ロストバゲージとは出発空港で預けた荷物が目的地の空港で見つからないことです。ロストバゲージした荷物は見つかることも多いですが、旅行に不都合が生じたり、手元に戻ってくるまで時間がかかったりと不便なことが多いものです。
本記事ではロストバゲージの確率や補償、原因についてまとめて解説。ロストバゲージを防ぐためにできること、万が一ロストバゲージに遭ったときにすべきことも紹介します。
- ロストバゲージした荷物は見つかるのか、補償は受けられるのか
- 簡単にできるロストバゲージ対策
- ロストバゲージに遭った場合にやること
ロストバゲージとは
ロストバゲージとは、空港で預けた荷物が紛失することです。出発空港のカウンターで預けた荷物が行方不明になり、目的地の空港で見つからないケースを指します。
ディレイドバゲージとの違い
ディレイドバゲージとは、空港のカウンターで預けた荷物が予定よりも遅れて到着することです。荷物が最後まで見つからないロストバゲージは実際はほとんどなく、本来の予定より1~3日ほど遅れて荷物が見つかるディレイドバゲージの方が多いといわれています。
ロストバゲージした荷物が見つかる確率
ロストバゲージした荷物が見つかる明確な確率はいえませんが、荷物が完全に見つからなくなることはほとんどないといわれています。ロストバゲージしたと思っていた荷物も、本来より1~3日ほど遅れて手元に戻ってくることがほとんどです。
なお、ロストバゲージに遭う確率は0.55%ほどといわれています。ロストバゲージに遭うこと自体の確率がかなり低く、仮に遭ったとしても高確率で荷物は見つかるため、過度に心配する必要はないかもしれません。
しかし、勝手がわからない国・地域への旅行や出張で荷物がないとなると、不都合が生じます。遅れて手元に戻ってくるとしても、その間の生活に支障が出ることは間違いないでしょう。何より、旅行を心から楽しめない要因にもなります。
ロストバゲージが起こる確率はごくわずかですが、気をつけるに越したことはありません。
ロストバゲージの補償はいくらまで?
ロストバゲージに遭うと、航空会社や旅行保険、クレジットカード会社などから補償を受け取れることがあります。航空会社の補償は荷物が完全に紛失するロストバゲージで、旅行保険やクレジットカード会社の補償は荷物が本来の予定よりも遅れるディレイドバゲージでも受け取れることが多いです。
荷物が完全に紛失するロストバゲージの場合、航空会社の補償上限は20万円ほどといわれています。仮に100万円分の荷物を紛失したとしても、航空会社の補償だけだと上限額までしか受け取れないのです。
そのため、海外への旅行や出張の際は、ロストバゲージ・ディレイドバゲージの補償が付帯した旅行保険に加入したりクレジットカードを作成したりすることをおすすめします。
なお、旅行保険やクレジットカードの補償内容は会社や商品ごとに異なりますが、持ち物1つにつき10万円を限度に補償が出ることが多いです。荷物が遅れて到着するディレイドバゲージの場合でも、衣類や日用品などの旅行必需品の再購入にかかった費用が補償されるのが一般的です。
ロストバゲージが起こる原因
ロストバゲージに備えるためには、それがなぜ起こるのか、原因を知ることが大切です。ロストバゲージの主な原因を4つ紹介します。
タグの記載ミス
空港のカウンターに荷物を預ける際、行き先や搭乗便などを記載したタグを荷物に付けます。このタグに記載ミスがあると、荷物が本来とは異なる行き先に運ばれてしまい、ロストバゲージが起こってしまいます。
完全に紛失してしまうことはあまりないですが、荷物が遠く離れた場所まで運ばれてしまうと、戻ってくるまでに時間がかかるでしょう。
タグの破損・紛失
預けた荷物に付けたタグが破損して読めなくなったり、取り付け用の紐が切れてタグそのものがなくなってしまったりする可能性があります。タグ以外に持ち主を特定できる物がない場合、完全に紛失してしまう恐れもあるでしょう。
乗り継ぎ時の積み忘れ・間違い
乗り継ぎ便を利用する場合、経由地でも荷物の積み忘れや積み間違いが起こる可能性があります。積み忘れの場合は次以降の便で荷物が運ばれるため、遅れは最小限で済みますが、1日1便のみというような場合は荷物を取り戻すまでに数日かかるでしょう。
他人の取り違い
目的地の空港で他人が荷物を取り違えてしまい、ロストバゲージが起こることもあります。似たようなデザインのスーツケース・鞄を使っている渡航者がいた場合、タグを確認せずに荷物を持っていってしまうこともあるでしょう。
特徴的なデザインのスーツケースを選んだり、大きめのシールやネームタグを付けたり、取り間違いを防ぐための対策をしましょう。
ロストバゲージを防ぐための対策
ロストバゲージに遭っても荷物は高確率で戻ってきますが、その間の生活には支障が出ます。ロストバゲージの発生率は0.55%ほどとも言われておりかなり低いですが、往路と復路の両方でロストバゲージに遭う人もいます。
ロストバゲージを防ぐための対策を6つ紹介するので、荷物を準備するときに意識してみてください。
ロストバゲージが多い空港を避ける
行き先によってはどうしようもないかもしれませんが、ロストバゲージが多い空港は避けた方がいいでしょう。パリのシャルルドゴール空港のような、トランジット(乗り継ぎや途中降機の総称)が多い空港ではロストバゲージが起こりやすいといわれています。
過去のタグをすべて外す
空港で荷物を預けるときは荷物タグを付けますが、過去のタグが荷物に付いたままだと、空港スタッフが古いタグをチェックして荷物が別の場所に届けられてしまうかもしれません。過去のタグはすべて外しておきましょう。
預ける荷物に貴重品を入れない
万が一ロストバゲージが起こった場合に備え、預ける荷物に貴重品を入れないようにしましょう。現金やクレジットカードはもちろん、スマートフォンやその他の大切なものは手荷物として持ち歩きましょう。
1日分の着替えや簡単な日用品、仕事で使う道具など、到着後すぐに使う物も手荷物として持ち歩くことをおすすめします。目的地で最低限必要な物を持ち歩いていれば、ロストバゲージに遭っても現地で困らずに済みます。
預ける荷物のリストを作る
万が一ロストバゲージに遭ったとき、なくなった荷物の中身を説明できるよう、預ける荷物のリストを作っておきましょう。荷物が見つかるまでの間に中身が盗まれるリスクもあり、盗難対策にもなります。
なお、空港に日本語が通じるスタッフがいるとは限りません。荷物リストは日本語ではなく英語で作成しておくと安心です。
荷物の外見と中身を撮影しておく
リスト作成と併せて、預ける荷物の外見と中身を撮影しておくとなお良いでしょう。特にスーツケースや鞄の外見がわかれば、空港スタッフが荷物を探しやすくなります。
乗り継ぎ時に荷物をピックアップする
乗り継ぎ時のロストバゲージを防ぐために、乗り継ぎ便を利用するときは経由地で一度荷物をピップアップし、再度チェックインするのもいいでしょう。スルーチェックインで乗り継ぎ時間が短いと、荷物の積み忘れが起こりやすくなります。
乗り継ぎのために時間を多めに取り、荷物をピックアップした方がロストバゲージの可能性を減らせます。
ロストバゲージが起こったときへの備え
ロストバゲージは空港スタッフのミスや他人の取り違いなどにより起こります。どんなに対策をしても、ロストバゲージを完全に防ぐことはできません。ロストバゲージが起こったときへの備えを2つ紹介するので、検討してみましょう。
申請書用の英文を作成しておく
ロストバゲージが起こった場合、現地の空港カウンターで申請書を作成・提出することになります。一般的に申請書は英語で記入するので、心配な場合は申請書用の英語をあらかじめ作成しておくと安心できるでしょう。申請書には次のような内容を記入します。
申請書には色や形、大きさといった荷物の特徴、荷物の中身を記入します。このくらいの内容なら、英語が苦手でも、Google翻訳を使って何とかできるでしょう。現地で慌てずに済むよう、事前に英文のメモを作成しておくことをおすすめします。
ロストバゲージの補償付きカード・旅行保険を活用する
先述のとおり、ロストバゲージの補償が付いたクレジットカードや旅行保険があります。荷物が完全に紛失した場合でも、一般的に持ち物1つあたり10万円を限度に被害を補償してもらえます。
荷物が遅れて届くディレイドバゲージの場合でも、着替えや洗面用具などの生活必需品の購入費を実費で補償してもらえることが多いです。
航空会社にも補償はありますが、補償額の上限は20万円ほどなうえ、ディレイドバゲージへの補償はありません。
海外への旅行や出張が多い人は、この機会にロストバゲージの補償付きカード・旅行保険を検討してみてはいかがでしょうか。
ロストバゲージに遭った後の流れ
ロストバゲージに遭ってしまったらどうすればいいのか、紛失発覚からの一連の流れを紹介します。
荷物タグの控えと搭乗券を用意する
荷物が見つからず、ロストバゲージに遭ったとわかったら、まずは荷物タグの控えと航空券を用意します。これらがないと荷物を探すのに時間がかかるため、なくさないよう、取り出しやすい場所に保管しておきましょう。
カウンターで荷物が出てこないと伝える
荷物タグの控えと航空券を用意したら、「BaggageLost」と書かれたカウンターまで行き、荷物が出てこないことを伝えましょう。カウンターは荷物が流れてくるベルトコンベアーの近くにあることが多いです。見つからない場合は近くの空港スタッフに声をかけてもいいでしょう。
紛失証明書を提出する
カウンターではロストバゲージに遭ったことを証明する「紛失証明書」を記入・提出します。紛失証明書には次のような項目を記入するため、これらも英語で書けるように準備しておきましょう。
- 住所
- 滞在先の住所
- パスポート番号
- 荷物の特徴 など
- フライト便名
- チケット番号
- 氏名
紛失証明書を提出したら、控えを必ず受け取り大切に保管しておきましょう。控えに書かれた「参照番号」から探索の状況を追跡したり、補償を受ける際に必要になったりするからです。
トラベルキットを受け取る
ロストバゲージに遭った場合、航空会社によってはトラベルキットを受け取れます。歯ブラシや洗面用具などの旅行先での必需品がまとめられた簡単なキットで、購入するためのお金と手間が省けるでしょう。
カウンターで「Can I have a travel kit?」と聞いてみましょう。
その後、荷物が見つかった場合
その後、荷物が見つかった場合、滞在中のホテルまで配送してもらえることが多いです。ただし、空港まで取りに行かなければならないケースもあります。帰国後に見つかった場合は日本まで荷物を送ってもらうことになるでしょう。
滞在中に3日ほど待っても連絡がない場合、航空会社にWebサイトからメールで問い合わせてみましょう。
ロストバゲージ対策におすすめのグッズ
最後に、ロストバゲージ対策におすすめのグッズを3つ紹介します。
AirTag
AirTagはAppleが販売する忘れ物トラッカーです。これを荷物に付けることで、荷物がある場所が地図上に表示されます。荷物が近くにあるときは、自分から見た荷物の方向や距離もわかります。
預ける荷物にAirTagを付けたり入れたりしておけば、完全な紛失を防ぎ、荷物の発見を早められるでしょう。
丈夫な荷物タグ
空港で荷物を預ける場合、荷物にタグを付けますが、これはそこまで丈夫な作りではありません。タグを入れて荷物に取り付けられる、丈夫なネームタグを用意しておくのもいいでしょう。
目立つシールやバンド
スーツケースに目立つシールを貼っておけば、空港スタッフが探しやすくなるでしょう。他人による取り違いも起こりづらくなります。
スーツケースが開いてしまわないようにつけるバンドも、派手なものにしておけば他の人のスーツケースと取り違える可能性も低くなるでしょう。
ロストバゲージが起こる確率は低いが、荷物発見には時間がかかる
- ロストバゲージが起こる確率は0.55%ほど
- 荷物が手元に戻るまでには時間がかかる
- ロストバゲージにしっかり備え、快適な海外旅行を
ロストバゲージが起こる確率は0.55%ほどと低く、仮にロストバゲージに遭ったとしても、荷物は高確率で見つかります。
しかし、荷物が手元に戻るまでに数日かかることもあります。「荷物は見つかるだろうか」「何か盗まれないだろうか」と不安になり、せっかくの海外旅行が台無しになってしまうかもしれません。
本記事で紹介した対策を取り入れ、ロストバゲージを防ぐこと、万が一ロストバゲージに遭った場合に備えることをおすすめします。
【関連記事】
海外出張23の持ち物チェックリスト!快適に過ごすための便利グッズ、貴重品を守るための対策を紹介
海外出張をすることになった場合、何を持っていけばいいのでしょうか。国内出張の場合は、多少忘れ物があっても現地で調達することも難しくありませんが、土地勘がなく、コミュニケーションも取りにく...
出張の移動時間が労働時間になるケース、ならないケースは?出張中の休日や労災についても解説
出張中の移動時間は、業務時間に含まれるのか疑問の方も多いでしょう。長距離の場合や、海外に出張の場合などは長時間の移動になりがちです。 出張中の移動時間は基本的に労働時間にならず、残...
【2024年】国内出張の21の持ち物チェックリスト!最低限必要なものとあると便利なものに分けて紹介
出張に慣れていない場合は、何を持っていくべきなのか悩む人も多いのではないでしょうか。出張では忘れ物をしても取りに戻ることはできません。チェックリストを作り、忘れ物をしないようによく確認す...
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう