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個人事業主の「屋号」とは?必要?商号との違い、ネーミング例や付け方をわかりやすく解説

U-NOTE編集部

2024/01/25(最終更新日:2024/01/25)


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屋号は個人事業主における会社名のようなものです。屋号は登録しなくても構いませんが、屋号を持つことで事業を有利に進められることもあります。

本記事では屋号とは何か、付けるメリットや事業を有利にする屋号の付け方を解説。業界・業種ごとの屋号のネーミング例も紹介するので、参考にしてみてください。

本記事の内容をざっくり説明
  • 屋号とは何か、商号や雅号との違いは?
  • 業界・業種別の屋号のネーミング例
  • 屋号を付けるメリットと、事業を有利にする屋号の付け方

 

屋号(やごう)とは

屋号(やごう)とは、個人事業主における会社名のようなものです。個人事業主としてビジネスを進めるうえでの名前であり、主に店舗や工場の名前やペンネームなどにします。なお、屋号の登録は任意であり、登録しなくても構いません。

国税庁では次のように定義されています。

屋号・雅号の入力について

屋号又は雅号とは、個人事業者の方が使用する商業上の名のことです。

よって、個人事業者の方においては、商店名等を入力してください。

雅号とは、著述家、画家、書家、芸能関係者などが本名以外につける別名のことです。

引用:【確定申告書等作成コーナー】-屋号・雅号の入力について|国税庁

商号(しょうごう)との違い

商号(しょうごう)とは、法人における会社名のことです。個人事業主の屋号と異なり、法人登記の際に必ず登録しなければなりません。個人事業主は商号を登録できず屋号を登録することになりますが、法人成りの際に屋号をそのまま商号にすることはできます。

商号はそのまま会社名であるため、「株式会社〇〇」「〇〇銀行」「〇〇商会」など、企業や店舗の看板として掲げる名前を登録することになります。

雅号(がごう)との違い

雅号(がごう)とはペンネームのことです。小説家やライター、画家、芸能関係などの仕事をしている個人が使います。

プライベートで使っていたペンネームをそのまま雅号にしたり、自分にとって特別な意味のある言葉を使った雅号を登録したりすることで、仕事に対するモチベーションが上がるでしょう。YouTuberやインフルエンサーなどの芸能関係の仕事なら、雅号を使うことでプライバシーを守れるでしょう。

なお、屋号や雅号は個人事業主の開業届や確定申告で登録しますが、これらは「屋号」欄にひとまとめで記入します。税務署への登録上はどちらも屋号として扱われるため、取引先に対して使う屋号を設定し、これとは別に一般公開用にペンネームを使うこともできます。

 

個人事業主に屋号(やごう)は必要なの?

個人事業主の屋号登録は必須ではありません。屋号を登録せず、本名や(雅号登録していない)ペンネームで活動する事業者もいます。

しかし、事業を有利に進めたいなら屋号や雅号は登録した方がいいでしょう。これらを登録した方が社会的な信用が得やすくなります。事業用に屋号付きの口座を作れるようになったり、事業内容を伝えやすくなったり、屋号にはさまざまなメリットがあります。

 

屋号のネーミング例

屋号はどのようにつければいいのか、業界・業種ごとのネーミング例を紹介します。

実店舗の場合

実店舗の場合、店舗名をそのまま屋号にするのが一般的です。ただ、名前や業種の異なる複数店舗を運営する場合、店舗名とは別に屋号を考えた方がいいでしょう。

たとえばラーメン屋と丼物屋を運営するなら、ラーメンや丼などのワードは使わず、「〇〇フード」「〇〇商店」のような屋号がおすすめです。

具体的には次のような屋号が考えられます。

  • 〇〇屋

  • 〇〇商店

  • 〇〇ラーメン

  • カフェ〇〇

  • 〇〇サロン

  • 〇〇工房

  • 〇〇フード など

士業など事務所の場合

税理士や弁護士などの士業・事務所の場合、事務所名をそのまま屋号にするのが一般的です。具体的には次のような屋号が考えられます。

  • 〇〇事務所

  • 〇〇弁護士事務所

  • 〇〇税理士事務所

  • 〇〇探偵事務所

  • 〇〇制作 など

「〇〇事務所」と名前+事務所と付けるよりも、「〇〇弁護士事務所」「〇〇制作」などのように、何の事務所なのか伝わりやすい屋号を付けるといいでしょう。

オンラインサービスの場合

オンラインサロンやコンテンツ配信、ネットショップなどのオンラインサービスの場合、そのサービスの名前をそのまま屋号にするのが一般的です。

ただし、複数の事業やサービスを運営する場合、屋号がどれか1つのサービス名だとわかりづらくなります。新事業を起こすことになったら、展開する事業・サービスを統括するような屋号を登録しなおすといいでしょう。

具体的には次のような屋号が考えられます。

  • 〇〇サロン

  • 〇〇スクール

  • 〇〇雑貨店

  • 〇〇古書店

  • 〇〇サービス

  • 〇〇商店 など

フリーランスの場合

フリーランスの場合、屋号を登録せずに本名で活動したり、ペンネームを屋号にしたりするのが一般的です。本名を屋号として登録することもできます。本名を屋号として登録した後に結婚し苗字が変わった場合、旧姓の屋号をそのまま使い続ける人もいます。

事業の内容を表す屋号を付けるのもいいでしょう。

具体的には次のような屋号が考えられます。

  • 山田太郎(本名を屋号にする)

  • 西尾維新(実在の小説家)

  • 〇〇ライティング(ライターの場合)

  • 〇〇開発(エンジニアの場合)

  • 〇〇デザイン(デザイナーの場合)

凝ったペンネームを屋号にするのもいいでしょう。たとえば小説家の西尾維新さんはローマ字で書くと「NISIOISIN」、上から読んでも下から読んでも「にしおいしん」となります。

「〇〇ライティング」や「〇〇デザイン」などのように業種を屋号にする際は、少し注意が必要です。ライターが自分の書いた記事に載せる簡単な画像を作っているうちにデザインスキルが上がり、デザイナーとしても仕事を請け負うようなこともあります。

このような業種特化の屋号は仕事の幅を狭めてしまうかもしれません。屋号は後から変更できますが、手間がかかります。「〇〇制作」「〇〇マーケティング」のような、他業種でも使いやすい屋号がおすすめです。

 

屋号を付けるメリット

屋号は商号と異なり、登録する義務も、登録しなかったことによる罰則もありません。屋号がなかなか決まらず、登録を後回しにしたり、登録自体をしなかったりする人もいるでしょう。

しかし、屋号があると事業を有利に進めやすくなります。屋号を付けるメリットを4つ紹介するので、これらの効果が得やすそうな屋号を考えてみましょう。

事業内容を伝えやすくなる

屋号を付ける1つ目のメリットは「事業内容を伝えやすくなる」ことです。たとえば飲食店を運営しているなら「〇〇フード」「〇〇本舗」のような屋号を付けると、飲食系・店舗系の事業だと伝えやすくなります。

屋号で銀行口座を作れる

屋号を付ける2つ目のメリットは「屋号で銀行口座を作れる」ことです。屋号を登録すれば、その屋号の付いた銀行口座を開設できます。プライベートと事業で口座を分けることで、お金を管理しやすくなるでしょう。

ネットショップやオンラインサービスなど、不特定多数のお客さまから振込・振替がある事業では、屋号付きの銀行口座を作るメリットはより大きいです。振込先が個人名の口座ではお客さまが不安を感じてしまうかもしれません。

公私の境目が明確になる

屋号を付ける3つ目のメリットは「公私の境目が明確になる」ことです。先述のとおり、屋号付きの口座を作りプライベートの口座と分けることでお金を管理しやすくなります。運転資金と生活資金をきっちり分けることは、事業を安定させるためにも、家族の理解を得るためにも大切です。

請求書や領収書などの書類の整理もしやすくなります。経費に計上する支払いの請求書・領収書の宛名を屋号に統一すれば、どの書類が仕事関係なのかが一目でわかるでしょう。

モチベーションが上がる

屋号を付ける4つ目のメリットは「モチベーションが上がる」ことです。事業用の屋号を登録し、その屋号を使って活動することで、開業した実感がわくでしょう。屋号の入った名刺を見たり、屋号を名乗ったりするたびに、「自分はこのビジネスのオーナーなんだ」と感じてモチベーションが上がるかもしれません。

 

屋号を付ける前に確認・注意しておきたいこと

屋号は変更することもできますが、手間がかかるうえ、何度も屋号を変えていては取引先からの信用を損なうかもしれません。屋号を付ける前に確認・注意しておきたい5つのことを紹介するので、これらを念頭に置いて屋号を考えましょう。

屋号は付けなくてもいい

屋号を登録すれば事業を有利に進められることもありますが、付けなかったからといって特別不利になるというほどではありません。

実店舗やネットショップ、オンラインサービスなどの業種なら屋号を付けた方がいいですが、ライターやデザイナーのようなフリーランスなら付けなくても困ることはあまりないでしょう。

屋号は付けなくても構いません。後から登録することもできます。いい屋号がなかなか思い浮かばないなら、ひとまず屋号なしで開業するのもいいでしょう。

屋号の変更は確定申告時にできる

開業時に登録した屋号を変更したり、屋号なしで活動していた人が新たに屋号を登録したりする場合、確定申告時に手続きをします。手続きといっても、確定申告書の屋号欄に新しい屋号を記入するだけです。

ただし、簡単だからといって何度も屋号を変更するのはおすすめできません。屋号をコロコロ変えていては、取引先を不安にさせる可能性もあります。

屋号を変えたり新規登録したりすると手間がかかる

屋号を変えたり新規登録したりすると、名刺やWebサイト、SNSのプロフィールなども新しい屋号に書き換えなければなりません。

名刺印刷には費用がかかります。Webサイトのページが多かったり複数のSNSを運用したりしている場合、そのすべてを書き換えるのは大変です。見逃しや変更漏れも起こるかもしれません。

屋号はできるだけ早めに登録すること、後から変えることにならないようよく考えて決めることが大切です。

複数事業を運営している場合はイメージが偏らない屋号にする

複数事業を運営している場合、どれかひとつの事業にイメージが偏らないよう屋号を決めましょう。

たとえばラーメン屋と丼物屋を運営しているのに、屋号が「〇〇ラーメン」だったらどうでしょうか。フリーのエンジニアが経験を活かしてプログラミング関係の記事を書くライター業をはじめた場合、屋号が「〇〇開発」では、システム開発にイメージが偏ってしまいます。

事業拡大により屋号と事業のイメージが合わなくなってしまったら、多少の手間をかけてでも屋号を変えた方がいいでしょう。

屋号はそのまま商号にできる

個人事業主が法人登記する場合(いわゆる法人成り)、屋号をそのまま商号にすることもできます。ただ、屋号には記号を使うこともできますが、商号に記号は使えません。法人化を目指しているなら、商号としても使える屋号を考えましょう。

 

事業を有利にする屋号の付け方

わかりやすく覚えやすい屋号を付けることで、事業を有利に進めやすくなるでしょう。事業を有利に進める屋号を付ける5つのコツを紹介します。

事業内容がわかる屋号を付ける

一目で事業内容がわかる屋号を付けましょう。ラーメン屋なら「〇〇ラーメン」「〇〇家」のような屋号が、ネットショップなら「〇〇古書店」「〇〇雑貨店」のような主な商品を表す屋号がわかりやすいです。

フリーランスなら「〇〇開発」や「〇〇制作」のような屋号がわかりやすいでしょう。屋号は後から変更できるので、まずは「今の事業内容」を伝えやすい屋号を考えてみてください。

他社と被らない屋号にする

屋号は他社と被らないようにしましょう。屋号が被っているだけで罰則を受けることはありませんが、先にその屋号を使っていた相手から訴訟される恐れがあります。商標登録されている言葉と同じ、あるいは似ている言葉を屋号に入れると、権利侵害で訴えられる可能性もあります。

このようなリスクを別にしても、他社と同じ屋号はまぎらわしいです。インターネット検索で同じ屋号・似た屋号の会社HPが先に表示され、自社HPを見つけてもらいづらくなるかもしれません。

登録済みの商標は特許庁のWebページで調べられます。

>>商標を検索してみましょう | 経済産業省 特許庁

屋号は短くするか略しやすいものにする

屋号は一目で事業内容がわかること、覚えやすいことが重要です。屋号の文字数に制限はありませんが、なるべく短くするか略しやすくするか、取引先にとって覚えやすい屋号を考えましょう。

読みやすく発音しやすい屋号を付ける

わかりやすさや覚えやすさを考えるうえで、文字で見たときの読みやすさ、発音しやすさも大切です。次のようなことを意識して、親しみやすい屋号を考えましょう。

  • 読みにくい漢字を使わない

  • 読み間違いしにくい漢字を使う

  • 漢字よりもひらがな・カタカナを多めにする

  • 音声でも聞き取りやすい

  • 口に出したときの語呂がいい

屋号でドメインを取得できるか確認する

スマートフォンとインターネットが普及した現代において、事業用のWebサイトは重要です。店舗HP・企業HPがある方が信用を得やすく、HP上でコンテンツやブログ記事を配信すればお店やサービスのファンも増やしやすくなります。

Webサイトの開設を前提に、屋号でドメインを取得できるか確認しておきましょう。ドメインとはインターネット上の住所のことで、「https://〇〇〇〇.com」の「〇〇〇〇」の部分です。

本メディア「U-NOTE」なら、「https://u-note.me/」の「u-note.me」がドメインです。ドメインとメディア名が同じなので、わかりやすく覚えやすいでしょう。

ドメインは早い者勝ちです。本メディアがすでに「u-note.me」のドメインを取得しているため、他メディアは「u-note.me」のドメインを取得できません。

ただし、「.me」の部分を「.jp」「.com」などに変えれば、すでに取得されているドメインと同じドメインを取得できます。「.jp」「.com」にはそれぞれ意味があるので、次の表を参考にどれを使うか、屋号でドメインを取得できるか確認してみましょう。

ドメイン

用途・意味

.com

事業向け

.net

ネットワークサービス向け

.biz

ビジネス・企業向け

.info

情報発信向け

.org

非営利団体向け

.blog

ブログ向け

.site

Webサイト全般向け

.app

アプリやゲーム向け

.jp

日本のWebサイトであることを示す

ドメインが取得できるかどうかは「お名前.com」などのドメイン取得サービスで調べられます。下記Webページ上部にある検索欄に取得したいドメイン(.jpや.comなどは入れない)を入力し、検索してみましょう。

>>空きドメインを検索|ドメイン取るならお名前.com

 

法律で禁止された屋号

屋号は個人事業主のものであるため、法人と誤認させるようなものではいけません。具体的には「会社」「法人」「銀行」などの言葉を屋号に入れてはいけません。不正な目的で他社と誤認されやすい屋号を付けることも法律で禁止されています。

会社法第七条では次のように定められています。

(会社と誤認させる名称等の使用の禁止)

第七条 会社でない者は、その名称又は商号中に、会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。

第八条 何人も、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。

2 前項の規定に違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある会社は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

出典:会社法 | e-Gov法令検索

 

わかりやすさとカバー範囲を重視して屋号を付けよう

本記事のまとめ
  • 屋号は開業時によく考えて付けよう
  • 屋号は事業内容が伝わりやすく、覚えやすいものを
  • 他社と被る屋号は避けよう

屋号は登録しなくても構いませんが、できれば開業時に、事業内容に合う屋号を付けることがおすすめです。屋号があれば屋号付きの銀行口座を開設でき、信用も得やすいです。屋号を持つことでビジネスオーナーになった実感がわき、事業に対するモチベーションも上がるでしょう。

屋号は一目見て事業内容がわかる、短くて覚えやすいものがおすすめです。他社と被る屋号はまぎらわしいだけでなく、訴訟の恐れもあるので避けるべきです。

特に、「知名度の高い他社と自社を誤認させ、集客しよう」のような不正な目的で屋号・商号をつけることは法律で禁止されています。屋号が他社と被っていないか、商標登録されていないか確認することをおすすめします。

本記事を参考に、ご自身にぴったりの屋号を検討してみてはいかがでしょうか。

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