産学協議会によってインターンシップの新しい定義が定められ、2025年新卒の就職活動から、採用直結のインターンシップ(複数の条件あり)が可能になることが決まりました。
また、就職活動におけるインターンシップとは別に、長期インターンシップ(以下、長期インターン)が、就活において強いガクチカ(学生時代に力を入れたこと)として採用判定のひとつの要素とされる一方で、参加している学生はまだまだ少ないといいます。
複数の会社にて、長期インターンを経験したトテさんに、日本のインターンシップ制度について思うことや、アルバイトとの違い、長期インターンの選び方などを対談形式で伺いました。
(本記事は後編、前編はこちら)
長期と短期は別物
――アルバイトと長期インターンの違いは何だと思いますか?
インターンは、アルバイトと違いマニュアルがあまりありません。信頼を得られれば、自分の裁量で好きな業務に挑戦できます。成果を上げ、評価を獲得し、新しい仕事やより大きな仕事を任せてもらえる点がアルバイトとの違いではないでしょうか。
もう少し現実的な話でいうと、成果が給与に反映されるケースもあるので、気の持ちようとコミットの仕方次第ではバイトより稼げる可能性があるところです。
金銭的なこと以外も含め、バイトで得られることは、インターンでも得られると思うのですが、逆は難しいと思っています。
――日本のインターンシップ制度についてどう思いますか?
日本のインターンと言えば、就職活動の選考過程にあるものだと考えられていて、長期インターンをやっている人以外は、インターン=短期インターンと思ってる人が多いように感じますが、これは半分本当で、半分嘘だと思っています。
就活において、ジョブやインターンが採用選考フローに組み込まれているのは分かるのですが、短期と長期では、業務内容や目的をはじめ、何から何まで完全に別物だと思っているので、名称を変えても良いのではと思うことさえあります。
インターン=就活のために、短期でするものという概念に少し違和感がありますね。
インターンの選び方
――長期インターンは、「やりがい搾取」に苦しむ学生も多いと聞きます。何社かインターンをされてきたトテさんにとって、長期インターンの良い選び方はありますか?
そうですね、周りの知人にも(やりがい搾取されている学生は)多くいますね。長期インターンと言いつつ、学生をうまいこと使ってる、あんまり良い印象じゃない会社は、話を聞く限り、一定数は存在する印象です。
面接などで、私は、わざと大変なことを聞いて、キレイゴトばかり言ってくる会社を選ばないようにしています。
一概には言えませんが、学生に対して正確に情報を伝えない、飾りすぎじゃないかと思う会社はとっかかりが残る感覚です。
――就活でも同じですね、会社の本質を見るコツのようなものはあるのでしょうか?
面接で、直接話しを聞くか、内部の知人に話を聞くのが良いと思います。ただ、面接の場合は外部の業者に採用を委託している場合や、話がはずんでも建前的な内容しか聞けない場合もあるので、ケースバイケースにはなります。
あと、いろいろ悪い噂を聞く会社もありますよね。どうしても思い入れがあるとかなんらかの理由があるなら別ですが、そういうところは避けた方が無難な気がします。
先輩や友人、まわりの人が実際に行っていて、おすすめされるようなところは良いんじゃないでしょうか。
――知り合いの口コミは1番信用できますよね。
そうですね。やはり1次情報が1番信用できると思うので、自分の目で見て聞いてみたいところです。
あとはエージェントさん(経由)もダメではないと思うのですが、いろいろな業者さんがいるので、そのあたりもよく調べた方がいいと思います。
実際に、なんでもかんでも鵜呑みにした結果、望んでいない、考えていたことと違う業務を行っているケースもちらほらあると聞きます。
――おっしゃる通りだと思いますし、長期インターン選びだけではなく、就活でもいい様に扱われている学生は多いと思いますね。
会社を探す時に求人広告が出てくると思うんですが、「○○内定した学生います!」という誘い文句は、その1人だけだったという話があるんですよね。
もちろん、この文面が事実なのは承知ですが、たまに誤解しそうな表現もあるのでよく読むようにしています。そういう意味だと、ありのまま伝えてほしいですし、常に少し懐疑的な視点を持つことも必要です。
やってダメなら考える
――長期インターンをどのように考えていますか?
自分のキャリアを描くためにサンプルを貯める期間だと思っています。そもそも情報がないのに、何をやりたいかなんて、わからないじゃないですか。
それを今後決めていくために、いろいろな業界に触れたり、実際に仕事をしてみたりして見えてくるものから、ビジョンが見つかるといったところです。
――そうですよね、経験ありきでないと、中長期的な在り方は考えにくい気がします。
自分自身、事前にじっくりと計画を立てる方ではないので、考えるよりも先に行動して、行動しながら考えることが多いんです。時間を無駄にしないためにも、とりあえずやってから、ダメだったら考えるのが重要だと思います。
それに、乏しい材料ではじめから完璧な計画を立てるなんて難しいですし、完璧な計画を立てられるまで待っていたらいくら時間があっても足りない気がします。
――若いから、学生だからできるといった見解もあるのでしょうか?
今なら、飛び込んで失敗しても大丈夫といいますか、 最悪ちょっと違うなと思ったらやめられるのも学生の醍醐味だと思います。
――実際就活において役立ったことはありますか?
話のネタに困らないのは大きいです。ガクチカ・自己PRなどを質問された時に、「何を頑張ってきたっけ?」とならないことには助けられました。
もちろん、アルバイトや部活をガクチカにすることもできますし、全国大会レベルだったら、特に評価が高いと思うんですけど、長期インターンの内容は、実際に社会に出てから行う仕事に近しいものがあるため、再現性が高いんですよね。
会社の採用担当者にも、ビジネスチックな話は比較的受けが良かった記憶です。就活でアピールするにあたっては、バイトや留学の話より反応しやすいのかなと思いました。
――長期インターンや進路で迷っている大学生へのアドバイスをお願いします。
良い意味で、“とりあえず”が大事だと思います。
特に大学1、2年生は就活まで時間の猶予があります。4年生から長期インターンを始めると、新卒で働くための準備期間になってしまいがちなので、学生生活序盤のボーナスタイムを活用してほしいです。
いろいろな業界を見る、(仕事の)醍醐味を知ることができるという意味だと、早くから開始するに越したことはないと思います。
――なるほど、長期インターン以外でも、いろいろと取り込んでみることが大事ですよね。
あとは、学生が一生懸命やっていると応援してくれる、「頑張ってるじゃん」と思ってくれる人が多いと感じます。社会人よりも(学生の方が)、自分のファンをつくりやすい傾向があるのかなと思うので頑張ってみてください。
書籍情報
長期インターンシップに臨む心構えや必要なスキル、就職活動における長期インターンシップ経験の効果的なアピール方法をトテさんの言葉で記した1冊です。
また、就職活動と長期インターンシップとの両立のコツ、就職活動を成功させた長期インターンシップ経験者へのインタビューなどが書かれています。
つらかったことやあまり声を大にしては言えないことなどのネガティブな面も含めて、長期インターンシップのリアルがわかる内容です。
<参照>
総合法令出版『学生がキャリアアップするための インターンシップ活用術』
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