スキルシートは主にエンジニアが自らの力量を示すために作る書類です。転職活動はもちろん、フリーランスの営業活動でも使われています。
本記事ではスキルシートとは何か、職務経歴書や履歴書、ポートフォリオとの違いと併せて解説。スキルシートの書き方や作成時の注意点も、テンプレート付きで紹介します。
- スキルシートの概要と、似た書類との違い
- スキルシートのテンプレートと、各項目に書くべきこと
- 採用につながるスキルシートの書き方
エンジニアが作る「スキルシート」とは
スキルシートとは、主にエンジニアが自らのスキルや実務経験などを示すために使う書類のことです。扱える言語やツール、保有資格などをスキルシートにすべてまとめ、エンジニアとして何ができるのかを具体的に示します。転職活動はもちろん、フリーランスの営業活動にも使われている書類です。
履歴書や職務経歴書との違い
履歴書や職務経歴書はどんな業界・職種でも広く使われる書類です。その一方、スキルシートはIT業界・エンジニア系の職種に特化した書類として知られています。履歴書や職務経歴書よりもスキルや経験について詳しく書けるのが特徴です。
ポートフォリオとの違い
ポートフォリオはエンジニアやデザイナー、ライター、動画編集者などのクリエイター職の「作品集」のことです。自分の制作物や携わったプロジェクトなどを作品集としてまとめ、自らの力量を示します。
スキルシートは保有資格やスキルを一目で把握してもらうために、ポートフォリオはプロジェクトや制作物を軸にクリエイターとしてのスキルやスタイルをよりわかりやすく示すために役立ちます。
スキルシートのテンプレート
下記はスキルシートに記載すべき項目をテンプレートとしてまとめたものです。次の章で紹介する「スキルシートに書くべき項目」を参考にしながら、各項目を埋めていきましょう。
- 【基本情報】氏名 / 連絡先
- 【職務の略歴】
- 【実務経験 / プロジェクト】期間 / 規模 / 業務内容 / 役割・担当工程 / 開発言語・環境
- 【保有資格・保有技術】
- 【開発以外のスキル】
- 【自己PR】
スキルシートに書くべき項目
次に、スキルシートに書くべき項目と、それぞれ何をどのようにまとめればいいかを紹介します。これを参考にしながら、先述のテンプレートを埋めていきましょう。
基本情報
スキルシートの冒頭に氏名や連絡先などの基本的な個人情報をまとめておきましょう。履歴書の氏名・連絡先欄と同じように、必要に応じてフリガナを入れながら書きます。連絡先は電話とメールの両方があるといいでしょう。
どのような職歴があるのかを示すために、職務の略歴を記載するのもおすすめです。
実務経験
どのようなプロジェクトにどのように関わったのか、実務経験を示すのがスキルシートのメインです。
業務の内容、規模、担当した工程や役割、プロジェクトの開始から終了までの期間(2020年3月~2020年6月のように)などを表形式でまとめると見やすいです。期間を記載するときには西暦で書くとわかりやすいです。
保有資格
エンジニアとしての保有資格を箇条書きでまとめます。言語やツールに関する資格はもちろん、マネジメントやデザインなどの「業務に役立つ資格」があればここにまとめます。
開発環境
扱える言語やデータベース、OSなど、開発環境に関する情報をまとめて記載します。設計やテスト、要件定義などの担当したことがある工程も併せて書いておくといいでしょう。
開発以外のスキル
マネジメントやディレクション、コミュニケーションに関するものなどのスキルを書きましょう。これらのスキルは上流工程に応募するときほど重要になってきます。
自己PR
エンジニアとしてのキャリアプランや勉強中の言語、チームでどのように活躍していきたいかなど、ここまで紹介してきた項目に書けなかったことを書きましょう。
「この人と一緒に働きたい」と思ってもらうために、仕事に対する理念や得意なことなどをポジティブにまとめます。「単純作業の自動化や効率化が得意」「欠員が出たときの巻き取りに備え、体調管理と前倒し進行を意識している」などの小さなことでも構いません。自分がチームでどんな役割を果たせるのかを示すことが大切です。
採用につながるスキルシートの書き方8つのポイント
次に、採用につながるスキルシートを書く8つのポイントを紹介します。
- ポイント1.A4用紙3枚ほどにまとめる
- ポイント2.新しいプロジェクトから順に書く
- ポイント3.すべてのスキルや経験を書く
- ポイント4.箇条書きや表を使い見やすく作る
- ポイント5.数値を使い具体的に書く
- ポイント6.略語や専門用語は使わない
- ポイント7.公開できる実績にはURLをつける
- ポイント8.マネジメントのスキルや経験もアピールする
ポイント1.A4用紙3枚ほどにまとめる
スキルシートは多くてもA4用紙3枚ほどにまとめましょう。スキルや実務経験など、自分にできることをすべて伝えるのは大切ですが、情報量が多すぎては読み飛ばされてしまうかもしれません。どうしても枚数が多くなりそうなら、その案件で役立つスキルや経験のみをまとめてもいいでしょう。
ポイント2.新しいプロジェクトから順に書く
携わったプロジェクトや実務経験などは、新しいものから古いものへと順番に書いていきましょう。エンジニアとしてのレベルやスキルセットは直近の実績から判断されやすいからです。経験が長くたくさんのプロジェクトに携わってきた場合、古い実績をごく簡単にまとめてしまうのもいいでしょう。
ポイント3.すべてのスキルや経験を書く
どんなスキルや経験が採用の決め手になるかわかりません。スキルシートには扱える言語やツール、保有資格、実務経験などをすべて書きましょう。一つひとつのスキルや経験について細かく書くのが難しくても、箇条書きを使えば書ききれるはずです。
ポイント4.箇条書きや表を使い見やすく作る
スキルシートは箇条書きや表を使って見やすく作りましょう。保有資格や扱える言語・ツールなどは箇条書きでまとめ、得意な言語や実務経験が多い工数について、後から詳しく補足するのもおすすめです。実務経験は担当した工程や業務、期間などを表形式でまとめます。
ポイント5.数値を使い具体的に書く
エンジニアとしての実力を客観的に示すために、数値を使って具体的に書くことを心がけましょう。たとえば「設計を担当したシステムで業務効率がxx%改善した」「サービスのUX改善を担当し、売上がxx%アップした」のように、何を担当してどのくらいの成果が出たのかを書きます。
ポイント6.略語や専門用語は使わない
採用担当者が非エンジニアということもあります。エンジニア以外にもスキルシートの内容が伝わるよう、略語や専門用語を使わず、わかりやすい書き方を心がけましょう。
特に略語はその企業やチームでしか使われていないこともあります。スキルシートに書いた単語が一般的に使われているものか、調べればすぐにわかるものか、一度確認しておくといいでしょう。
ポイント7.公開できる実績にはURLをつける
公開できる実績があればスキルシートに記載し、そのサービスやシステムの公式HPのURLを添付しておきましょう。URLがないと、採用担当者はサービスやシステムの名前で検索をしなければならず手間がかかります。同名のサービスやシステムがあった場合、間違われてしまうかもしれません。
ポイント8.マネジメントのスキルや経験もアピールする
マネージャーやディレクターなどの職種に応募するときはもちろん、そうでない場合もマネジメントのスキルや経験をスキルシートにまとめておきましょう。下流工程に応募するとしても、上流工程の仕事について知っていることは武器になります。
スキルシートを書くときの注意点
スキルシートは採用を決める大切な書類です。相手にとって見やすくわかりやすいこと、常に最新の情報であることが重要です。そのために心がけたい3つの注意点を紹介します。
- クライアントやサービスの名前を書くときは慎重に
- 提出前に誤字脱字や見やすさをチェックする
- スキルシートは定期的に更新する
クライアントやサービスの名前を書くときは慎重に
実績や経歴を示すために、スキルシートにクライアントやサービスの名前を記載したい人も多いでしょう。
しかし、秘密保持契約を締結していた場合、これらの記載が契約違反になることもあります。不安なときやどうしても経歴として開示したい場合、クライアントにスキルシートにこのように書いてもいいか確認しましょう。
提出前に誤字脱字や見やすさをチェックする
スキルシートを提出したり印刷したりする前に、誤字脱字がないか、第三者にとって見やすいかをもう一度確認しましょう。誤字脱字があると「注意力が足りない」「ミスが多い」とみなされてしまうかもしれません。スキルシートのレイアウトが悪かったり文字が詰まっていたりすると、アピールしたい実績やスキルが見逃されてしまうこともあります。
第三者に客観的に見てもらい、添削してもらうのもおすすめです。
スキルシートは定期的に更新する
新しく資格を取ったりプロジェクトに参画したりしたら、スキルシートにその内容を反映させましょう。スキルシートを常に更新し続けることで、今の自分の力量を知ってもらえます。書き忘れを防ぐためにも、記憶が鮮明なうちに記載するためにも、記載できることが増えるたびにスキルシートを更新しましょう。
未経験者はスキルシートではなく、ポートフォリオに力を入れよう
未経験者の場合、スキルシートは提出しなくても構いません。代わりに職務経歴書やポートフォリオなどにスキルや経験を書き、エンジニアとしてできることを示しましょう。ここでは実務経験がないというハンデを補うために、これまで勉強してきたことや仕事に対する姿勢などをアピールすることが大切です。
また、これらの書類に書ける実務経験をつくってしまうのもひとつの手です。
クラウドソーシングで案件を受注する
エンジニアやプログラマーとしての実務経験が全くないなら、簡単な案件でもいいので受注し、実務経験を積むのもおすすめです。未経験からエンジニア・プログラマーとして企業に就職するのは難しいかもしれませんが、クラウドソーシングでの案件受注ならできるかもしれません。
実務経験がひとつでもあれば、その後の転職活動や営業活動が一気に有利になるでしょう。単価はあまり気にせず、自分にできそうな案件には一通り応募してみることをおすすめします。
実務経験の機会が得られないなら、個人で開発してみよう
個人でシステムやサービスを開発してみるのもいいでしょう。個人開発は正確には実務経験とはいえないかもしれませんが、自分のスキルを示すことはできます。「すべての工程を自分で担当できる」「成果物を見せられる」というメリットもあります。
エンジニアとしてのレベルが一目でわかるスキルシートを作ろう
- スキルシートにはスキルや資格を端的にまとめる
- 箇条書きや表を使って見やすくまとめることが大切
- スキルシートは常に最新の状態に保とう
スキルシートはエンジニアとしてのスキルや経験、保有資格などをひとまとめにする書類です。転職活動やフリーランスの営業活動において重要な書類で、エンジニアとしての力量が一目で伝わるように作りましょう。
そのためにはスキルや資格を箇条書きにしたり、実務経験を「プロジェクトの名前や概要」「担当工程」「期間」などの項目で表にまとめたりするのがおすすめです。
採用確率を少しでも高めるために、スキルシートには自らのスキルを余さず書くこと、常に最新の状態に保つことを意識しましょう。本記事を参考に、スキルシートを作成してみてはいかがでしょうか。
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