東京都世田谷区役所のDX推進担当課職員が、「Microsoft Teams」のチャットで、生成AIと対話ができるというチャットボットを開発。区の全職員へ向けて提供を開始しました。
Hidekiとは
職員が開発したのは、いわゆる“世田谷区役所版ChatGPT”といえる「Hideki」。使い方は通常のChatGPT(GPT-3.5)と同じです。質問を投げたり、命令を与えたりすれば、“明るくポジティブな性格”というHidekiが返事をくれます。
Hidekiは、自治体特有のセキュリティー要件を満たしたAIチャットボットであり、入力したテキスト(プロンプト)が「外部に流出する可能性は極めて低くなります」とのこと。また、「入力した内容がAIに学習されることもない」そうです。
生成AIとの対話を行うためのインターフェースは、世田谷区役所の職員が業務で利用するMicrosoft Teamsに限定していることから、職員がチャットボットの利用を促進したうえで不適切な使用を防ぐことができるといいます。
区職員の内製による開発
世田谷区によると、このチャットボットはIT専門職に従事していない職員が内製で開発。開発には、AIやデータサイエンスのスキルや知識がなくてもアプリケーションを構築できるMicrosoft製のサービス「Azure(アジュール) Cognitive Services」を活用したといいます。
チャットボットの開発に携わったメンバーは4人ですが、情報システム部門のコンサルティングを行う株式会社クラウドネイティブのサポートも受けながら、実際の環境構築作業は1人の職員が通常業務を兼務しつつ3カ月間で開発したそうです。
使用した区職員の感想は?
世田谷区がチャットボットを実際に利用した区職員127人を対象にアンケートを行った結果、生産性の向上を実感した区職員が73%にのぼりました。
通常業務では1日平均約34分の削減、アイデアや企画の素案作成については1回の処理につき平均約77分削減したと回答しています。
96%の区職員が生成AI活用の研修への参加意欲を示している点でも、区職員からの期待感が感じられます。
活用場面としては、文書作成において「文言の言い換えや文章の校正」「文章の要約・翻訳」などで主に使われているようです。
アンケート「【⽂書の作成での活用】⽣成AIを使⽤する際、どのような場⾯で役⽴ちましたか?」※単位は人数
今後の展望は?
追加サービスの要望に関するアンケートによると、現在テスト中の「内部文書を学習した問い合わせボット」に70%以上の区職員が期待しています。
次のプロジェクトとして、Microsoft Teams上で「生成AI(ChatGPT)」と対話ができ、世田谷区庁内の内部文章を参照させた上で対話ができるQAボットがテスト段階に入っています。
さらに、ICTサポート用チャットボットが3月中に庁内へ展開していく予定です。このボットは、庁内のICT(情報技術)部門における、よくある質問をFAQとして作成したもの。区役所職員はMicrosoft Teams内でのチャットにて疑問を解消でき、担当者は同じ質問を何度も電話で回答する手間が省けるようです。
現在は生成AIの活用は庁内に限定していますが、区民向けのサービス提供も、今後検討していくとのことです。
<参照元>
Azure OpenAI Serviceとは? 概要やChatGPTの利用についても解説
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