HOMEインタビュー “コロナ禍”後の働き方は業務効率とプライベートが大事? 仕事と生活を1つにしたホテル「The Millennials」、渋谷ホテル支配人に聞く

“コロナ禍”後の働き方は業務効率とプライベートが大事? 仕事と生活を1つにしたホテル「The Millennials」、渋谷ホテル支配人に聞く

Honoka Yamasaki

2024/03/04(最終更新日:2024/03/04)


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ミレニアル世代が考案したミレニアル世代のためのホテル「The Millennials(以下、ザ・ミレニアルズ)。「合理性」「自由」「多様性」の3つのテーマをもとに運営し、社会の変化にあわせてアップデートを図っていくというホテルです。

現代社会の中核となってきたミレニアル世代は、どのような価値観をもち、どのような働き方をしているのでしょうか。後編では、ザ・ミレニアルズ 渋谷 ホテル支配人の矢浦亮太(33歳)さんに、現場の視点から話を伺いました。

前編「ミレニアル世代によるミレニアル世代のためのホテル「The Millennials」とは? 令和時代のホテルを考える」はこちら

新旧の時代を経験したミレニアル世代の働き方

ーーー現代の働き方をどのように捉えていますか?

コロナ禍でテレワークが普及し、現在は出社、テレワーク、ハイブリッドなど、働き方の選択肢が増えたように感じます。

コロナ禍によりテレワークを強いられていた時期は、コミュニケーションツールがオンラインのみだったので、さみしさやストレスを感じるビジネスパーソンが増えているとのニュースをよくみかけました。

一方、コロナが落ち着いた今は、あらゆる選択肢のなかで業務効率を重視した働き方を選ぶ人が増えつつあると感じています。

ーーー業務効率というと?

出社すると同僚とランチに行ったりなど、コミュニケーションが生じることがあります。なので1人で黙々と仕事がしたいときは、自宅で短期集中するなど、コミュニケーションの具合に合わせたハイブリッドワークを取り入れる人が増えてきました。

気軽に立ち寄れるコワーキングスペース

ーーーハイブリッドワークやリモートワークをする人で、スペースを活用する事例があれば教えてください。

ザ・ミレニアルズのお客様は個人事業主やフリーランスの方が多いので、カフェに行くときのように、その日の気分に合わせてコワーキングスペースを利用されています。

これまでは月額会員様でなければ利用できないシェアオフィスがほとんどでしたが、今では1日単位で気軽にドロップインできる場所が増えたので、そういう意味では働き方の多様化は進んでいますよね。

あとは、ザ・ミレニアルズにはライターやエンジニアの方など、クリエイティブ業界にいる方が多いので、働く場所を変えることでアイデアが湧きやすいというメリットも感じてもらっているのかなと。

ーーー普段ミレニアル世代の従業員と関わるなかで、ミレニアル世代ならではの働き方もあると考えていますか?

現在は残業を厳しく取り締まったり、副業や転職など、自分のキャリアを優先した働き方ができたりする点で、トップダウンな風潮は昔と比べると薄れてきています。逆にあまりにも労働管理をするとハラスメントにもなり得るので、働き方はかなり変化していると実感しています。

ただ、ミレニアル世代は当たり前のように残業を強いられていた時代と、新たな価値観を取り入れアップデートしつつある時代のちょうど中間にいる世代なので、今の働き方が物足りないと感じてしまう人もなかにはいるのかなと。

あくまで「こうなりたい」という自分が目指すところに向かって働き方を選択できる時代なので、私自身も余った時間をどうやって使おうかなと考えるときはありますね。

カプセルホテルとビジネスパーソンの関係性

ーーーカプセルホテルとビジネスパーソンの関係性はどのように変化していますか?

私自身、昔は夜中まで飲んで、そのままカプセルホテルに泊まることが多かったです。このように、従来のカプセルホテルはあくまで宿泊するための場所として機能していましたが、現在はその概念が覆されつつあります。

ーーー概念が覆されたというのは、具体的にどのような点でですか?

「共有スペース×◯◯」のような掛け合わせをする施設が増えている印象です。その1つの例として、「サウナ」と「カプセルホテル」を併設したウェルビーさんの宿泊施設が挙げられます。

実際にザ・ミレニアルズにも出張で訪れるビジネスパーソンがいらっしゃるので、ビジネスホテルではなく、あえて好きなコンセプトや空間がある場所で宿泊するという人は今後増えていくのではないかと期待しています。

ーーーラウンジにはビールサーバーが設置されていて驚きました。そこにも意外な組み合わせがありそうですね。
  
一言で表すなら「コミュニケーション誘発装置」のようなものです。ザ・ミレニアルズの利用者は活発なコミュニケーションを取りたいという方が多いので、フリービールを提供することで利用者同士が交流するきっかけを生み出す意図があります。

フリービールを提供する17:30〜18:30の時間帯に合わせて、ラウンジに訪れる方もいらっしゃいます。必然的に他人がたくさん存在するカプセルホテルだからこそ、交流しやすいでしょう。

ーーー出社、フルリモート、ハイブリッドと徐々に働き方に変化がみられるなかで、これからの働き方をどう予測していますか?

企業に勤めている方であれば引き続きハイブリッドワークが一般的になるのではないでしょうか。たとえば、週に2日は出社し、上司に仕事の相談をしたり、同僚と飲みに行ったりなど、いい具合に仕事と生活が交わっていくのかなと。

ザ・ミレニアルズにいらっしゃるお客様をみても実感しますが、働きながらも人とのつながりを感じられるような、良い意味でプライベートも楽しめる過ごし方が今後浸透していくように感じます。
 

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