広告代理店大手の株式会社博報堂が、地域の移動課題を解決するために開発する「ノッカル」。富山県朝日町(「ノッカルあさひまち」)、富山県高岡市中田地区(「ノッカル中田」)などでサービスの導入・実証実験が行われています。
あらたに、山形県のほぼ中央に位置する西川町大井沢地区でのサービス導入が決定。西川町は、山形県内でも有数の豪雪地帯で、街の中心部でも冬季の積雪が1メートルを超えるエリアだといいます。
「マイカー」を公共交通にする取り組み
ノッカルは、博報堂の「社会課題解決プロジェクト」メンバーが、過疎化がすすむ地方自治体における社会課題と向き合い、サービスを通じて解決しようという取り組みのひとつです。
普段通りに住民が行うマイカー移動を活用するといい、「ご近所さん」がドライバーをつとめるため、利用者は安心してクルマに乗ることができる「住民同士の助け合いの気持ちをかたちにした」という交通サービスです。
朝日町MaaS実証協議会が公開するノッカル コンセプトムービー
富山県朝日町での事例では、デジタル技術を活用した「地域交通DX」として開発し、地域になじむサービスを徹底して設計、既存の交通インフラと競合ではなく「共創すること」を目指したといいます。
この取り組みをくわしく取り上げた書籍『これからの地方創生のシナリオ』は、博報堂の畠山洋平さん、堀内悠さんの著書として大学教育出版から刊行されています。
「ノッカルにしかわ」とは
地域内の施設と自宅を行き来したい乗客が、住民が運転する車に「乗っかる」仕組みで、助け合いによる完全予約型の乗合交通サービスです。
西川町が認定した住民ドライバーが自分の予定に合わせて、地区内の利用者をクルマに乗せて目的地まで送迎。利用者は、前日までに電話予約をします。
博報堂によると、人口およそ5,000人のうち高齢者のみの世帯が約1/3を占めるという西川町では、地域住民の移動を町営の路線バスや、デマンド型乗り合いタクシーなどの公共交通が支えているそうです。
住民の高齢化にともなった運転免許返納者が今後増えていくことや、人口減少による公共交通の運行本数や路線減少が続いていることをふまえた取り組みです。
<参照>
共助型乗り合い公共交通サービス「ノッカルにしかわ」山形県西川町大井沢地区で運行を開始
【新刊発売のご案内】「これからの地方創生のシナリオ」公共交通「ノッカル(MaaS)」が、消滅可能性都市を蘇らせたのは、なぜか?
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