労働組合が毎年春に賃上げ要求や労働時間の短縮などさまざまな労働条件の改善を企業に求め、交渉する労働運動、春闘(春季闘争)。
記録的な物価上昇が続くなかで、迎える春闘2024年。労働組合のナショナルセンター(全国中央組織)である日本労働組合総連合会がとりまとめた方針では、基本給はベースアップ相当分として3%以上、年齢や勤務年数などに配慮した定期昇給分も含めて5%以上の賃上げを要求することが示されています。
求人検索エンジン「Indeed (インディード)」の日本法人Indeed Japan株式会社が20~59歳の、正社員として働く男女2,400人に行った「賃上げに関する意識調査」から、働く人びとの賃金上昇に対する意識と実態をみていきましょう。
日本労働組合総連合会|「2024春季生活闘争 基本構想」
予想賃上げ率は?
2024年の予想賃上げ率をたずねた設問では、基本給・年収ともにそれぞれ67%の人が「あがる」と予測。どの程度の賃上げを望むかという、この調査での設問回答の平均値が算出・公開されています。
年収ベースの希望賃上げ率の平均が+7.2%となる一方で、予想賃上げ率の平均は+3.0%となり、希望をかなえる賃上げの実現は難しいと考えられていることがわかります。
2023年の変化は?
2023年の春闘では、厚生労働省の調査によると民間主要企業の賃上げ率は3.6%を示し、1994年以来、29年ぶりに3%を超える高い賃上げ率となったといいます。
また、2023年に賃上げを実施した企業は過去最大の84.8%にのぼるという調査結果を東京商工リサーチが公開しています。
この調査では、2023年度の賃上げをめぐる実態として、報道された数字とのギャップがみてとれる結果が生じています。
厚生労働省|令和5年 民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況を公表します
株式会社東京商工リサーチ|2023年度の「賃上げ」実施、過去最大の84.8% 「賃上げ率」5%超、中小企業が37.0%で大企業を上回る
賃上げが行われたと答えた人は半数以下……
この調査に応じた2,400人を対象として、さらにくわしく2022年と比しての変化をたずねています。
「(賃金が)上がった・増えた」と答えた人の割合は基本給で40.5%、年収では36.1%となりました。
賃金が上がった理由について、「社会的な賃上げ機運の高まりを受けて(35.2%)」や「物価高を受けて(30.9%)」、「春闘(集団的な賃金交渉)があったから(21.4%)」といった賃金に影響を与えうる社会的な動きを要因とする回答は、それぞれ4割以下という結果です。
なお、2023年に賃金が上がった人のみにおける平均賃上げ率は基本給で+4.1%、年収で+5.7%となっているそうです。
調査概要
本記事は、Indeed Japan株式会社が実施・公開した調査結果にもとづいています。
調査主体:Indeed Japan株式会社
調査対象:現在就業中の20~59歳の正社員・男女計2,400人
勤務先の従業員規模が2人以上、現職勤務先の勤続年数が2年以上
割付方法:性別×年代(10歳刻み)×勤務先の従業員規模別に均等回収
補正:「令和4年就業構造基本調査」を用いて、性年代・従業員規模別の構成比にあわせて補正
調査方法:インターネット調査
調査期間:1月16日(火)~1月19日(金)
※構成比(%)、差分(pt)は小数第2位以下を四捨五入
<参照>
Indeed、正社員を対象に「賃上げに関する意識調査」を実施。2024年、年収の希望賃上げ率は平均7.2%に対し、実際の予想賃上げ率は平均3.0%。賃上げの希望と予想に乖離あり
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