お金に関わる体系的な知識を学べるFP(ファイナンシャル・プランナー)は、近年人気が高まっている国家資格です。
学生や社会人になったばかりの人であれば、FP資格の取得が人生にどの程度プラスになるのかわからず、一歩を踏み出せないという人も多いのではないでしょうか。
「お金の不安なく充実した人生を送るためには、FPの本質を理解した勉強をいち早くおこなうことが大切です」
そう語るのは、チャンネル登録者数が17万人を超え、FP業界トップを誇る「ほんださん / 東大式FPチャンネル 」創設者の本多遼太朗さんです。
東京大学卒業後に独学でFP1級の合格をした経歴をもつほんださんに、若者がFPを取得するメリットや意義、試験を突破するための勉強方法をお聞きしました。
前編はこちらから「若者がFPを取得するメリット|「ほんださん / 東大式FPチャンネル」講師が伝える“人生2周目”になれる方法【前編】」
暗記がほとんど不要になる学び方とは?
―――これからFP3級を目指す若者のために、試験のコツを教えてください。
早い段階で勉強を「自分ごと」にし、どれだけ楽しく学んでいけるかが大切です。自分ごとにできるかは、FP合格のためだけでなく、お金への苦手意識をもたずに人生を歩めるかにも関わってきます。
FP3級は、平均すると合格率が80%を超える比較的受かりやすい試験なんです。でも、FP3級の勉強は、ある意味1級よりも難しいといえるんですよね。
どの級でも、FP試験に出る6つの分野(※)を学ぶことには変わりはありません。そう考えると、お金についての知識がまだ身に付いていない3級受検者が、6分野をいきなり学ぶのはなかなか大変だといえます。
※FP試験に出る6つの分野「ライフプランニングと資金計画」「リスク管理」「金融資産運用」「タックスプランニング」「不動産」「相続・事業承継」
だからこそ、知識の詰め込みではなく、自分ごととして楽しむ必要があるんです。自分との関わりを意識しながら勉強をすれば、問題を解いたときに自らの人生とリンクし、暗記をせずとも答えを導き出せるようになります。
もちろん、ただの暗記だけでも合格はできると思います。ただし、資格を取った瞬間に知識がほとんど失われてしまい、今後の人生においてプラスにはなりません。
―――FP3級が、2024年4月より紙の試験からWebのみになると聞きました。
はい、これまでは年に3回ペーパーテストで実施されていましたが、2024年4月からWebテストをいつでも受けられる形式に完全移行します。自分の好きなタイミングで、何度でもチャレンジができるのはメリットといえますね。
ただし、テストセンターでのWebテストは受検者ごとに問題が変わる形式のため、過去問がなくなることが心配です。これまでも出題傾向を掴む目的で、過去問を解いて勉強する人は多かったのではないかと思います。
しかし、先ほども申し上げたとおり、勉強を自分ごとにして進めていくだけで、過去問がなくても合格は可能です。
ほか、たとえば「どうしてこのタイミングで税金が支払われるのか?」などの本質的な部分を理解しながら学びを進めると、正しい答えを発見しやすくなります。
過去問から情報を得にくくなる今後のFP3級においては、自分と関連するお金の知識を吸収しながら、単語の意味や制度の背景を理解していくことがより重要になっていきますね。
時間がない若者にこそ響く効率的な学習プロセス
―――ここ数年の試験は難しくなっていると聞いたのですが、本当でしょうか?
はい、ここ数年は試験が難化傾向にあると感じています。動画教材で効率的に学べるようになり、受検者のレベルが上がったことも原因の一つかもしれません。合格水準を一定レベルに保つため、現状にあわせた適切なチューニングがなされているといえます。
とはいえ、最近の問題を分析すると、単純に覚える量が増えているわけではないことがわかります。1つひとつの単語の意味をきちんと理解していなければ、判断に迷う問題が増えている傾向にあると感じています。
つまり、意味をしっかり理解したうえで学んでいる人が、合格に近づける形式に変化しているといえますね。FP3級取得後に、より実践的な知識が必要になるFP2級を目指していくのであれば、特に押さえておくべき考え方です。
―――学業や仕事などで忙しくなかなか勉強をする時間を作れない場合には?
限られた時間で勉強効率を高めるためには、意味を理解した方が早い部分と、暗記した方が早い部分を切り分けて考えることが大切です。
たとえば、自分に関連する税金の知識は、意味を理解した方が知識として吸収できます。一方で、株式の分析に必要な計算方法のような問題については、語呂合わせや楽しいイメージを合わせて暗記した方が簡単に覚えられるんです。
暗記に使用する脳の容量を減らして効率的に学ぶためにも、意味を理解した方が早い部分と、暗記した方が早い部分を使い分けてみてください。
FPの勉強を挫折せずに続ける方法
―――試験範囲が6分野もあると途中で挫折してしまいそうです。
FPは6分野あり、テキストの最初に出てくる「ライフプランニングと資金計画」から勉強をスタートする方が多いのですが、その必要はまったくありません。学習へのハードルを下げるためにも、興味のある分野から始めることが大切です。
たとえば、NISAのような新しい制度が気になるのであれば「金融資産運用」から勉強をスタートしてみてください。生活に役立つ知識をダイレクトに学べるので、勉強が楽しくなりますよ。
もし興味のある分野がないのであれば、「税金(タックスプランニング)」からチャレンジしてみることをおすすめします。税金の知識は、ほかの分野にも関わっている部分が多いので、効率的に学びを進められるんです。
―――最後に、FPをこれから学ぼうか悩んでいる若者にメッセージをお願いします。
私はいつも、FPの資格を取った方がいいかと悩む人には「わざわざ取る必要はない」と言っています。
資格の勉強は、学業や仕事の合間を縫いながら、時間をかけておこなうものですよね。もし資格の称号だけを求めているなら、別のことに時間を使った方が良いとアドバイスしているんです。
FPは、お金の知識を学ぶためのひとつの指標として、合格を目指すことに意義があります。これから確実にやってくる「お金に関わる決断」で、適切な選択をしたいのであれば、ぜひFPにチャレンジしてみてくださいね。
インタビュイープロフィール
本多遼太朗(ほんださん)
東京大学工学部都市工学科卒業(都市計画専攻)
1994年生まれ。埼玉県出身
大学在学中からWeb開発やメディア運営とさまざまな実務経験を積むなかで、日本における金融リテラシーに課題を感じ、金融教育のコンテンツ制作やセミナー運営をおこなう。自身も24歳で1級ファイナンシャル・プランニング技能士を独学で取得。
学習時の独学経験を生かし、2021年4月に、FP資格試験向けの解説を手がける動画チャンネル「ほんださん / 東大式FPチャンネル」を開設。本質を理解する学びの楽しさを伝える講義が高い評価を集め、現在の登録者数は17万人超とFP業界でトップを誇るという。
2023年4月に株式会社スクエアワークスを設立以来、同社の代表取締役として事業を統括。同年7月にサブスク型オンラインFP資格講座「FPキャンプ」を開講。2023年9月のFP1級学科試験では、全受検生の約15%がFPキャンプを受講しているという。
FP技能士以外にも、社会保険労務士や宅地建物取引士、DCプランナー1級など、難関資格を多数合格・保有する。
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