株式会社Lib Workが、建設用3Dプリンターを活用した住宅「Lib Earth House」の建築しました。主な建築材料に土を採用した、環境に優しく持続可能な世界の実現へ貢献しようという取り組みです。
世界各地いたるところにある「土」は、レンガや土壁のように伝統的な建築資材として活用されてきました。しかし、天然素材ゆえに品質が均一ではないことや、強度や耐水性などの理由から、現代建築では鉄・ガラス・コンクリートなどが一般的に建築材料として用いられているといいます。
資源が枯渇する心配がなく、リサイクルが可能。廃棄する場合でも環境に害を及ぼさないなどの点で、建築資材としての土を見直す動きが出ているようです。
国土交通省|建築分野における土の高度利用と新構法の研究・開発
サステナブルな住宅
3Dプリンター技術で建設、さらに土を主な原材料に採用した住宅は、同社によると国内初とのことです。容易に入手でき、自然由来の資源である土を活用することで、廃棄・リサイクル以外の恩恵があるといいます。
建築地の資源を活かせるため、運搬や加工のコストを減らします。これは建築コストを削減するだけでなく、二酸化炭素の排出を抑え、環境への負荷を軽減させることにつながります。
また、その優れた調湿性や断熱性が高温多湿な日本の気候風土に適していることは、日本建築の伝統的な技法、土壁(土に藁や砂を混ぜて水で練ったものを塗り固めた壁)からも明らかです。
3Dプリンターの活用で人材不足解消へ
建設3Dプリンターを用いた住宅は、2023年4月にゼネコン大手、株式会社大林組が国土交通大臣認定を取得した国内初の3Dプリンターによる建屋を完成。この実証棟はセメント系材料を用いて建てられました。
建築において3Dプリンター技術の活用は、その迅速さや効率がよい点で注目されています。
建設工程を短縮することで短期間での住宅建築が可能になり、建設業界全体が抱えるという大工をはじめとする職人の高齢化や労働力不足といった問題を解消する一助となることが期待されています。
株式会社大林組|国土交通大臣認定を取得した国内初の3Dプリンターによる建物
火星住宅建築プロジェクト!?
Lib Work社は、ユニークな取り組みも行っています。同社によると、新たな挑戦として火星にある素材を活用して、3Dプリンターによる住宅建築を目指すとのこと。
火星にある土を採掘し、3Dプリンターを使って建築した建屋が持続可能性と効率性を追求した未来の宇宙開発の一翼を担うことを目標としています。
<参考>
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