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VOC分析とは?メリットと注意点、実施のコツ、データの収集・分析に役立つツールも紹介

U-NOTE編集部

2023/12/30(最終更新日:2023/12/30)


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VOC分析は顧客の声を集め、商品やサービスの改善につなげる分析方法です。商品・サービスの改善だけでなく、ブランディングや解約率の低減など、さまざまな目的に活用できます。

本記事ではVOC分析でできることや顧客の声の集め方、効果を高めるポイントをまとめて解説。データの収集・分析時の注意点も紹介します。

本記事の内容をざっくり説明
  • VOC分析の概要と、顧客の声を集める方法
  • VOC分析の5つの目的・メリット
  • VOC分析の効果を高めるポイント

 

VOC分析とは

VOC分析とは顧客の声を収集・分析し、それを商品やサービス、マーケティングなどの改善に活かすことです。VOCは「Voice of customer」の略で、日本語で「顧客の声」となります。

顧客の声を集めて分析することで、顧客のニーズに応えるピンポイントな改善策が見つかるでしょう。客観的な視点をもつことで、自社からは出てこないようなアイデアが見つかることもあります。

 

VOC分析で顧客の声を集める方法

VOC分析では顧客の声を偏りなく、なるべく多く集めることが重要です。そのための具体的な方法を3つ紹介します。

SNSやレビューサイト

顧客の声を集める最も簡単な方法は、SNSやレビューサイトでのエゴサーチでしょう。商品・サービスやブランド、自社に対して顧客がどう思っているのか、インターネットで顧客の声を集めます。

インターネットは匿名性が高いため、自社で行うアンケートやコンタクトセンターでは集められない「顧客の本音」を集められます。

アンケート調査

インターネットや街頭などでのアンケート調査により、顧客の声を集めます。最近は匿名で手軽に回答できるインターネットの回答フォームが浸透しました。企業にとってはコストを抑えてアンケートが実施でき、顧客にとってはスマホから気軽に回答できるメリットがあります。

アンケート調査では質問の内容・項目を自社で決められるため、顧客の抱えている不満やニーズ(もっとこうしてほしい)など、集めたい情報を効率よく集められるでしょう。

コンタクトセンター

顧客からの問い合わせ・相談・苦情などが集まるコンタクトセンターは、いわば「VOCの宝庫」です。顧客の「こういうときはどうしたらいい?」「ここをこうしてほしい」という問い合わせを見ていくことで、顧客の不満やニーズが見えてくるでしょう。

コンタクトセンターへの問い合わせ内容を集計することで、商品やサービスの改善点が見えてくるのはもちろん、対応品質向上のヒントも見つかります。

 

VOC分析を行うメリット・目的

VOC分析を行うことでどんな成果が得られるのか、集めたデータを何に活用すればいいのか、VOC分析の5つのメリット・目的を紹介します。

VOC分析を行うメリット・目的
  • 目的1.商品・サービスの改善
  • 目的2.対応品質の向上
  • 目的3.USPの確立
  • 目的4.LTVの向上
  • 目的5.ロイヤルカスタマーの育成

目的1.商品・サービスの改善

VOC分析を行う1つ目の目的は、商品・サービスを効果的に改善できることです。

顧客から選ばれ続けるためには、商品やサービスを改善し続けなければなりません。「ここが使いづらい」「もっとこうしてほしい」といった不満や要望を集めることで、顧客のニーズに合った改善ができるでしょう。

ただし、顧客の顕在化しているニーズだけを読み取ると、改善する点を見誤る可能性もあります。顧客の声から、潜在的なニーズを把握することに努めましょう。

目的2.対応品質の向上

VOC分析を行う2つ目の目的は、対応品質の向上です。

VOC分析で集められるのは商品・サービスへの不満や要望だけではありません。商品自体で差別化が難しくなっている現在では、良質な顧客対応の有無で、商品の購入につながることも多いもの。

たとえばコンタクトセンターへの意見を集めることで、「電話がなかなか繋がらないという意見が多いから、電話自動応答システムやチャットボットを導入しよう」「問い合わせから対応完了までの時間が短いスタッフや、顧客アンケートの結果がいいスタッフの対応を分析し、ほかのスタッフが再現できるようにしよう」といったように、対応品質の見直しに繋がります。

対応品質向上のためのVOCを集めるには、SNSでエゴサーチをしたり、問い合わせ終了後にNPSアンケートを送ったりすることが有効的です。

目的3.USPの確立

VOC分析を行う3つ目の目的は、USPの確立です。

USPは「Unique Selling Proposition」の略で、日本語にすると「自社やその商品・サービスならではの強み」です。たとえば「お、ねだん以上。」でおなじみの家具メーカー・ニトリには、「安くて高品質」というUSPがあります。

「なぜ自社を選んだのか」「購入や申し込みの決め手は何か」といったVOCを集めることで、競合他社と比べた自社の強みが見えてきます。顧客が感じている自社の強みを知り、それを軸に商品やサービスを改善することで、効果的なブランディングに繋がります。

目的4.LTVの向上

VOC分析を行う4つ目の目的は、LTVの向上です。

LTVは「Life Time Value」の略で、日本語にすると「顧客生涯価値」です。顧客が自社との取引をはじめてから終えるまでの間にもたらす利益の総称を指します。「客単価×粗利率×購入回数×継続年数」で計算できます。

顧客が自社の商品を買わなくなったりサブスクリプションを解約したりしたのはなぜなのかを知り、改善することで、先述の計算式の「継続年数」や「購入回数」を高められます。

目的5.ロイヤルカスタマーの育成

VOC分析を行う5つ目の目的は、ロイヤルカスタマーの育成です。

ロイヤルカスタマーは「自社のファン」のようなもので、自社や商品・サービスを信頼し、ポジティブなアクションを起こしてくれる顧客のことです。商品やサービスを継続して購入・利用してくれるだけでなく、知人に紹介したり、ポジティブな口コミを広めてくれたりします。

VOC分析により商品・サービスやコンタクトセンターの対応品質などを改善していくことで、ロイヤルカスタマーを増やしていけるでしょう。VOC分析を通してUSPを確立すれば、自社と相性のいい「将来のロイヤルカスタマー」も集めやすくなります。

 

VOC分析を行うときの課題・注意点

VOC分析を行うことで、商品・サービスの改善やブランディングを効率的に進められるでしょう。しかし、VOC分析の課題や注意点を知らないとなかなか効果が得られないばかりか、逆効果になってしまうこともありえます。

本VOC分析を行うときの課題・注意点
  • 顧客の声を鵜呑みにしない
  • 調査チャネルが1つ、もしくは偏っている
  • 分析結果を具体的な施策に活かせない

顧客の声を鵜呑みにしない

VOC分析で集めた顧客の声を、鵜呑みにするのは危険です。特に、アンケート調査で集めたVOCは慎重に分析しなければなりません。顧客には、顧客自身も気づいていない本音(顧客インサイト / 潜在的なニーズ)があるからです。

たとえばファストフード大手のマクドナルドは、新メニューを開発するためにアンケート調査を行いました。アンケートには「健康的なメニューがほしい」「サラダメニューがほしい」という意見が多く集まり、マクドナルドは新メニュー・サラダマックを発売しましたが、期待された売れ行きにはなりませんでした。

当時は空前の健康ブームでもあり、ヘルシーメニューは一見人気になりそうです。しかし、ヘルシーさを求めている人はマクドナルドではなく、別の飲食店を利用することが多いもの。顧客は心の底で、マクドナルドに「ジャンクさ」を求めているはずです。

顧客の声を参考にするのは大切ですが、その奥にある本音、自社への潜在的なニーズを考えることも忘れてはいけません。

調査チャネルが1つ、もしくは偏っている

VOCを集めるチャネルが1つ、もしくは「SNSからのデータが極端に多い」のような偏りがあるのは良くありません。各チャネルにはそれぞれ次のような特徴があり、利用者層も異なります。チャネルに偏りがあると、特定の層の意見だけをもとに商品・サービス改善をすることになり、それ以外の層からの不満につながるかもしれません。

チャネル

特徴

SNS

匿名性が高いため顧客の本音を集めやすいが、ネガティブな投稿の方が拡散されやすい傾向にある。

 

意識的にポジティブな投稿を探す、ネガティブな投稿を鵜呑みにしないなどの工夫が必要。

レビューサイト

レビューはあくまで個人の主観であり、投稿時の気分で評価や口コミの内容が左右されることもある。

 

商品・サービスが気に入り応援の気持ちで高評価を付ける人、「配送が雑」など商品とは関係のない部分で低評価を付ける人もいる。

 

このような両極端なレビューもあることを念頭に置く。

アンケート調査

時間と手間をかけてアンケートに答えてくれるという時点で、自社を応援する気持ちがあると考えられる。

 

また、5段階評価や10段階評価では3や6などの中央値が選ばれやすく、定数的なデータがあまり参考にならないことも。

コンタクトセンター

コンタクトセンターは主に問い合わせやクレームなどの窓口であるため、集まるVOCもネガティブ寄り。

 

課題や改善点を見つけるのには適しているが、USPの確立にはあまり適さない。

分析結果を具体的な施策に活かせない

VOC分析に限らず、あらゆる分析手法は商品・サービスの改善や施策立案などのために行うものです。「商品改善」「USPの確立」などの目的を決めること、分析結果を具体的な改善策や施策に活かすことが大切です。

 

VOC分析の効果を高めるポイント

VOC分析でデータを集めたら、それに基づき改善案や施策を打ち出すことが大切です。VOC分析の精度を高め、より効果的な施策を打ち出すための4つのポイントを紹介します。

VOC分析の効果を高めるポイント
  • ポイント1.分析の目的を明確にする
  • ポイント2.分析前に仮説を立てる
  • ポイント3.ツールを活用する
  • ポイント4.分析と改善をくり返す

ポイント1.分析の目的を明確にする

まずは何のためにVOC分析をするのか、目的を明確にしましょう。目的を明確にすることで、どんなデータを集めるべきなのかが見えてきます。たとえば商品やサービスの改善が目的なら、次のようなデータが役立つでしょう。

  • コンタクトセンターではどんな問い合わせが多いのか

  • 解約を希望する顧客に解約理由を聞いてみる

  • 商品・サービスの内容や機能、操作性などに関するアンケート調査 など

ポイント2.分析前に仮説を立てる

分析をする前には、データ収集の前に仮説を立てることで、どんなデータを集めればいいのかが見えてきます。

たとえば解約率の改善が目的なら、まずは顧客がなぜ解約しているのかを考えてみましょう。解約理由が価格なのか品質なのか、ブランドイメージなのかなど、おおよその見当をつけることでデータ収集がしやすくなります。

ポイント3.ツールを活用する

ツールを活用することで、膨大なデータも収集・管理しやすくなります。たとえばWebでアンケート調査をするならフォーム作成ツールが、集めたデータを分析するならBI(ビジネスインテリジェンス)が役に立つでしょう。

ポイント4.分析と改善をくり返す

VOC分析は一度やったら終わり、ではありません。分析結果をもとに商品・サービスや施策を改善したら、その効果を測定しましょう。

ある程度の期間を置いて再びVOC分析をし、顧客の声がどのように変わったのかを確かめるのも効果的です。

 

VOC分析に役立つツール

VOC分析では膨大なデータを収集・管理・分析しなければなりません。これらを人力で行っていては、作業に時間がかかったり、データが偏ったりするでしょう。VOC分析の効率と精度を高めるために役立つツールを紹介します。

見える化エンジン

引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000133.000023180.html

見える化エンジンは12年連続で国内シェアNo.1を獲得したテキストマイニングツールです。アンケートやSNSなどから集めたテキストデータを分析し、頻出するワードを特定することで、顧客の抱えている不満や要望、イメージを洗い出します。

コンタクトセンターや街頭インタビューなどの音声データをテキスト化し、分析する機能も備えています。文字起こしや音声聞き取りにかかる時間を削減することで、分析業務に集中しやすい環境をつくれるでしょう。

ReviCo

引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000101.000007074.html

ReviCoはレビューの収集や分析などができるクラウドサービスです。ReviCoに登録しているWebサイトで商品を購入し、レビューを投稿することで、ユーザーはプレゼントを受け取れます。ユーザーに「レビューを投稿するメリット」を与えることで、VOCを効率よく集められるでしょう。

 

VOC分析はUSPの確立や解約抑止にも効果的

本記事のまとめ
  • VOC分析を行うことで、商品・サービスの改善点を効率よく探せる
  • VOC分析はUSPの確立やUGCの増加にもつながる
  • VOC分析の目的を定め、そのために必要なデータを集めることが大切

顧客の声を集め、商品やサービスの改善につなげるVOC分析を活用することで、顧客のニーズにピンポイントで応える改善が見込めます。また、「自社が顧客に選ばれる理由」や「顧客の解約理由」を探すこともできます。これらのデータはUSPの確立や解約抑止に役立つでしょう。

VOC分析では目的を明確にし、そのために必要なデータを集めることが大切です。商品改善が目的なら顧客の不満を、サービスの新プランを作ることが目的なら顧客の要望をというように、どんなデータを集めるべきか考えてみましょう。

本記事を参考に、VOC分析に挑戦してみてはいかがでしょうか。

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