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エスカレーションの意味とは?ルール・フローで決めておく項目と5つのポイントを解説

U-NOTE編集部

2024/02/02(最終更新日:2024/02/02)


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ビジネスシーンで問題が発生した際、上司に指示を仰ぐことを「エスカレーション」と呼びます。現場で決められる権限がなく、また現場で対応すると問題がより拡大しそうな場合にエスカレーションによる対応が必要になります。

SNSやインターネット上で炎上などのトラブルが起こりやすい昨今、エスカレーションについての知識を深めておくことが大切です。

本記事ではそんな「エスカレーション」について解説。エスカレーションをする際に必要なルールやフロー作りで決めておくべき項目や、エスカレーションを円滑に行う5つのポイントもご紹介します。

本記事の内容をざっくり説明
  • エスカレーションが必要なシーンとは?
  • エスカレーションのルール・フロー決めで必要な5つの項目をご紹介
  • エスカレーションを円滑に行うためのポイントとは?

 

ビジネスでのエスカレーションの意味とは

エスカレーション(escalation)は本来、「拡大」「上昇」などの意味を持つ言葉です。そこから派生して、ビジネスシーンでは何らかのインシデントが発生した際に「上司や先輩に相談して判断を仰ぐこと」という行動を指します

「報告」と似た意味を持つ言葉ですが、報告は「現状を伝える」「現状を説明する」などの意味で使われており、上司の指示や対応を待つ意味合いは含まれていないのがエスカレーションとの違いです。

 

エスカレーションが必要なシーン

エスカレーションが必要なシーンは、ざっくり説明すると自分で判断・対応ができないときです。

例えば、緊急のインシデントが発生したときが挙げられます。現場の従業員レベルで判断・対応した場合にトラブルがさらに拡大して、収拾がつかなくなることがあります。インシデント発生時のトラブルの対処法は、自社内に対応方法や対応フローがあるはずです。エスレーションをすることで、迅速かつ的確な対応ができます。

自分の権限や責任範囲では対応できない問題が起きた際も、エスレーションを仰ぎます。権限の範囲外の決定を勝手にしてしまうと、そこから後々別の問題が発生する可能性があります。事態を早急に収拾するためにも、エスカレーションが必要です。

 

エスカレーションルール・フローとは

エスカレーションルール・エスカレーションフローとは、問題の発生からエスカレーションするまでの流れをフロー化したもののことです。いつ・誰に・どのタイミングでエスカレーションを行うのかをルールとして規定しておくことで、インシデント発生時に迅速な対応が可能です。

エスカレーションルールやエスカレーションフローは、インシデント内容をレベル分けし、緊急度や重要度に応じて報告内容や報告手段、報告ルートを決めるのが一般的です。レベル分けをしないと、全てのエスカレーションが毎回最も職位の高い方まで挙げられかねません。本来するべき業務に支障をきたす可能性も考えられるので、ルールやフローは慎重に決めましょう。

 

エスカレーションルール・フローで決める5つの項目

エスカレーションは必ずルール・フローを決めておきましょう。報告すべき内容のレベル分けや報告方法・手段、報告先など、フローに含めておくべきことがいくつかあります。エスカレーションルール・フローで決める5つの項目をご紹介します。

エスカレーションルール・フローで決める5つの項目
  • 1.エスカレーションが必要なシーン・内容の明確化
  • 2.内容のレベル分け
  • 3.報告方法・手段
  • 4.共有する内容の項目
  • 5.宛先

1.エスカレーションが必要なシーン・内容の明確化

エスカレーションルール・フローで決める1つ目の項目は、エスカレーションが必要なシーン・内容の明確化です。

まず最初に、エスカレーションが必要なインシデントや問題を規定します。現場で処理できる内容と、現場に権限がなく判断できない内容を明確にしましょう。

2.内容のレベル分け

エスカレーションルール・フローで決める2つ目の項目は、内容のレベル分けです。

最初に明確化した、エスカレーションが必要なインシデント内容を緊急度や重要度に応じて何段階かに分けていきます。例えば、現場の上長レベル、事業部責任者レベル、本部レベルなどの分け方ができます。自社の組織構造から考えるとスムーズに決めやすいのでおすすめです。

3.報告方法・手段

エスカレーションルール・フローで決める3つ目の項目は、報告方法・手段です。

報告手段として考えられるのは、メール・電話・チャットの3つです。重要度・緊急度が高い場合は電話がベストですが、場合によっては担当者不在で電話が繋がらないことも考えられます。いくつかの手段を組み合わせたエスカレーションフローを構築するのがおすすめです。

例えば、最初はメールで連絡し、20分以内に連絡がなければ電話をかけると決めます。万が一、どの手段でも担当者と繋がらず30分以上経過してしまった場合には、別の担当者の権限で対応を決定すると決めておくと安心です。

4.共有する内容の項目

エスカレーションルール・フローで決める4つ目の項目は、共有する項目内容を決めておくことです。

共有する項目内容は、エスカレーションする際に内容の抜け漏れを防ぐために必要です。何を伝えるべきかを決めておかないと、後から不足している情報を追加で確認する手間が発生する可能性があり、インシデントやトラブルに対する対応が遅れてしまいます。

トラブルの内容は職種によってさまざまです。例えば、エスカレーションが発生しやすいCRやコールセンターでは、下記の項目が挙げられます。

  • 問題の発生日時

  • 発生場所や環境

  • 先方の担当者

  • 現在担当している担当者

  • 解決したい内容

  • 解決したい希望日時

まずは、自社で発生の可能性が考えられるインシデントをピックアップし、それに応じて項目を決定しておくと抜け漏れを防げます。

5.宛先

エスカレーションルール・フローで決める5つ目の項目は、宛先です。

エスカレーション先の電話番号やメールアドレスはきちんと資料にまとめておきましょう。まとめておく際は、連絡先となっている方の氏名・所属部署・役職などの情報も入れておくと、誰が連絡することになったとしても、スムーズに報告ができます。

 

エスカレーションを円滑に行う5つのポイント

エスカレーションはルールやフローを決めておくことが大切ですが、あくまでも誤りのない対応を促すためのものであり、円滑なエスカレーションができるとは限りません。ルール・フロー作成以外に意識したいことがあります。エスカレーションを円滑に行う5つのポイントを解説します。

エスカレーションを円滑に行う5つのポイント
  • ポイント1.エスカレーション方法のルールを作成・周知する
  • ポイント2.エスカレーションの報告者が責任を問わないと周知する
  • ポイント3.エスカレーション後の対応状況は共有する
  • ポイント4.エスカレーション内容が解決後は、知見をデータベース化しストックする
  • ポイント5.エスカレーションしやすい環境を作る

ポイント1.エスカレーション方法のルールを作成・周知する

エスカレーションを円滑に行うための1つ目のポイントは、エスカレーション方法のルールを作成・周知することです。

エスカレーションを円滑に行うには、ルールの作成が必須。ルールが設けられていないと、インシデントや問題が発生した際、迅速な対応が難しくなります。本来であれば本社が対応すべきことを現場で対応し、さらに問題が拡大するトラブルも考えられるため、必ずルールを作りましょう。

エスカレーション方法のルールを作成した後は、そのルールを全社に周知します。ルール内容はもちろんのこと、ルールがまとめられた資料の格納先もあわせて知らせます。

インシデントや問題はどの部署でも起こり得るものです。すぐに適切な対応ができるよう、ルール周知には力を入れましょう。

ポイント2.エスカレーションの報告者が責任を問わないと周知する

エスカレーションを円滑に行うための2つ目のポイントは、エスカレーションの報告者が責任を問わないと周知することです。

インシデントや問題が起きたとき、上司や先輩に報告するのは気が引けるものです。怒られるかもしれないと考えると、報告を躊躇してしまう可能性もあります。そこで必要なのが、エスカレーションの報告者は責任を問わないというルールです。

このルールを周知することでエスカレーションがしやすくなり、インシデントや問題への迅速な対応が可能になります。

ポイント3.エスカレーション後の対応状況は共有する

エスカレーションを円滑に行うための3つ目のポイントは、エスカレーション後の対応状況を共有することです。

エスカレーション後は、どのような状況になっているのか、誰が対応をして、その後引き継いだのかなどを全社で必ず共有するようにしましょう。エスカレーション後は現場ではなく部長や課長など役職者が対応するため、現場はどのような対応がなされたのか、その内容を知る機会がありません。

エスカレーション後の対応状況を共有する環境が整っていれば、次に同様のトラブルが発生した際に、慌てずスムーズに対応できます。

ポイント4.エスカレーション内容が解決後は、知見をデータベース化しストックする

エスカレーションを円滑に行うための4つ目のポイントは、エスカレーション解決後は、知見をデータベース化し、ストックしていくことです。

エスカレーション後、問題が解決した際には、一連の流れをナレッジベースに蓄積し、社内のナレッジとして共有していきましょう。トラブル発生から解決までの対応内容を確認することで、今後同様のインシデントが発生しないようにするための対策を考えることができます。

ナレッジベースへの登録を忘れないよう、エスカレーションルール・エスカレーションフローに必ず入れておきましょう。

関連記事:ナレッジベースとは?作り方と、構築時に使えるツール・ポイントを解説

ポイント5.エスカレーションしやすい環境を作る

エスカレーションを円滑に行うための5つ目のポイントは、エスカレーションしやすい環境を作ることです。

エスカレーションに関するルールやフローを決めたからと言って、誰もがルール通りにエスカレーションを行うとは限りません。エスカレーションしやすい環境作りも大切なポイントです。

エスカレーションは通常、下の職位の従業員から、上の職位の従業員に対して連絡が行われます。忙しい上司や先輩の業務を止めるのに抵抗を感じる従業員もいる可能性があります。

そのような場合には、上司から積極的にエスカレーションを促しましょう。上司と部下の関係性も大切なので、日頃から多く交流する、相談しやすい環境を作るなど、意識的に行動することを忘れないでください。

 

エスカレーションルールは定期的に見直そう

本記事のまとめ
  • インシデントに対してスムーズに対応できるようエスカレーションルールを決めよう
  • 重要度・緊急度でレベル分けし、レベルに応じた対応内容を決める
  • エスカレーションする側の心的負担を減らす環境作りも大切

エスカレーションのルールは、一度決めたら終わりではありません。エスカレーションの宛先にしていた方が異動したり、現場の責任範囲が変わったりと、状況にあわせてルールの見直しが必要です。

本記事を参考に定期的に内容を確認し、ルールを更新し運用していきましょう。

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