで分けてご紹介するので、これからリードナーチャリングに取り組む方は参考にしてみてください。

STEP1.見込み顧客の情報を分析・整理する

リードにアプローチするためには、まず見込み顧客の情報を分析・整理する作業が必要です。具体的には、リードを年齢や性別、職業などの属性に分けます。その後、分類したリードの中から、自社商品やサービスを購買する可能性がある見込み顧客を抽出します。

STEP2.リードのプロセスを把握する

見込み顧客の情報の分析・整理が終わったら、抽出したリードのプロセスを把握します。ここで言うプロセスとは、カスタマージャーニーマップのことです。商品やサービスを認知し、購入に至るまでのプロセスの中で、リードがどのステージにいるのかを明らかにします。

STEP3.リードの優先順位を決める

次に、抽出したリードの中からアプローチを行う優先順位を決めます。優先順位を決める方法としては、スコアリングが挙げられます。リードの行動に対して点数をつけ、一定の点数を超えた顧客をホットリードとして、優先的にアプローチを行います。

STEP4.KPIを策定する

実際に施策を行う前に、KPIの策定も行います。KPIは手法ごとに定めるとゴールまでの道筋が明らかになり、最短距離でゴール到達を目指せます。例えば、電話の場合は商談化の件数や資料送付の数がKPIとして考えられます。メールの場合は、開封率やリンククリック率、コンバージョン率などがKPIとして設定されます。

STEP5.リードに合わせたアプローチや手法を検討・実行する

ここまでの準備を行ってからやっと、リードに合わせたアプローチや手法を検討・実行するステップに移ります。見込み顧客の状態に合わせて適切なアプローチを行うことで、より制約や購入に繋げられる可能性を高められます。

STEP6.施策の効果を分析し、PDCAサイクルを回す

STEP1〜STEP5までが実行できたら、効果検証も忘れず行いましょう。アプローチに対してリードがどんな反応をするのかは、実際に施策を実施してみないと分かりません。マーケティング部門と営業部門で連携し、リードの反応をフロー改善に繋げていきましょう。このPDCAサイクルを回すことで、リードナーチャリングの有効性を高められます。

 

適切なKPIの決め方

リードナーチャリングを行う際、手法ごとに適切なKPIの設定が必要です。メールと電話の場合のKPIの決め方をそれぞれ解説します。

メール

リードナーチャリングとしてメールマガジンを配信する際のKPIは、開封率・URLのクリック率・コンバージョン率の3つです。3つのKPIの決め方について一般的な数値を用いながら説明します。

開封率

リードナーチャリングの手法としてメルマガを取り入れている場合は、メールの開封率がKPIのひとつになります。業種にもよりますが、開封率は20%前後が一般的です。この数値を基準にしつつ、自社の現状の開封率から適切なKPIを決めましょう。

開封率の計算は「開封数÷(配信数-不達数)×100」の式で求められます。なお、開封率の測定はHTMLメールに限られます。

URLのクリック率

オフラインのイベント案内をメールでお知らせする場合には、URLのクリック率をKPIとして設定します。

メール内に記載したURLのクリック率は、2%程度が一般的な数値です。クリック率は「クリックされた回数÷有効配信数×100」の式で計算できます。

コンバージョン率

メールにおけるコンバージョン率とは、記載されたURLをクリックし、アクセスしたページからイベントの申し込みや資料のダウンロードに繋がった割合のことを指します。コンバージョン率は一般的に、クリック率の10分の1だと言われています。つまり、クリック率が2%の場合、コンバージョン率は0.2%です。

メール配信の最終目標は、リンク先でアクションを特定のアクションを起こしてもらうことです。そのため、コンバージョン率は特に重要なKPIとされています。コンバージョン率から先にKPIを設定し、逆算する形でURLのクリック率と開封率のKPIを設定するのがおすすめです。

電話

リードナーチャリングの手法として電話をかける際のKPIは、アポイント数と商談数、資料送付数の3つです。なぜこれらをKPIとして設定するのか、その理由とKPIの決め方を説明します。

アポイント・商談数

電話によるリードナーチャリングでは、アポイント数や商談の数がKPIのひとつになります。アポイント数や商談数とは、電話をかけることでリードとコミュニケーションを取り、そこから営業部門との商談やアポイントの約束を取り付けられた数のことです。

商談化の件数は最初は多い方が理想的です。一定数の商談化ができるようになったら、今度は商談の質をKPIに設定します。

資料送付数

電話によるリードナーチャリングの最終目標は、営業部門との商談に繋げることです。その前段階がアポイント数・商談数、そして資料送付数です。電話をかけたリードのうち、資料送付ができた割合がKPIとなります。

資料送付を求めるリードは、内容に興味関心があることがほとんどです。商談化に繋がるケースも多く、KGI達成に関するひとつの指標となり得ます。

 

リードナーチャリングで成功するための7つのポイント

リードナーチャリングで成功するための7つのポイントを解説します。これらのポイントを意識して、リードの育成に取り組みましょう。

購買欲の高いリード(ホットリード)からアプローチする

リードナーチャリングでは、リードに対して適切なアプローチを行うことが重要です。中でも購買意欲の高いホットリードからアプローチすると施策の成果が出やすいため、チームメンバーのモチベーションを維持しながら継続的な取り組みを行えます。

ホットリードを明確にする方法は、スコアリングという手法がおすすめです。リードの行動に対して点数を与え、一定の点数を超えたユーザーをホットリードと定義してアプローチを行います。

客観的に説得力があるKPIの設定を行う

リードナーチャリングで設定するKPIは、客観的に説得力がある適切なKPIである必要があります。KGIが最終目標であるのに対して、KPIはゴールまでの達成度を把握するための中間目標です。説得力があるKPIが設定されていると必要なプロセスが明確になり、結果的に最短ルートで最終目標に到達することができます。

成果が出るまでに時間がかかることを理解する

リードナーチャリングは、リードに対して段階的にさまざまな施策を行うため、成果が出るまでに時間がかかります。短期ではなく中長期的な活動によって効果が発揮される取り組みであることを念頭に入れておきましょう。

外部ツール(MAツール)を活用する

リードの数が多い場合、手動で対応するには時間がかかりすぎてしまいます。ホットリードに対して適切なタイミングで効率的にアプローチするためにも、外部ツール(MAツール)は活用していきましょう。

MAツール(マーケティング・オートメーションツール)は、マーケティング施策の一連の流れを自動化し、効率的に行うためのツールです。リードの管理やスコアリング、データの分析など、便利なツールが数多く搭載されています。

導入コストが高めに設定されていることが多くありますが、人的リソースを削減したい場合には有効です。

コンテンツ提供のタイミングを図る

リードナーチャリングを成功させるには、リードへのコンテンツ提供タイミングを図ることも非常に重要です。リードの行動からニーズを汲み取り、必要とされているコンテンツを提供するようにしましょう。タイミングを意識することで成約率や購買率が大きく変わります。

リード獲得から受注までのプロセスをチーム体制で行う

リードナーチャリングでは、リードを創出・獲得するマーケティング部門と、リードに対してアプローチを行い受注に繋げる営業部門の連携が欠かせません。

中でも重要なのがインサイドセールスです。インサイドセールスとは、電話やメールなど非対面での営業活動のことです。インサイドセールスによりナーチャリングしたリードを営業にトスアップする流れを構築することで、リードの創出・獲得から受注までがスムーズに行われるため、受注率・成約率などの向上が期待できます。

オフライン・オンラインの両方からリードにアプローチする

リードを育成する手法は、オフライン・オンラインの両方を取り入れましょう。例えば、セミナーやイベントなどオフラインのアプローチをした後、メルマガやオウンドメディアのコンテンツなどオンラインのコンテンツを提供することで、継続的なアプローチが可能になります。

逆に、ホワイトペーパーをダウンロードしたリードにセミナーの案内を送るなど、オンラインからオフラインへの連携も考えられます。

 

見込み顧客の取りこぼしを最小化しよう

本記事のまとめ
  • リードナーチャリングは、営業リソースを最適化しながら受注率を挙げられるのがメリット
  • リードナーチャリングはオンライン・オフラインの手法を組み合わせて実施しよう
  • 便利なMAツールを使って効率化することも重要

マーケティング活動によって獲得したリードは、将来的に顧客となる可能性を秘めています。リードナーチャリングでは、そうした見込み顧客の取りこぼしを防ぎ、育成することで売上の向上に繋げられます。ご紹介したSTEP1〜STEP6までの流れを参考しつつ、見込み客の取りこぼしの最小化を目指しましょう。

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