前年比で給与は1.2%上がっても、物価の影響を踏まえて算出した実質的な賃金が2.5%のマイナスとなっているなか(毎月勤労統計調査・2023年)、「物価高を上回る所得増へ」というスローガンを掲げて賃上げに注力する岸田文雄政権。
株式会社帝国データバンクは、2024年度の賃金動向に関する企業の意識について調査を実施しました。この調査は、TDB景気動向調査2024年1月調査とともに行っています。
全体的な賃金動向では6割近くが賃上げ見込みアリ
2024年度の正社員の賃金動向の調査では、基本給の引き上げ(ベースアップ)や賞与、一時金の引上げが「ある」との見込みで回答した企業は59.7%でした。
賃上げの見込みが「ある」企業は3年連続で増加しており、反対に「ない」と回答した企業は前回調査17.3%から、3.4ポイント低下した13.9%という結果になりました。
会社規模や業界別の動向
企業規模別でも、「大企業」「中小企業」「小規模企業」すべてで賃上げの見込みの割合が向上しています。従業員6人以上の企業では6割を超えており、5人以下の企業は41.3%ですが、初の4割台となったそうです。
賃上げを実施しない会社規模は、「5人以下」の企業が最も高く31.6%に。21人以上の企業では、賃上げ見込みがない会社は1割未満であるため、会社規模による環境の差が表れています。
業界別での賃上げ見込みは、「製造」64.7%、「運輸・倉庫」63.7%、「建設」62.5%が上位となりました。これらの業界では、2024年4月から時間外労働の上限規制、いわゆる2024年問題が始まるため、賃金改善実施の機運が高まったとのことです。
調査概要
調査期間:2024年1月18日(木)~31日(水)
調査対象:全国27,308社
有効回答企業数:11,431社(回答率41.9%)
<参照>
企業の6割で「賃上げ」見込み、賃上げ率は平均4.16%と試算 半数超がベースアップを実施予定
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