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ソーシャルリクルーティングとは?メリット・成功事例・採用を成功させるポイントを紹介

U-NOTE編集部

2024/04/03(最終更新日:2024/04/03)


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SNSを利用した採用手法として注目されている「ソーシャルリクルーティング」。優秀な人材の確保や入社後のミスマッチを防ぐ目的で、一定の効果が期待できます。

本記事では、そんな「ソーシャルリクルーティング」の基本を解説。ソーシャルリクルーティングを実施するメリットや企業事例、成功させるポイントについてもご紹介します。新たな採用手法を模索している企業の採用担当者は、ぜひ参考にしてみてください。

本記事の内容をざっくり説明
  • ソーシャルリクルーティングによって得られるメリットとは?
  • ソーシャルリクルーティングで主に利用されているSNSを5つご紹介
  • ソーシャルリクルーティングを実施する際の4つのステップ

 

ソーシャルリクルーティングとは?

少子高齢化が進行し、労働力不足が懸念されている日本において注目されているのがソーシャルリクルーティングという採用手法です。この手法を取り入れている日本企業はまだ多くないため、どのような方法なのか詳細を知らない方も多いのではないでしょうか。

まずはソーシャルリクルーティングがどんな採用手法なのか、基本的な知識を身につけておきましょう。

ソーシャルリクルーティングとは

「ソーシャルリクルーティング」とは、XやYoutube、FacebookなどのSNSを活用する採用手法のことです。日本では2010年頃から採用手法の1つとして認知され始め、現在までにさまざまな企業で導入されています。

求人広告やリファラル採用、人材紹介など従来の採用手法に比べてコストがかかりにくいのがソーシャルリクルーティングのポイント。採用活動をしつつ、ブランディングや企業の認知向上も期待できるのもソーシャルリクルーティングの特徴です。

SNSを通じて求職者とコミュニケーションが取れるため、求人情報としては公にしていない自社の魅力を直接伝えられます。

ダイレクトリクルーティングとの違い

ソーシャルリクルーティングとダイレクトリクルーティングは、利用するメディアが異なる他、リクルーティングの目的が違うのが特徴です。

ソーシャルリクルーティングはSNSを活用した採用手法です。一方、ダイレクトリクルーティングは求人サービスやスカウトサービスなどを利用し、企業側から求職者に対してアプローチを行う採用手法です。

ソーシャルリクルーティングは、必ずしも人材に直接働きかけをするわけではありません。SNSでの情報発信を通じて、自社の魅力を伝える目的で利用する場合がほとんどです。一方、ダイレクトリクルーティングは求職者に対して直接連絡を行い、採用に繋げる目的で利用されます。

 

ソーシャルリクルーティングを行なう目的

ソーシャルリクルーティングを行なう目的は、優秀な人材にいち早くアプローチすることです。総務省が公開している「令和5年版 情報通信白書」によれば、日本のソーシャルメディア利用者数は2022年で1億200万人。2027年には1億1300万人まで増加すると言われています。

なかでも、多くの就活生は情報収集手段としてSNSを積極的に利用しています。主に、インターンシップや説明会の情報、企業の最新の情報などを確認する目的で使用しているため、SNSで自社の情報を発信することで、多くの就活生にアプローチできます。

日本では採用手法としてソーシャルリクルーティングを導入している企業はまだまだ少なく、約3割程度です。求職者がSNSを利用して情報収集を行なっているのに対して、企業側が対応していないため、ソーシャルリクルーティングをいち早く導入することで、優秀な人材へのアプローチも可能です。

参照:総務省「令和5年版 情報通信白書

 

参照:PR TIMES「半数以上の就活生が就職活動でSNSを活用する一方、企業のSNSの活用率は約3割

 

ソーシャルリクルーティングが活発化されている背景

ソーシャルリクルーティングが活発化している背景には、就活生の情報収集源の変化が関係しています。2023年に実施された「Z世代就活生のSNS活用に関する実態調査」によれば、Z世代の就活生の58.1%は就職活動においてSNSで情報収集を行っていると回答しています。

企業のSNSアカウントをチェックしている就活生も多く、半数以上の55.2%はSNSで企業について調べていることが分かっています。特に求められているのは、業務の1日の流れや社内の雰囲気、人間関係など、企業のサイトには掲載されていないリアルな情報です。

ソーシャルリクルーティングでは、こうした就活生が希望するカジュアルな情報発信が可能。競合他社との差別化を図るのに低コストかつ効果的であるため、ソーシャルリクルーティングが活発化していると考えられています。

 

ソーシャルリクルーティングを導入するメリット

ソーシャルリクルーティングの導入を検討している方に向けて、ソーシャルリクルーティングによって得られるメリットをご紹介します。採用手法の見直しを行なっている方は、ぜひ参考にしてみてください。

ビジネスポテンシャルの高い人材を確保できる

履歴書や職歴書では分からない求職者のビジネスポテンシャルを把握できるのが、ソーシャルリクルーティングを導入するメリットです。

ソーシャルリクルーティングによって、自社アカウントを通じて求職者のSNSアカウントを把握することが可能になります。投稿内容からは、どの程度ビジネスへの関心があるかを読み取ることができます。投稿から求職者のビジネスポテンシャルを把握できれば、優秀な人材への適切なアプローチに繋がります。

ミスマッチを防げる

ソーシャルリクルーティングを導入すれば、入社後のミスマッチを防ぐことにも繋がります。

ソーシャルリクルーティングは、求職者のSNSアカウントでの投稿内容を通して、面接や履歴書でははかりきれない情報を得られるのがメリット。求職者の人柄やコミュニケーションが自社の社風と合っているかどうか、入社前のやりとりを通して正確に把握することが可能です。

SNS上でやりとりを重ね、相互理解を深めてから応募に至るため、従来の採用手法である求人広告に比べて、入社後のミスマッチを防げます。

採用コストを抑えられる

採用コストを抑えられるのもソーシャルリクルーティングを導入するメリットです。SNSアカウントは基本的に無料で開設・運用ができます。SNS広告を回す際は費用がかかりますが、そうでもしない限り無料で使い続けられるため、採用コストを抑えられます。

求人広告や人材紹介サービスは一般的に100万円程度の費用が発生します。ソーシャルリクルーティングであれば費用がかからないので、その分のコストを大幅に削減することが可能です。

知名度向上につながる

SNSは拡散力に優れているため、企業の知名度向上も期待できます。自社アカウントをフォローしている求職者だけでなく、幅広い層に対しても自社の魅力を自由かつカジュアルにアピールできます。

特に自社独特のユニークな取り組みは、SNSで拡散されやすい傾向にあります。求職者が求める情報に加えて、お役立ち情報や媒体に適した情報などを発信することで、企業の知名度向上効果も期待できます。

 

ソーシャルリクルーティングで使用されるSNSと、利用者の特徴

次に、ソーシャルリクルーティングで使用されているSNSと、各SNSの利用者の特徴をご紹介します。アプローチしたいターゲット層とマッチしたSNSを選ぶ際の参考にしてみてください。

LinkedIn

「LinkedIn」はビジネスに特化したSNSです。世界の月間利用者数は8億5,000万人。日本では約300万人が利用しています。他の主要なSNSに比べるとユーザーの数は少ないですが、ビジネスユースに特化しているため、ソーシャルリクルーティングの効果をすぐに得たい場合に適しています。

関連記事:【初心者向け】LinkedIn(リンクトイン)とは?活用例や始め方など知っておきたい基礎知識を解説

参照:PR TIMES「LinkedIn、日本での登録メンバー数が300万人を突破

Facebook

「Facebook」は、2004年にリリースされた実名制のSNSです。世界の月間利用者数は約29億人。日本では2019年時点で約2,600万人以上が利用しています。

日本での主なFacebook利用ユーザーは、30代・40代。性別では男性の利用者がやや多い傾向にあります。Facebookにはグループ機能やコミュニティ機能が搭載されており、ビジネス関連のグループやコミュニティが数多く存在します。

中途採用でソーシャルリクルーティングを行う際におすすめのSNSです。

参照:総務省「令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書<概要>」P11

note・ブログ

「note」や他のブログメディアは、情報を長文で伝えたい場合に活用できるSNSです。「はてなブログ」やWordPressを利用したブログなども便利ですが、ソーシャルリクルーティングで主に使われているのは「note」です。

「note」は2014年にサービスを開始したブログです。ユーザー数は2022年時点で500万人以上。無料で始められるので、企業や個人などさまざまなアカウントが存在します。「note」の特徴は、長文コンテンツを読みやすいレイアウトが可能なこと。画像や動画、リンクなどを挿入できるので、文章と画像・動画を組み合わせた独自性の高いコンテンツの発信が可能です。

参照:PR TIMES「note会員数が前年比30%増の500万人超に!クリエイターエコノミーの拡大へ。収益など数字公開

X(旧Twitter)

「X」は2006年にリリースされたテキスト特化型のSNSです。2023年に「Twitter」から「X」にサービス名が改名されました。世界の月間利用者数は約5億4,000万人。日本では2017年時点で約4,500万人以上が利用していると言われています。

日本での主なX利用ユーザーは、10代・20代・30代。男女比に大きな違いはありません。Xには拡散機能が搭載されているため、ユニークな投稿は話題になりやすいのが特徴です。その特性をうまく活用できれば、自社ブランディングや認知向上にも利用できます。

メインユーザー層が10〜30代のため、新卒採用・中途採用のどちらにも向いています。

参照:総務省「令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書<概要>」P11

YouTube

「YouTube」は2005年にリリースされた動画配信に特化したSNSです。世界の月間利用者数は2023年時点で約25億人。日本では2022年時点で約7,000万人以上が利用しており、数あるSNSのなかでも利用者数の多いサービスです。

日本では10〜60代まで年代を問わず利用されている傾向があります。ビジュアルと音でコンテンツを楽しめるため、若年層から年配にまで利用されています。幅広い層にアピールしたい場合におすすめのSNSです。

オフィスの雰囲気や従業員が働いている様子など、テキストでは伝え切れない空気感を届けるのに適しています。従業員インタビューやオフィスツアーなどのコンテンツもYouTube向きです。

参照:総務省「令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書<概要>」P11

 

ソーシャルリクルーティングの成功事例

株式会社ニトリは、Instagramにて採用活動用のアカウントを解説。就活生に向けて自社で働く先輩社員のインタビューを掲載したり、就活生からの質問に答えたりと、就活生に寄り添った情報を発信しています。

フォロワー数は2024年2月時点で約5700人。Instagramの特徴を生かし、ビジュアルの綺麗さにもこだわっており、情報を探したり閲覧したりしやすいよう工夫されています。Instagramを活用したソーシャルリクルーティングを行なう際の参考にしてみてください。

参照:Instagram「【公式】株式会社ニトリ 新卒採用

 

ソーシャルリクルーティングを行なう際の注意点

ソーシャルリクルーティングはメリットがある一方で、SNSを利用する採用手法ならではの注意点もあります。良い点・悪い点の両方を把握して、ソーシャルリクルーティングを安全かつ効果的に実行しましょう。

SNSガイドラインを定める

ソーシャルリクルーティングを行なう場合に限らず、企業でSNSアカウントを使って情報発信をする際は、SNSガイドラインが必要です。SNSガイドラインとは、従業員がソーシャルメディアを利用する際のルールと指針のことです。

SNSガイドラインなしでソーシャルリクルーティングを行なう場合、不適切な表現や配慮に欠けた表現などが記載された投稿をしてしまう可能性があります。それが炎上に繋がり、結果として企業イメージの低下を招きます。

そうならないようにSNSガイドラインを定めてからソーシャルリクルーティングを実施しましょう。

センシティブな内容は複数人で確認する

SNSガイドラインを定めていたとしても、投稿内容には注意が必要です。特に、センシティブな内容を投稿する際は、複数人で徹底した確認を行いましょう

SNSガイドラインに加えて投稿内容の確認フローも決めておくと、SNSが持つ特徴を損なうことなく、必要なタイミングで適切な情報の発信ができます。

定期的に情報発信を行う

ソーシャルリクルーティングは、すぐに効果が出る採用手法ではありません。継続して定期的に情報発信を行うことで自社に興味関心のある求職者が徐々に集まり、採用活動に良い影響が出始めます。

求職者の反応を見て必要とされている情報を見極め、継続的な情報発信を行いましょう。

炎上対策や、発生時の対処方法を考えておく

ソーシャルリクルーティングを実施する以上、炎上リスクを完全にコントロールすることはできません。万が一、発生してしまった場合に備えて、炎上対策や発生時の対処方法を考えておきましょう

炎上対策としては、投稿内容のチェックが挙げられます。内容にかかわらず常に第三者の確認を通すことで、炎上のリスクを減らせます。発信する情報と発信しない情報を明確に決めておくのも炎上対策のひとつです。

発生時の対処方法とは、炎上した場合の企業としての対応内容のことを指します。対応チームの発足、謝罪対応などが挙げられます。昨今は炎上後の対応をチェックしているユーザーが多く、誠実かつ的確な対応ができれば企業イメージの回復が期待できます。

 

ソーシャルリクルーティングを成功させるポイント、やり方

最後に、ソーシャルリクルーティングのやり方を4つのステップに分けて解説します。ソーシャルリクルーティングを成功させるために大切なポイントなので、しっかりと理解しておきましょう。

STEP1.利用者層とターゲットを考慮に入れたSNSを選ぶ

まずは、利用者層とターゲットを考慮に入れたSNSを選定します。ソーシャルリクルーティングで主に利用されているのは、X・Facebook・LinkedIn・note・Youtubeの5つ。各サービスごとにユーザーの属性が異なるので、ソーシャルリクルーティングのターゲットにアプローチ可能なSNSを選ぶことが大切です。

例えば、Facebookは30〜40代がメインユーザーなので、中途採用でソーシャルリクルーティングを行いたい場合に適しています。一方、X・Youtube・Instagramは20代の利用率が高い傾向にあるため、新卒採用や第二新卒の採用を行う際にぴったりです。

各SNSのメインユーザーを正しく把握し、適切なメディアを選びましょう。

参照:総務省「令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書<概要>」P11

STEP2.採用したい相手に響くようなコンテンツを作成する

SNSの選定が終わったら、次にコンテンツの作成を行います。ターゲットの興味関心を引く投稿内容は何かを考えましょう。同じ年代の従業員に対してヒアリングを行うのもひとつの方法です。

よくあるコンテンツとしては、社員・従業員の1日・職場風景・企業文化などの紹介が挙げられます。求職者からの質問に回答するのも良いでしょう。企業として発信したい情報と、求職者が求める情報とのバランスを考えて、コンテンツの投稿計画を立てるのがおすすめです。

STEP3.コミュニケーションを積極的に行なう

コンテンツ作成とほぼ同時並行で行うのが、求職者や興味関心を持ってくれたユーザーとの積極的なコミュニケーションです。投稿に対して反応があった場合には、コメントを返したり、いいねを返したりと丁寧な交流を重ねていきましょう。

コミュニケーションを行う際は、時間帯に注意してください。早朝や遅い時間に返信してしまうと長時間働いているかのような印象を与えてしまいます。1日の中で対応する時間帯を決めておくとムラなく、かつ真摯な印象で運用できます。

STEP4.カジュアル面談・採用・選考を行う

積極的にコミュニケーションを取るなかで、自社の社風にマッチしそうな人材がいたらカジュアル面談や採用、選考を行いましょう。ソーシャルリクルーティングの場合、最初のステップは面接ではなく面談で、カジュアルな意見交換の場を設けるのが一般的です。

カジュアル面談を通して、双方が採用の意向を示していれば採用・選考に進みます。

 

ソーシャルリクルーティングを通してマッチする相手を見つけよう

本記事のまとめ
  • SNSでの情報収集が一般化している現代ではソーシャルリクルーティングが採用手法として効果的
  • ソーシャルリクルーティングは炎上対策や炎上発生後の対処法も決めておく必要がある
  • ソーシャルリクルーティングを成功させるポイントはターゲットに合ったSNS選定

ソーシャルリクルーティングは時間や手間がかかるものの、費用がかからない分、気軽に導入することが可能です。ソーシャルリクルーティングによりコミュニケーションを重ねて相互理解を深め、入社後のミスマッチを防ぎましょう。

本記事を参考に、ソーシャルリスニングの導入を検討してみてはいかがでしょうか。


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