メールのインライン返信とは、相手からのメールにある質問や確認事項を引用し、その下にそれぞれの回答文を記入する返信方法です。一問一答形式で回答できるので、相手にとってわかりやすく、返信する側の回答漏れも防ぎやすいです。
本記事ではメールのインライン返信のメリットと注意点を紹介。具体的なやり方を、例文つきで解説します。
- インライン返信のメリットと注意点
- インライン返信のやり方
- インライン返信の例文
メールのインラインとは
インラインとは、相手から送られてきたメールを引用し、質問や確認事項に対する回答を記入することです。ひとつのメールに複数の質問や確認事項がある場合、1つ目の質問の下にそれに対する回答を、2つ目の質問の下にそれに対する回答をというように回答を記入していきます。
インラインは元々IT業界で使われていた言葉で、「埋め込み」という意味があります。相手のメールの文章の中にこちらの回答を埋め込むという意味で、「インライン返信」と呼ばれるようになりました。
インラインで回答するメリット
メールにインラインで回答することで、メールのやり取りを効率化したり、回答漏れを防いだりできます。その理由を、インラインで回答する3つのメリットと併せて紹介します。
わかりやすく端的に回答できる
メールにインラインで回答する1つ目のメリットは、「わかりやすく端的に回答できる」ことです。
インライン返信では相手のメールを引用し、一問一答形式で回答を記入していきます。どの回答がどの質問に対するものなのかが一目でわかり、相手は質問への回答を確認しやすくなるでしょう。
また、引用した部分の文頭には、次のように「>」の記号をつけます。
- >Aの在庫はございますか?
Aの商品は、10点在庫がございます。
>送料はいくらになりますでしょうか?
東京都への発送の場合、送料は1,000円です。
1万円以上のご購入で送料無料となります。
「>」のついている部分に質問・回答があると一目でわかるため、視覚的にもわかりやすくなります。
回答漏れを防ぎやすい
メールにインラインで回答する2つ目のメリットは、「回答漏れを防ぎやすい」ことです。
インライン返信では相手から送られてきたメールのなかにある質問・確認事項だけを引用し、それぞれの質問・確認事項の下に回答を記入します。先に質問・確認事項を抜き出し、回答メールに引用することで、「回答すべき内容の箇条書き」のようなものができあがります。
相手からのメールを見ながら回答メールを作成するよりも、箇条書きの各項目の下に回答文を記入していく方が、回答漏れを防ぎやすいです。回答漏れがないかの確認もしやすくなるでしょう。
情報共有がしやすくなる
メールにインラインで回答する3つ目のメリットは、「情報共有がしやすくなる」ことです。
相手の質問に対して一問一答で答えるインライン返信では、どの文章がどの質問への回答なのかが一目でわかります。インライン返信をしたメールをそのまま共有するだけで、当事者以外の人でもその内容をスムーズに確認できるでしょう。
誰にとっても見やすいこと、過去のやり取りを共有しなくても重要なことを簡単に共有できることから、複数人が関わるプロジェクトでは特に有効でしょう。
インラインでの回答を失礼と感じる人もいる
わかりやすさや効率だけで考えれば、インライン返信はとても便利です。しかし、インラインでの回答を失礼と感じる人もいます。相手によっては失礼だと思われてしまうことが、インライン返信のデメリットでしょう。
インライン返信は相手のメールをそのまま引用するだけで、簡単に作れます。人によっては返信するのが面倒だと思われたと感じるかもしれません。
ただ、インラインでの返信は一般的になってきているので、気にしすぎなくても大丈夫でしょう。気になる場合は、インラインで回答することを一言伝えておくことがおすすめです。
インライン返信のやり方
インライン返信は便利ですが、引用を多用することでメールの文章が長くなるデメリットもあります。「引用部分を引用して返信する」「引用の引用の引用を…」となると、メールはむしろ見づらくなるでしょう。このような場合はインライン返信ではなく、通常の返信方法がおすすめです。
ここからは、インライン返信のその他の注意点や基本的なやり方について解説します。インライン返信を上手に使いこなして、ビジネスをスムーズに進めましょう。
「インラインにて失礼いたします」と断りを入れる
先述のとおり、インライン返信を失礼と感じる人もいます。メール冒頭で「インラインにて失礼いたします」と断りを入れることで、相手の不快感を軽くできるでしょう。
なぜインライン返信をするのか、断りと併せて理由を記載するのもおすすめです。「回答事項が多く、通常の方法ではわかりづらくなるため、インラインにて失礼いたします」のように書くのです。
重要部分だけ引用する
インライン返信では相手のメール本文をすべて引用するのではなく、質問や確認事項などの重要部分だけを引用しましょう。メール全文を引用すると返信メールが長くなり見づらくなります。引用のなかに回答文が埋もれ、相手の見逃しも起こりやすくなるでしょう。
引用部分に「>」を入れて見やすくする
インライン返信では、引用部分に「>」を入れましょう。これにより、どの部分が引用なのかが一目でわかります。引用部分に改行がある場合、次のOK例のように、すべての文頭に「>」を入れましょう。
- >次回の打ち合わせについて、候補日をいくつか添付いたします。どの日時だとご都合よろしいでしょうか?
>1月19日(金)終日
>1月22日(月)9:00~12:00
>1月24日(水)13:00~17:00
候補日のご提示、ありがとうございます。
1月19日(金)の15:00~16:00でお願いしてもよろしいでしょうか?
- >次回の打ち合わせについて、候補日をいくつか添付いたします。どの日時だとご都合よろしいでしょうか?
1月19日(金)終日
1月22日(月)9:00~12:00
1月24日(水)13:00~17:00
候補日のご提示、ありがとうございます。
1月19日(金)の15:00~16:00でお願いしてもよろしいでしょうか?
このように、NG例では引用部分と回答部分の境目がわかりづらいです。引用した部分にはすべて「>」をつけるのがおすすめです。
引用部分に色をつける
使用しているメールサービスが、メール文に色をつけることができる場合、引用部分の色を変更するのも一案です。色が変わっていることにより、視覚的に引用部分がわかりやすくなります。
派手すぎるカラーや、見にくい薄い色は避け、青や紺色などのカラーにすると、読みやすく落ち着いた印象を与えます。
誤字脱字も基本的にそのまま引用する
インライン返信に限らず、引用では元の文章をそのまま残すのが基本です。相手の文章に誤字脱字があっても、そのまま引用しましょう。
漢字が1文字違うだけで、全く違う意味の言葉になってしまうこともあります。こちらが誤字脱字だと思っても、実はそれが正しい表現だったということもあるでしょう。勝手に修正したことが原因で、後から認識の食い違いが起こり、大きなトラブルに発展するかもしれません。
誤字脱字を直されたことで、「細かいことをいちいち指摘されているようだ」と不快に感じる人もいます。
無用なトラブルを避けるために、相手の文章はそのまま引用しましょう。
インライン回答の例文
最後に、インラインを使った回答の例文を紹介します。
- 〇〇株式会社
〇〇部 〇〇 〇〇様
お世話になっております。
株式会社〇〇の〇〇です。
先日ご連絡いただいた件についての回答を、インラインにて失礼いたします。
>次回の打ち合わせについて、候補日をいくつか添付いたします。どの日時だとご都合よろしいでしょうか?
候補日のご提示、ありがとうございます。
1月19日(金)の15:00~16:00でお願いできますと幸いです。
>打ち合わせの内容は下記を予定しております。不備やほかに気になる点などはございませんでしょうか?
ご検討いただきありがとうございます。
ツールAの導入についても相談させていただきたく存じます。
ツールAのサービス資料を本メールに添付いたしますので、
当日までにお目通しいただけますと幸いです。
以上、ご確認のほどどうぞよろしくお願いいたします。
インライン返信ではわかりやすさを大切に
- インラインは相手の質問・確認事項に対して一問一答で回答する
- インライン返信は視覚的に見やすく、情報共有もしやすい
- インライン返信はわかりやすさを大切に、通常の返信方法と使い分けよう
相手からのメールを引用し、質問や確認事項に回答するインライン返信は、通常のメール返信よりも見やすくわかりやすいでしょう。回答漏れを防ぎやすい、情報共有がしやすいなど、回答する側にとってのメリットも多いです。
ただし、引用部分が多すぎたり、引用の引用が生じたりする場合はむしろわかりづらくなり、通常の返信方法が適しているかもしれません。
インライン返信はわかりやすさが大切です。インライン返信をした方がわかりやすいのか、メールの返信相手はどんな人なのかを踏まえ、通常の返信方法と使い分けましょう。
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