就活で話す内容や、大学生の働き先として長期インターンシップ(以下、長期インターン)という言葉をよく耳にしますが、どんな内容の仕事を行い、何を学べる場所なのでしょうか。
やってみたいけど、実態がわからずに応募を迷っている学生も多いと言われています。
そんなインターンをどう探していくのか、必要なスキルを身につけるとは何か、どうキャリアを歩んでいくのかを実際の経験をもとに、マニュアルのような位置づけの本として、書籍『学生がキャリアアップするためのインターンシップ活用術』を執筆したトテさん。
さまざまなインターンとして参加している著者は「長期インターンシップはキャリア戦略の起点」と考えています。
自身が成功と感じられる就職活動に向けて、大学生がキャリアアップするために長期インターンシップに挑戦してほしいと述べるトテさんに、長期インターンで何を行い、どんな成長があったのかを伺いました。
(本記事は前編、後編はこちら)
さまざまな業界を見るため戦略コンサルの道へ
――現在行っているインターンの業務について教えてください。
戦略策定から事業化までM&Aプロセスを伴走支援するコンサルティング会社、MAVIS PARTNERS(以下、MAVIS)のトレーニー(訓練生・研修生など)として論点設計や仮説構築、外部へのインタビュー、デスクトップリサーチ、データ分析などを行っています。
――トテさんは、なぜインターンを始めようと思ったのでしょうか?
高校3年生の時に、友人からIT企業のワークショップに誘われて、新しいことに挑戦してみたいと思い、参加しました。
初めてお給料をいただきながら働く経験をしたことがとても新鮮な感覚だったのを覚えています。今後も同じように働けたら得られることも多いのではないかと感じ、同じ系列のIT企業に応募してインターンを始めました。
――企業の合併・買収を支援するMAVIS社のインターンを始めようと思った理由は何ですか?
コンサル業界に進んだ先輩から仕事の話を伺ったこと、コンサルであれば1、2年生の段階からさまざまな業界を見ることができそうと思ったことがきっかけでした。
(そのなかでも、)企業理解を含め大きなお金が動くのが面白そうだなと思ったM&A領域に絞って探しました。
MAVISは、M&Aに強みを持つ戦略コンサルティング会社です。企業仲介をしているのではなく、経営課題を解決するひとつの手段としてM&Aを位置づけている点に惹かれました。
加えて、学生をただの駒ではなく、チームの若手として見てくれる会社だったことも意思決定の大きな要因です。
選考フローが書類、課題選考、面接の順番だったのですが、課題選考の際に、とても熱心に長文のフィードバックを返していただきました。こうした選考中のやり取りを通して、学生に対しても熱量高く向き合ってくれる姿を感じたことが大きかったです。
ゴールに向かってやりきること
――インターンをやっていて、楽しかったことはどんなことですか?
上司からの期待を上回ることがすごく大事だと思っているので、普段厳しい方に「良いね」と反応をもらえると嬉しいです。クライアントからも、良いリアクションをいただけると、頑張ってよかったなと思います。
若手にとっての一番最初のクライアントは上司。上司の期待を1%でも超え続けることが最終的にクライアントからの評価にもつながるはずという精神で続けました。
――モチベーションを保つ方法は何かありますか? 私は、時間やその時のコンディションによって、かなり波があるので気になります……。
コンサルのプロジェクトは、今が辛くても契約上ここまで(半年から1年など)と期限が決まってるので、絶対に終わりがあります。
プロジェクト単位で仕事が切り替わるような業界に限った話かもしれませんが、モチベーションが落ちたとしても、終わりがあるので、ここまではとりあえず頑張ろうと鼓舞できました。明確なゴールがちゃんとあるからこそ、走り切れるのだと思います。
ボールはすぐ返す! ミスは今のうちに!
――つらかったことはありますか。
担当範囲に対して責任があるので、自分で帳尻を合わせないといけないところが、大変でした。
終わらない・遅れている・できないという状況も起こる上に、ルーティンワークではないので、毎回これをやれば正解だというものがわからず、都度考えて、会議をしながら進めなければなりませんでした。
インプット→データ分析やリサーチをしながら、熟考→上司とディスカッション→アウトプットといった一連の流れを高速で回すのはなかなか慣れなかったです。
終わらないなら、終わらせるために、できないなら、できるためにはどうするのかを常に考えていました。
業務後や休日に、仕事に関連する本を読むといったインプットや、別の手段を考えるなど、自分でプロジェクトを前に進めるためのアクションに緊張感を持って取り組まなければいけないのは大変でした。
――業務を経験するなかでできた、大切にしている価値観はありますか。
「若手のうちは怒られてなんぼ」「ミスはできる時にしておく」という価値観を大事にしています。
(ネガティブな)フィードバックを恐れて、アウトプットをしないのが1番良くないと思っています。
同じ失敗を繰り返さないことが前提ですが、ミスを恐れてトライしないよりも、トライアンドエラーの精神で「ミスできる時にしておいた方がいい」と思いますね。
叱られたとしても、相手のリソースをさいて指導いただけるうちは、ありがたいことな気がします。「この子、どうしようもないな」って思われて、ちょっとした指摘さえなくなるのが1番怖いです。
――期待されてるからこそのアドバイスとは思うのですが、提出するのに気が引けることはなかったのでしょうか。
もちろん、出来がイマイチの時は、アウトプットするのを躊躇したくもなります。ただ、長期間働いてる人と同じものを初めから出すのは難しいはずです。その前提を加味しつつ、スピード感を持って提出するのが大事だと思います。
締め切りギリギリで出すより、早めに出してフィードバックを受けて改善し、もう1度提出する方がいいという意味です。
ボールキープするばかりで、充実したアウトプットが返せなければ相手は「何が出てくるんだろう」と期待をし、「こんなに時間かけたのに、これ?」とがっかりすることになりかねません。
「この内容なら、なぜもっと早く出せなかったの?」と感じさせないためにも、(成果物を)早くトスすることを大事にしています。
困ったときも、早めの段階で、壁打ちなり、相談するのがすごく大事だなと。それができてからやっと上司の期待を超えるような成果物ができてくるのではないかと思います。
インタビュイープロフィール
トテ ジェニファー麻綾(まあや)
MAVIS PARTNERS株式会社 トレーニー
共立女子大学ビジネス学部4年
株式会社サイバーエージェント、株式会社キュービックにてWEB マーケティング、メディアの企画・運営のインターンに従事。
その後、オフショア開発セールス事業、長期インターン斡旋事業での起業を経てMAVIS PARTNERS 株式会社にインターンとして入社。
就活では外資系金融、外資系IT 企業を中心にインターン(ジョブ)に参加し、うち複数社から内定獲得。現在、長期インターンシップ先(MAVIS PARTNERS株式会社)に週3、4回程度出勤。
<参照>
総合法令出版『学生がキャリアアップするための インターンシップ活用術』
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