第三者機関として船舶の検査やISOの認証事業を行う一般財団法人日本海事協会の子会社である、株式会社シップデータセンターが構築した船舶IoTデータ共有基盤「IoSオープンプラットフォーム(IoS-OP)」を通じて、船舶が収集したデータを海上保安庁へ提供することとなりました。
提供されるデータは、日本の海運企業である株式会社商船三井、川崎汽船株式会社、日本郵船株式会社が、運行船に搭載したデータ収集装置を通じて集積されたもの。
海上保安庁では、データを効率的に活用して潮流の予測精度の向上や、海上安全への貢献、業務の効率化・デジタル化をさらに推進するといいます。
海洋国ならではのIoS活用
周囲を海に囲まれた日本は、海運や造船、船舶機器の製造と供給を行う舶用工業といった「海」をめぐる海事産業がさかんで、貿易国として発展してきました。
その造船技術は高く、2020年の造船数は世界第3位を示す490隻にのぼります。
シップデータセンター社が構築するデータベースは、船舶およそ500隻分のデータが収集されているといい、同社によると世界最大規模の船舶・海洋IoTデータベースです。
従来は、海上保安庁からの依頼に応じて、各船社が海洋データを任意で提供し、同庁にてデータ統合作業が行われていましたが、IoS-OPを活用することで大規模かつ詳細な海洋データを一括で提供されることとなります。
気象情報や船舶用品などへのデータ活用
シップデータセンター社は、IoS-OPを通じて海上保安庁以外にも、造船所や船舶機器メーカーなどにデータを提供しているようです。
<参照>
船舶が収集する日本近海の海洋情報をIoS-OPを通じ一元的に海上保安庁へ提供
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