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データマイニングとは?データ分析との違いや手法を事例付きでわかりやすく解説【ツール3選】

U-NOTE編集部

2024/01/29(最終更新日:2024/01/29)


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データマイニングとは、膨大なデータから傾向や法則を見出し、マーケティングや業務改善などに役立てることです。

本記事ではデータマイニングとは何か、関連用語と併せて解説します。データマイニングの「DIKWモデル」や具体的な実践方法、主な手法と役立つツールも紹介します。データマイニングの基礎知識を知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。

本記事の内容をざっくり説明
  • データマイニングとは何か、データ分析や統計学との違い
  • データマイニングのモデルや実践方法
  • データマイニングの主な手法と役立つツール

 

データマイニングとは

データマイニングとは、統計学やAI・機械学習などを活用しながら膨大なデータから傾向や法則を見出し、何らかの知見を得るために行うデータ活用の一種です。マイニング(mining)には「採掘」という意味があり、鉱山から鉱物を掘り当てるように、膨大なデータを掘り下げていき役立つ知識や知見を見つけ出します。

データ分析との違い

データ分析とは、データを収集し分析する活動です。Webサイトやメール、SFA/CRMなどから得られたデータを分析し、顧客を理解したり商品・サービスを改善したりするために役立てます。

データ分析の一種としてデータマイニングがあると考えるとわかりやすいでしょう。

AIや機械学習との違い

AIや機械学習はデータマイニングを含むさまざまなデータ分析、システムなどに活用されている技術です。

AIは人工知能のことで、人間の行動や思考を再現します。機械学習はデータから規則性や関係性を見つけ出すために、特定のデータを解析する技術です。

データマイニングではこれらの技術を活用することで、より深いデータの分析や洞察が可能になります。

統計学との違い

統計学もAIや機械学習と同じく、データマイニングに活用されています。統計学はその名のとおり統計に関する研究をする学問です。経験的に得られたデータから規則性・不規則性を見出し、データの要約や解釈を行います。

データマイニングと統計学には次のような違いがあります。

  • 扱うデータ量はデータマイニングの方が多い

  • 統計学の主な目的は仮説の検証

  • データマイニングの主な目的は知識・知見の発見

  • 統計学もデータマイニングも仮説を立てるが、データマイニング中は仮説を行わない

 

データマイニングを実践するメリット

データマイニングを実践することで、膨大なデータ同士の関係性や結びつきを見つけられるでしょう。たとえば「このタイプの顧客にはこのようなアプローチが有効」「この時期はこの層のユーザーが増える」などの規則性・法則性を見つけることで、マーケティング活動の改善・強化ができます。

ツールやテクノロジーを活用して膨大なデータを扱えること、少ない手間で膨大なデータのなかから役立つ知見を得られることが、データマイニングを実践する主なメリットです。

 

データマイニングのDIKWモデル

データマイニングを行うことで得られる知識や知見は大きく次の4つに分けられます。

  • Data(データ)

  • Information(情報)

  • Knowledge(知識)

  • Wisdom(知恵)

これらの頭文字を取り、データマイニングで得られる知識・知見は「DIKWモデル」と呼ばれ、下に行くほど有用になっていきます。それぞれどんな知識・知見なのか紹介します。

Data(データ)

Data(データ)はそのままデータの意味で、収集されたあらゆるデータのことです。画像や音声、数値、テキストなど、あらゆる形式のデータを指します。

Information(情報)

Information(情報)は、収集したデータを整理・分類したものを指します。バラバラな形式のデータのフォーマットを統一し、分析しやすい状態に整えます。

Knowledge(知識)

Knowledge(知識)は情報から得られる知識のことで、分析の結果見出した法則性や傾向などのことです。たとえばPOSレジの売上データの場合、「この曜日はこの年代・性別の客数が多い」「この月はこの客層の客単価が高い」などがこれにあたります。

Wisdom(知恵)

Wisdom(知恵)はKnowledge(知識)を活用して判断を下す力のことです。たとえば「この月はこの客層の客単価が高い」という知識があるなら、その月・その客層を対象にしたキャンペーンを実施したり、なぜその客層の客単価が高いのか考えたりできるでしょう。

Knowledge(知識)まではツール活用により手に入れられますが、得られた知識をどう活かすかは人の思考・判断に頼るしかありません。データマイニングを繰り返すことはもちろん、物事の因果関係に注目して考えるクセをつけることで、データマイニングのスキルを高められるでしょう。

 

データマイニングを実践する6ステップ

次に、データマイニングを実践するステップを6つに分けて紹介します。

データマイニングを実践する6ステップ
  • STEP1.目的を決める
  • STEP2.データクレンジングの体制や、ツールを検討する
  • STEP3.データウェアハウス(DWH)を整備する
  • STEP4.データを収集する
  • STEP5.データを加工し、整理する(データクレンジング)
  • STEP6.データを分析・結果を検証する

STEP1.目的を決める

まずは何のためにデータマイニングを実践するのか、データを何に役立てたいのか、データマイニングの目的を決めましょう。目的を決めることで、どんなデータを集めるべきなのかが見えてきます。

たとえばクロスセルを増やすのが目的なら、一緒に購買されることが多いのはどんな商品なのか、どんな層がセット購入しているのかなどの知識が役立ちます。この場合、POSレジの販売データや会員データ、CRM/SFAの購買履歴などのデータを集めるといいでしょう。

STEP2.データクレンジングの体制や、ツールを検討する

データを収集する前にその準備を整えます。データクレンジングの体制を整えたり、データの収集・クレンジングに必要なツールを検討したりしましょう。

データクレンジングとは未入力や誤入力、重複などの不備を修正し、データの正確性を高めることです。データマイニングのプロセスが正しくとも、分析・洞察の基となるデータに誤りがあれば、誤った知見しか得られません。

マーケティング戦略の策定や経営判断に膨大なデータを活用することが一般的になった現代において、データクレンジングは重要です。データクレンジングの基準や工程を明確にしたり、そのための人員を確保したり、体制を整えましょう。

STEP3.データウェアハウス(DWH)を整備する

データを整理しながら蓄積していくために、データウェアハウス(DWH)を整備しましょう。DWHは社内のシステムやクラウドサービスなどを横断してデータを集め、時系列で蓄積するツールです。

代表的なDWHとして「AWS」が挙げられます。Amazonが提供するクラウドサービスの総称で、AWSのデータは同社の「AWS Glue DataBrew」でデータクレンジングできます。

STEP4.データを収集する

どんなデータを収集すべきかが明確になり、データを蓄積・整理するための体制と設備を整えたら、いよいよデータ収集です。

組織内のデータは通常、複数のデータベースに保管されています。ここまで解説してきたステップを踏んでいれば、社内のシステムや社外のデータベースに保管されたデータがDWHに集約されるようになっているはずです。DWHからデータマイニングに必要なデータを抽出しましょう。

STEP5.データを加工し、整理する(データクレンジング)

データマイニングに必要なデータがそろったら、これらを加工・整理しましょう。いわゆるデータクレンジングの段階で、データの形式をそろえたり、重複や誤データの削除などを行います。

余計なデータも削除しましょう。たとえば顧客の性別・年齢・年間購入金額だけが必要なら、購入履歴や職業、契約期間などの対象外のデータを削除します。

STEP6.データを分析・結果を検証する

データの加工・整理が済んだら、データを分析し、結果を検証します。ここでは分析結果が正確かどうかを判断しなければなりません。正確でない場合や求めていた知識が得られなかった場合、集めるデータや分析モデルを再構築してデータマイニングをやり直します。

 

データマイニングの手法・やり方

データマイニングでは、「クラスター分析」「ロジスティック回帰分析」「ABC分析」「バスケット分析」などの手法が使われます。次に、主な4つの手法の詳細を紹介します。

クラスター分析

クラスター分析はデータを分類し、特性や傾向ごとに集団に分ける手法です。クラスターは「集団」の意味で、主に顧客のセグメンテーション(属性や傾向などによる分類)に使われます。

たとえば顧客を年齢・性別・来店した時間帯・曜日・客単価などの条件で分類し、それぞれの集団の特性を分析することで、どの層へのアプローチを強化すればいいのか、どんな時期にどんなキャンペーンを実施すればいいのかが見えてきます。

クラスター分析では各集団の特性や傾向をグラフ・表などで可視化することで、仮説を立てたり議論したりしやすくなるでしょう。

ロジスティック回帰分析

ロジスティック回帰分析はいくつかの要因(説明変数)から2択の結果(目的変数)が起こる確率を計算する手法です。「2択の結果」とは答えが2つしかない結果のことで、たとえば「商品を買うか、買わないか」「来店するか、しないか」などがこれにあたります。

たとえば説明変数に「会員登録の有無」「会員アプリのインストール有無」「メルマガの開封率」「年間購入額」などの要因を設定し、それぞれの要因が「セール期間中に来店するか、しないか」の結果(目的変数)にどのように影響しているのかを調べ、来店率を予測します。

ABC分析

ABC分析は主に売れ筋商品を見極め、発注の優先度を知るために行われます。販売数や売上高の大きい順に商品をA・B・Cのランクに分け、発注の優先度を考えます。

売れ筋商品の欠品を防ぎ機会損失を避けるため、死に筋商品の発注を減らし在庫リスクを軽減するために活用されることが多いです。

バスケット分析

バスケット分析は一緒に購入されやすい商品同士を明らかにするための手法です。買い物カゴ(バスケット)に一緒に入れられる商品を見出すための手法であるため、バスケット分析と呼ばれます。

バスケット分析によりどの商品がどんな商品と一緒に購入されるのか、関連性の高い商品はどれかを見出すことで、クロスセルを狙いやすくなります。一緒に購入されやすい商品同士の配置を近づけたり、セット割引を打ち出したり、売り場や施策の改善に役立つでしょう。

 

【業界別】データマイニングの活用事例

データマイニングはどのように活用されているのか、業界別の活用例を紹介します。自社ではどのように活用できるのか想像してみてください。

小売業

小売業では季節や天候、曜日、時間帯などの条件ごとの販売データを分析し、販売予測を立てることが多いです。より正確な販売予測を立てられれば、在庫や人材配置を適正化し、コスト削減や機会損失の防止につなげられるでしょう。

ネットショップでは過去の購買履歴からおすすめ商品をレコメンドしたり、サブスクリプション型のサービスでは過去のデータから解約しそうな顧客の傾向を見出し、解約リスクの高い顧客を重点的にフォローしたり、さまざまな活用方法があります。

製造業

製造業では生産性の向上や製品の品質均一化などを目的にデータマイニングが活用されています。生産ラインに設置したセンサーからデータを集めてサイクルタイムを改善したり、品質低下の原因を見つけて解消したりできます。

品質低下や機械の故障の原因・タイミングを明らかにすることで、工程や機器メンテナンスを最適化できるでしょう。

金融業

金融業ではキャッシュカードやクレジットカードの不正利用による被害を抑えるために、データマイニングが活用されています。決済や預金引き出しを行う金額や店舗など、ユーザーの行動パターンを分析することで、普段と異なる行動にいち早く気づけます。

データマイニングを活用することで、その「普段と異なる行動」がユーザー自身によるものなのか、カードの盗難やスキミングなどによるものなのかを見極めやすくなるでしょう。

教育分野

教育分野では学生やユーザーのサポートにデータマイニングが活用されています。たとえば学校では学生の取得単位や成績などから卒業・進級の見込みを数値化し、見込み度の学生を個別にサポートするという取り組みが行われています。

学習塾やスクール、学習サービスなどではユーザーごとのレベルや得意・不得意を分析し、それぞれに合ったカリキュラムやサポートを提供できるでしょう。

医療分野

医療分野では患者それぞれに合った医療や指導を提供するために、データマイニングが活用されています。

患者のカルテを基により大きな効果が得られるであろう治療法を見出せるでしょう。健康分野ではこれまでの指導記録を分析し、どんな人にどんな指導をすると良いのかというナレッジを蓄積できます。

 

データマイニングに役立つツール3選

データマイニングを行う際には、ツールを使うことで効率的にデータを扱えます。最後に、データマイニングに役立つツールを3つ紹介します。

SAS High-Performance Data Mining

SAS High-Performance Data Miningはビッグデータからパターンを洗い出し、速やかに予測を立てるツールです。

サンプリングした一部のデータではなく、データ全体を活用して予測モデルを作成するため、より正確な予測結果が得られます。膨大なデータを扱うにもかかわらず、数秒~数分で予測結果を得られるため、従来よりも頻繁にデータマイニングを実行できます。

データ全体を活用して予測モデルを作成すること、データマイニングの頻度を高めることで、より正確な洞察が得られるようになるでしょう。

>>SAS High-Performance Data Mining 公式サイト

Alkano

Alkanoはデータの加工や予測モデルの構築、深層学習などのデータ活用に欠かせない機能がマウス操作で使えるツールです。ノーコードでデータの取り込みからモデリング、運用までのプロセスを進められるため、プログラミングのスキルがなくても扱えます。

日本語の解析に強いのもAlkanoの特徴です。数値データはもちろん、アンケートやコールセンターの応対記録など、自由記述のテキストデータも処理できます。

あらゆるデータを解析することで、より正確で役立つ知見が得られるでしょう。

>>Alkano 公式サイト

カスタマーリングス

カスタマーリングスはCRM/MAツールから進化した「顧客実感型マーケティングプラットフォーム」です。より良い顧客体験を提供するために、データ分析を通して顧客を深く理解できます。

顧客行動やアンケートで集めた顧客の声などのデータを分析することで、顧客の行動や不満にある背景を理解できるでしょう。施策に反応した顧客を1クリックで把握したり、反応顧客一人ひとりをその場で分析し、それぞれの好みを分析したりすることもできます。

ロイヤルカスタマーの育成、マーケティングやブランディングの施策改善に役立つツールです。

>>カスタマーリングス 公式サイト

 

多様化・複雑化する社会で生き残るために、データマイニングを活用しよう

本記事のまとめ
  • ビッグデータの活用が当たり前になった現代において、データマイニングは不可欠
  • データマイニングではデータ分析はもちろん、データを基に考える力が必要
  • ツールを活用し、データマイニングの精度と頻度を高めよう

ビッグデータの活用が当たり前になった現代において、データマイニングは欠かせません。目的に合ったデータを集め、不要なデータや誤ったデータを削除するデータクレンジングを経て分析を進めることで、より正確な予測結果が得られます。

データマイニングではデータの収集・加工・分析に関するスキルはもちろん、分析結果を基に洞察する力が必要です。分析結果を基に新しい施策や改善策を打ち出すことで、データマイニングははじめて意味を持ちます。

本記事で紹介したようなツールを活用すれば、ノーコードでデータを加工・整理し、より正確な予測結果を得られるでしょう。データマイニングの各工程を自動化・効率化できるため、分析の頻度も高められます。

本記事を参考に、自社でデータを活用する方法を検討してみてはいかがでしょうか。

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