大手自動車メーカー、ダイハツ工業株式会社(以下、ダイハツ)の型式認証不正問題が連日報じられています。
ダイハツは、この問題を受けて国内外で生産する全ての開発車種の出荷を一旦停止することを12月20日(水)に発表しました。クルマの安全に関わる不正というだけでなく、異例の全車種出荷停止という深刻な事態が生じています。
さらに、この不正問題は自社ブランド車以外にもトヨタ自動車株式会社、マツダ株式会社、株式会社SUBARUへOEM供給を行う車種にも影響を及ぼすといいます。
信用調査会社である東京商工リサーチ(以下、TSR)は、同社の取引先を調査し、この生産中止による影響などの見通しを発表しました。
ダイハツ工業株式会社|第三者委員会による調査結果および今後の対応について
経済産業省|ダイハツ工業(株)の型式指定申請における不正行為について
トヨタ自動車株式会社|ダイハツ工業による認証申請における追加不正行為の判明ならびにトヨタ販売車両の出荷停止と今後の対応について
※ダイハツは、トヨタ自動車株式会社の完全子会社で、トヨタグループに名を連ねています。
2次取引先を含め全6,084社に影響が
TSRの調べによるとダイハツとその主要子会社5社(以下、ダイハツ工業グループ※)と1次(直接取引)、2次(間接取引)で取引のある企業は、日本全国で6,084社。取引先業種は製造業が2,695社(44.3%)と半数近くを占めています。情報通信業が仕入れ先として189社あることは、現代のクルマが電子化されていることを知らしめるようです。
この調査は、TSRの企業情報サービス(tsr-van2)の企業相関図から、 ダイハツ工業グループの仕入先、 販売先を1次(直接取引)、 2次(間接取引)に分けて抽出し、業種、規模などを分析。取引先計は、1次、2次を含め仕入先と販売先を合算後、重複を除いて算出しています。
※ダイハツ工業と「会社概況データブック(2023)」に掲載がある主要子会社5社を対象
生産停止が長期化すると……?
ダイハツのみならず、自動車メーカーでは、完成車を製造・販売する企業を頂点として、国内外を問わず、大手から零細までさまざまなメーカーが部品を供給する「自動車サプライチェーン」を築くビジネスモデルが主流となっています。
生産調整や販売休止などの影響が長期化した場合には、サプライチェーンが分断され、ダイハツ工業グループとの取引に依存する企業の「ダメージ」は、さらに大きなものとなります。
また、自動車関連企業のみならず、運送業や建設業、飲食店など、さまざまな周辺業種にも影響が広がるという見通しとあわせて、この生産停止が、企業の資金繰りを直撃する可能性を指摘。早急に支援や補償体制を整えなければ黒字倒産を招く事態も危惧される、とTSRは伝えています。
<参照>
「ダイハツ工業グループ」取引先調査 取引先は全都道府県に6,084社 生産停止で取引先の資金繰りに影響も
【関連記事】
自動運転タクシーや空飛ぶクルマ、自動配送ロボ…… ジャパンモビリティショー、U-NOTE注目の次世代技術6選!
10月28日(土)から11月5日(日)まで、自動車に関する最新技術などを紹介するイベント「ジャパンモビリティショー(JAPAN MOBILITY SHOW)2023」(旧東京モーターショー)の一...
「ビッグモーター」問題が中古車店の業況悪化に波及 中古車業界への不信感が募り信頼回復が課題に
株式会社帝国データバンクは、中古車の買い取り・販売を手掛ける「中古車店」の倒産発生状況についての調査・分析を行いました。 コロナ禍では中古車価格が高騰 コロナ禍では、工場の操業停止や...
「車買えぬ日本」を生き抜く秘策。過熱する車のサブスクリプション市場と次の一手
新型コロナウイルス感染拡大の影響などによる新車の納車遅れで、中古車市場に顧客が殺到し、中古車価格が高騰。自動車を買えなくて困っている人たちがいる。そのようなニュースを目にした方も多いでしょう。 ...
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう