HOMEビジネス 「気候変動に対応したブランド米」災害級の夏を乗り越え収穫・販売 JAXAべンチャー企業らが生産

「気候変動に対応したブランド米」災害級の夏を乗り越え収穫・販売 JAXAべンチャー企業らが生産

服部真由子

2023/12/21(最終更新日:2023/12/21)


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コメ作りに最適な土地を宇宙から探して栽培したという「宇宙ビッグデータ米 宇宙と美水」の‟新米”が、12月からコメ卸大手の株式会社神明の直営店舗「米処四代目益屋」(阪急うめだ本店ほか)、宇宙食や宇宙グッズの専門店「宇宙の店」(東京・浜松町)で発売されています。

宇宙ビッグデータ米とは?


このコメは、JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)発のスタートアップ企業である株式会社天地人、神明社、株式会社笑農和(農業ITベンチャー企業)の3社協業で生産され、2023年度は3回目の収穫だといいます。

地球温暖化による「高温障害」の増加にともない、コメの外観品質の劣化や食味の低下が問題となっていることを踏まえて、適切な圃場(ほじょう・農産物を育てる場所)選定や水の管理を行うことで課題を解決し、深刻化する気候変動に対応した「ブランド米」をつくることを、目標のひとつに掲げるプロジェクトです。

天地人社の土地評価エンジン「天地人コンパス(※)」を活用して日本全国を調査し、神明社の独自品種「ふじゆたか」の栽培適地を2022年度に選定。

栽培期間には、人工衛星からの客観的なデータを用いて栽培環境をモニタリングして、タイムリーな水管理を行います。その際、笑農和社が提供するスマートフォンで水管理を自動化するという「paditch(パディッチ)」を活用して、夜間の冷たい水を取り入れ、水温を低温に保ったといいます。

※天地人コンパスは、地球観測衛星のビッグデータをはじめとするさまざまなデータをもとに、解析・可視化・データ提供を総合的に行う土地評価サービス。

JAXA新規事業促進部|宇宙ビッグデータコメ事業

異常気象を生き抜き、1等米に

月平均気温が3カ月連続で過去最高を更新した‟災害級の暑さ”に見舞われた2023年の夏を乗り越え、新米を収穫。農産物検査法に基づいて、全国で統一された玄米の検査規格のうち最も品質が高い分類と評価される「1等米」に認められました。

農林水産省によると、2023年産米の1等米比率の全国平均は、10月31日時点で61.3%でした。2022年度は79.4%、2021年度は83.6%となっており、同時期と比較して減少を示しています。

農林水産省|令和5年産米の農産物検査結果(速報値)(令和5年10月31日現在)

<参照>
JAXAベンチャー 天地人、宇宙から米作りに最適な土地を探し栽培した米「宇宙ビッグデータ米」の栽培と収穫が完了。異常気象でも、1等米として高品質を維持。12月より販売開始。

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