マイルストーンは「節目」を意味し、ビジネスシーンではプロジェクトの中間目標やフェーズをマイルストーンとして設定することが多いです。
本記事ではマイルストーンとは何か、どのような役割があるのかを解説。マイルストーンと似た言葉・関連用語も紹介します。
- マイルストーンの意味と似た言葉との違い
- マイルストーンの書き方・使い方
- マイルストーンを導入するときのポイント
マイルストーンとは
マイルストーンとは「節目」のことです。何か計画を立てるときに重要な節目をマイルストーンとして設定し、どの段階で何をすればいいのか、現在地はどこなのかをわかりやすくします。
ビジネスでのマイルストーンの意味
マイルストーンはビジネスシーンでよく使われる言葉です。ビジネスにおけるマイルストーンも節目を意味し、プロジェクトの企画・設計・実施・評価などの項目を設定します。
マイルストーンと似た言葉の意味
マイルストーンと似た言葉、混同されやすい言葉の意味やマイルストーンとの違いを解説します。
目標
目標は最終的なゴールのことです。マイルストーンは最終的なゴール・目標にたどり着くための一つひとつのステップ、中間目標を指します。
タスク
タスクはプロジェクト進行のための一連の流れを細かく分割したものです。たとえば「オウンドメディアの立ち上げ」なら、サーバーやCMSの構築、メディア全体のデザイン・構成、メディアで公開する記事の作成と入稿、公開設定などがタスクにあたります。
マイルストーンは中間目標やチェックポイントの意味合いが強く、関連する一連のタスクをひとつのマイルストーンとして設定することが多いです。先ほどの例でいえば、「サーバーとCMSの構築のためのタスクがすべて完了した」「メディアの公開前にストックしておくべき記事がすべて執筆できた」のような大きな節目を指します。
スケジュール
スケジュールはプロジェクト進行の大枠を示し、進捗を管理するためのものです。誰がどのタスクをいつまでに終わらせるのか、いつどんな予定が入っているのかなどを管理します。
マイルストーンもプロジェクトの大枠を管理するためのものですが、メンバー一人ひとりのタスクや予定を細かく管理するスケジュールに比べ、チーム全体をより俯瞰して管理するために使います。
ガントチャート
ガントチャートは縦軸にタスクを、横軸に日付を入れたグラフ形式のスケジュール管理表です。どのタスクを誰が担当するのか、開始日と終了日付きで管理します。
マイルストーンではタスクやスケジュールの管理にガントチャートを使います。ガントチャートにマイルストーンを記入することで、何をいつまでに終わらせなければならないのかが明確になり、進捗を管理しやすくなるでしょう。
関連記事:ガントチャートとは?作り方や管理の注意点、おすすめのツールとテンプレートを紹介
ロードマップ
ロードマップはプロジェクトの進行を管理するための図です。ガントチャートと同じように縦軸にタスク、横軸に日付を入れ、進行計画を立てます。
ガントチャートが細かなタスクを管理するのに対し、ロードマップは長期目線で計画の概要を管理します。たとえばプロジェクトをいくつかのフェーズに分け、各フェーズですべきことや達成すべき数値目標を決めたら、ガントチャートでそのために取り組むべき具体的なタスクを管理します。
クリティカルパス
クリティカルパスはプロジェクト進行のために必ず行わなければならないタスクを洗い出し、各タスクをどのような経路で進めていくのかを示すものです。スケジュールに影響が出る作業経路を明確にできます。
マイルストーンを設定するときはクリティカルパスを明確にすることが重要です。これにより、納期に間に合うかどうか、遅れをどうやって取り戻せばいいかを確認できます。
マイルストーンを設定する3つのメリット
マイルストーンを設定するメリットは、「スケジュール管理がしやすい」「効率よく進行できる」「モチベーションアップ」の3つあります。それぞれの詳細を紹介します。
メリット1.スケジュールを管理しやすくなる
マイルストーンを設定する1つ目のメリットは、「スケジュールを管理しやすくなる」ことです。
マイルストーンではプロジェクト進行において重要な中間目標を設定するため、全体の進捗をおおまかに、瞬時に把握するのに役立ちます。細かな予定やタスクを管理するスケジュールよりも、全体の進捗を俯瞰しやすいです。
メリット2.プロジェクトを効率よく進行できる
マイルストーンを設定する2つ目のメリットは、「プロジェクトを効率よく進行できる」ことです。
先述のとおり、マイルストーンを設定することでプロジェクト全体の進捗をすばやく把握できます。納期や予定に対して遅れがどのくらい出ているのかを把握しやすいこと、重要な中間目標のみを管理することから、プロジェクト全体を俯瞰して軌道修正ができます。
細かな予定やタスクを管理することも大切ですが、さまざまな要素が細かく記載された管理表では全体の状況が把握しづらく、軌道修正時に混乱が生まれやすいです。
メリット3.モチベーションを保ちやすくなる
マイルストーンを設定する3つ目のメリットは、「モチベーションを保ちやすくなる」ことです。
マイルストーンで重要な中間目標を設定することで、メンバーはプロジェクト進行の節目ごとに達成感を得られます。
達成感はモチベーションの維持に役立ちます。特に中長期のプロジェクトでは中だるみが起こりやすいです。一つひとつのタスクを完了することでも達成感は得られますが、タスクの数が多いと「あまり進んでいる感じがしない」「この先も膨大なタスクをこなさなければならない」と、大きな達成感が得られないでしょう。
マイルストーンによりプロジェクト進行の節目を明確にすること、いつまでに何をすればいいのか具体的にわかることにより、モチベーションを保ちやすくなるのです。
マイルストーンの書き方・使い方4ステップ
プロジェクトの進行を管理するためには、以下の4つのステップでマイルストーンを設定していきましょう。
STEP1.タスクと期限を明確にする
まずはプロジェクト完遂のために必要なタスクを洗い出し、各タスクの期限を明確にしましょう。
マイルストーンでは細かなタスクではなく、重要な中間目標を管理します。タスクの洗い出しが終わったら、各タスクを「第1フェーズ」「第2フェーズ」などに分けてまとめましょう。
たとえばオウンドメディアの立ち上げなら、次のようにタスクを区分できます。
【第1フェーズ:CMSの構築】
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サーバー・インフラの整備
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コンセプトの設計
【第2フェーズ:メディアのデザイン】
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デザイナーの確保
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デザインの設計
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デザインカンプの作成
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素材集め
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コーダーによるデザインの実装
【第3フェーズ:コンテンツ作成】
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ライター・編集者の確保
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コンテンツ作成スケジュールの設定
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記事や動画の作成・編集
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コンテンツの入稿と公開予約の設定
STEP2.クリティカルパスを明確にする
タスクの洗い出しと区分が済んだら、各タスクをどのように進めるのか、作業経路を決めましょう。タスクをいつ進めても構わないものと、期日どおりに進めなければならないものにわけ、期日どおりに進めなければならないタスクをクリティカルパスとして設定します。
STEP3.タスク実行と進捗管理の担当者を決める
STEP2までで、プロジェクト進行の大まかな流れが見えてきているはずです。次は各タスクを実行する担当者と、進捗を管理する管理者を決めます。
管理者はプロジェクト全体を管理する責任者と、各フェーズを管理するディレクターをそれぞれ決めるといいでしょう。
先述の「オウンドメディアの立ち上げ」の例では、第1フェーズには開発に詳しいディレクターが、第2フェーズにはデザインに詳しいディレクターが、第3フェーズにはライティングやマーケティングに詳しいディレクターがいると好ましいです。
全体を管理する1人の責任者だけでは、各フェーズで必要となる知識のすべてをカバーするのは難しいです。各フェーズを同時進行で進めることもあります。管理が煩雑になったり混乱したりするのを防ぐためにも、大規模なプロジェクトでは複数の管理者を配置するといいでしょう。
STEP4.ガントチャートを作成する
ここまでの工程で誰が、どのようなスケジュールで、どのタスクを実行するのか。各タスクやフェーズを管理するのは誰なのかが明確になっているはずです。これらの情報をガントチャートにまとめ、全体の進捗を把握できるようにしましょう。
ガントチャートではプロジェクト完遂に必要なタスクを細かく管理します。タスク管理とは別にマイルストーン管理のための行を追加すると、全体の進捗を把握しやすくなるでしょう。
マイルストーンを導入するときの3つのポイント
これまでマイルストーンの設定方法について紹介しました。ただ、マイルストーンは設定すること自体が目的ではなく、プロジェクトを成功させるための手段です。
最後に、マイルストーンを活用し、プロジェクトを成功に導くための3つのポイントを紹介します。
- ポイント1.マイルストーンはタスクとは分けて管理する
- ポイント2.情報管理は一元化する
- ポイント3.ITツールをうまく活用する
ポイント1.マイルストーンはタスクとは分けて管理する
マイルストーンはタスクとは分けて管理しましょう。マイルストーンとタスクを一緒に管理すると、細かなタスクにマイルストーンが埋もれ、全体の進捗を把握しづらくなります。
タスク管理とマイルストーン管理の行を分けてガントチャートを作ったり、タスク管理にはガントチャートを、マイルストーン管理にはロードマップをと使い分けたりしましょう。
ポイント2.情報管理は一元化する
マイルストーンとタスクは分けて管理すべきですが、別々のツールで管理するのはおすすめできません。管理ツールが複数あると管理が煩雑になりやすいです。画面を行き来したり、複数のツールの使い方を覚えたり、混乱が起こりやすくなるでしょう。
タスク管理とマイルストーン管理で別々のツールを使う場合、日々の管理にはタスク管理用のツールを使うことになり、マイルストーン管理用のツールを開く頻度は低くなります。重要度の低いタスクばかりを進めて、クリティカルパスがないがしろになっていたということもありえます。
マイルストーンや、タスクはできるだけ同じツール内で一元管理するのがおすすめです。
ポイント3.ITツールをうまく活用する
マイルストーンやタスクの管理には、ITツールを上手く活用しましょう。
たとえばExcelやGoogleスプレッドシートのような表計算シートでも、これらの管理は十分にできます。AsanaやJooto(※Jootoを提供する株式会社PR TIMESはU-NOTEの運営会社です)のようなプロジェクト管理ツールを使えば、より簡単にガントチャートやマイルストーンを作成し、管理できます。
ITツールを選定する際は次のようなポイントを意識しましょう。
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直感的に操作できる
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画面がシンプルで見やすい
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モバイルアプリの有無
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マイルストーンを柔軟に変更・編集できるか
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ガントチャートやロードマップなどのテンプレートが充実しているか
「マイルストーンはコミュニケーションツール」と意識しよう
- マイルストーンはプロジェクトの進捗管理に欠かせない
- マイルストーンとタスクは別々に管理する
- マイルストーンを設定することで、メンバーのマネジメントもしやすくなる
プロジェクトを進行するうえでの重要な中間目標を管理するのがマイルストーンです。マイルストーンを設定することで、タスクをどのような順番で進めればいいのか、スケジュールに影響が出るのはどのタスクなのかが明確になります。
マイルストーンとタスクは別々に管理しましょう。マイルストーンでプロジェクトの大まかな進捗をすばやく把握できるようにすることで、スケジュールがどのくらい遅れているのか、どう軌道修正すればいいのかがわかりやすくなります。
マイルストーンでプロジェクトの進行に節目を設け、中間目標の達成をこまめに祝うことで、メンバーのモチベーションを保ちやすくなるでしょう。
進捗を機械的に管理するのではなく、前倒しでタスクを進められたメンバーを褒めたり、遅れが出ているメンバーに声をかけたりすることで、プロジェクトをよりスムーズに進められるはずです。
本記事を参考に、マイルストーンをプロジェクトの成功に役立ててみてはいかがでしょうか。
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