HOMEビジネス SWOT分析とは?メリット・デメリットや適したケース、具体的な分析方法を解説

SWOT分析とは?メリット・デメリットや適したケース、具体的な分析方法を解説

U-NOTE編集部

2023/12/29(最終更新日:2023/12/29)


このエントリーをはてなブックマークに追加

SWOT分析は自社の「強み」と「弱み」、自社を取り巻く「機会」と「脅威」として洗い出し、自社の現状を把握する手法です。

本記事ではSWOT分析で洗い出す4つの要素とは何か、それぞれどのように見つければいいのかを解説。SWOT分析の効果を高める3つのコツと、より深い分析や戦略立案に役立つフレームワークも紹介します。

本記事の内容をざっくり説明
  • SWOT分析とは何か、分析する4つの要素を紹介
  • SWOT分析のメリット・デメリットと適したケース
  • SWOT分析の効果を高めるコツと、併用したい5つの手法

 

SWOT分析とは?

SWOT分析とは、自社を取り巻く環境を内部環境・外部環境・プラス要因・マイナス要因に分けて洗い出し、分析するフレームワークです。SWOTはそれぞれ次の4つの頭文字をまとめたものです。

SWOT分析
  • Strength(強み):内部環境・プラス要因
  • Weakness(弱み):内部環境・マイナス要因
  • Opportunity(機会):外部環境・プラス要因
  • Threat(脅威):外部環境・マイナス要因

 

SWOT分析のメリット

SWOT分析はビジネスにおいて自社を取り巻く環境を「内部」「外部」に分類したうえで、さらに「強み」「弱み」に細分化する分析手法です。自社のポジションや置かれた状況、アセットを詳しく把握できるメリットがあります。

また、既存事業においてはこれらの4要素を分析することで改善点を、新規事業においては活かせるアセットだけでなく将来的なリスクも見つけやすいでしょう。

 

SWOT分析のデメリット

SWOT分析のデメリットとして、「内部・外部・強み・弱み」という分類に当てはめづらい要因もある、ということが挙げられます。

たとえば「自社と好条件で取引をしてくれるサプライヤー」「リソースの大部分を自社に割いてくれる外部パートナー」などは、社外という意味では外部環境ですが、内部環境に近い部分もあります。「強み」「弱み」の分類も、視点を変えれば強みと弱みが入れ替わることはあるでしょう。

このように、分類のやり方は状況や考え方、分析をする人次第で変わることがあります。しかし、SWOT分析ではこのような要因も、すべて4つのどれかに分類しなければなりません。これを踏まえ、「この分類が絶対である」と考えないようにすることが大切です。

 

SWOT分析が適したケース

SWOT分析は現状把握に適した手法です。自社の内部・外部の環境を洗い出し、それを自社にとってプラスかマイナスかで分けます。ほかの分析手法に比べてマクロ視点での分析ができるため、まずはSWOT分析を行ってから、ほかの手法を使ってより詳細な分析をするといいでしょう。

ただ、SWOT分析でできるのは「現状把握」までです。詳しくは後述しますが、SWOT分析で自社を取り巻く要素を洗い出したら、「クロス分析」で具体的な戦略を考えましょう。

内部環境の洗い出し・分析に強い「VRIO分析」、外部環境の洗い出しに強い「PEST分析」などを併せて行い、より深い分析をすることもできます。

 

SWOT分析における、内部環境の見つけ方

SWOT分析では、まずは強みと弱みの内部環境を洗い出します。経営にプラス・マイナスどちらの影響を与えるのかを軸に、自社にある要素を強みと弱みに分けていきましょう。

内部環境の具体例としては、次のような要素が挙げられます。

  • 人材の数と能力

  • 商品・サービスの長所・短所

  • ノウハウやナレッジ

  • 店舗や拠点などの立地

  • 消費者からの認知度

  • ブランドイメージ など

Strength(強み)

Strength(強み)を探すときは、主観的・絶対的な視点ではなく、客観的・相対的な視点を心がけるといいでしょう。

具体的には、「競合と差別化できているのはどこか」「自社の商品やサービスは消費者にどう受け止められているのか、なぜ受け入れられているのか、どんな層が顧客なのか」などを軸に考えます。

Weakness(弱み)

Strength(強み)と同じように、Weakness(弱み)も競合との比較や市場でのポジションから考えるといいでしょう。

弱みの分析では、「競合に勝てない点、競合にはあるが自社にはない点はなにか」「自社の商品やサービスは類似品の中で価格・品質的にどうなのか」「自社がアプローチできていないのはどんな層か」などを軸に考えます。

 

SWOT分析における、外部環境の見つけ方

内部環境と同じように、次のような外部環境を洗い出し、プラスとマイナスに分けていきましょう。外部環境には、主に社会的な要因とその業界特有の要因があります。

  • 法律

  • 政治

  • 市場の規模や将来性

  • 経済や社会の状況・動向

  • 市場・ターゲット層のトレンド

  • 競合の企業や商品・サービス など

Opportunity(機会)

Opportunity(機会)は内部環境でいう「強み」にあたります。先述の要素のなかで、自社の経営やマーケティングにとってプラスとなるものを「機会」に振り分けていきましょう。

具体的には「自店の近くに競合店がない、少ない」「競合よりも早く市場に参入している、ポジションを確立している」「規模や仕入れルート的に価格競争で有利」などが挙げられます。

Threat(脅威)

Threat(脅威)は内部環境でいう「弱み」にあたります。社会的・業界的な要素のなかで、自社の経営やマーケティングにとってマイナスとなるものを「脅威」に振り分けていきましょう。

具体的には「自店の近くにライバル店ができた」「ノウハウや規模などで自社よりも有利な企業が市場に参入してきた」「業界内で破壊的イノベーションが起きた」などが挙げられます。

 

効果的なSWOT分析を行うための3つのコツ

SWOT分析を効果的に行うためのコツを3つ紹介します。これらのコツはSWOT分析だけでなく、ほかの分析手法でも大切なことです。

分析の目的を明確にする

まずは何のためにSWOT分析をするのか、分析の目的を明確にしましょう。自社を取り巻く要素を洗い出すSWOT分析は「現状把握」に長けた手法ですが、それだけでは意味がありません。「市場における自社のポジションを確立する」「今までアプローチできていなかった層を取り込む」など、何のために分析をするのかを決めておくことで、意味のある分析ができるようになります。

分析の対象を明確にする

SWOT分析では自社を取り巻く要素を4つに分類しますが、各要素を混同したり誤って分類したりしないように気をつけましょう。特にStrength(強み)とOpportunity(機会)は混同しやすいので、その要素が社内外のどちらにあるのかを慎重に見極めなければなりません。

異なる職種・視野のメンバーを集め、議論する

SWOT分析では客観的・相対的な視点が大切ですが、分析を行うのが人間である以上、ある程度の主観が入ることは避けられません。たとえば営業職と企画職では、どんな企業を競合として挙げるかに違いがあるはずです。

客観的な視点を確保するために、なるべく多くの職種のメンバー、さまざまな視野を持つメンバーを集め議論しましょう。

 

SWOT分析とよく併用される分析手法・フレームワーク

SWOT分析はあくまで「現状把握」のための手法であり、それだけでは十分な分析はできません。SWOT分析とよく併用される分析手法・フレームワークを紹介するので、自社の目的達成につながる手法を探してみましょう。

クロス分析

SWOT分析で現状を把握した後は、クロス分析を用いて戦略を立てましょう。SWOT分析で洗い出した4つの要素を掛け合わせることで、強みや機会を活かしたり、弱みの補強や脅威へのリスクヘッジをしたりします。

強み×機会

機会を活かすために自社のどんな強みが使えるか、どうすればより成長できるか考える

弱み×機会

機会を逃さないために自社のどんな弱みを補強すればいいのか、どうすれば機会を活かせるのかを考える

強み×脅威

脅威による影響を避けたり小さくしたり、脅威を機会として活かしたりできないか、自社の強みをベースに考える

弱み×脅威

脅威に対するリスクヘッジのために自社の弱みを理解したり、リスクやダメージを抑えるために何ができるか考えたりする

PEST分析

PEST分析は外部環境を洗い出すことに強みのあるフレームワークです。PESTはそれぞれ次の4つの頭文字で、これらの要因が自社にどんな影響を与えるのかを考えます。

  • Political(政治的)

  • Economic(経済的)

  • Social(社会的)

  • Tchnological(技術)

PEST分析では具体的にどんな要素を分析すればいいのか知りたい方は、こちらの記事もぜひお読みください。

関連記事:PEST分析を用いて経営戦略を立案するときのポイント

3C分析

3C分析は「C」が頭文字の次の3つの要素から、自社を取り巻く環境を分析するためのフレームワークです。自社の置かれた状況や活かせるアセットを把握し、競争に勝つために何が重要なのかを分析します。

  • Customer(顧客)

  • Competitor(競合)

  • Company(自社)

3C分析の各要素はどうやって洗い出せばいいのか、3C分析をどのように活用すればいいのか知りたい方には、こちらの記事がおすすめです。3C分析の具体的な進め方を、実例を元に解説しています。

関連記事:『下町ロケット』佃の牙城が崩壊!? フレームワーク思考“3C分析”による競争優位の築き方

5フォース分析

5フォース分析は自社にとっての脅威や、自社を取り巻く競争状況を分析するフレームワークです。競争状況を次の5つの要素に分け、競争戦略の軸を立てます。

  • 新規参入の脅威

  • 競争企業との敵対関係

  • 代替品の脅威

  • 買い手の脅威

  • 配給業者の脅威

これらはそれぞれ何を意味しているのか、5フォース分析を使ってどのように競争戦略を立てればいいのかは、こちらの記事で解説しています。

関連記事:経営戦略における「競争戦略」の立て方【5フォースの手法から見えるもの】

VRIO分析

VRIO分析は自社のアセットを客観的に評価するフレームワークです。内部環境と外部環境というマクロ視点の手法であるSWOT分析に比べ、自社のアセットに特化した分析・現状把握ができます。

  • Value(経済的な価値)

  • Rareness(希少性)

  • Imitability(模倣可能性)

  • Organization(組織)

これらの要素の詳細やVRIO分析とSWOT分析の違い、具体的な分析の進め方などは、こちらの記事で解説しています。

関連記事:VRIO分析とは?4つの要素を分析するフレームワークのやり方や、事例を紹介

 

SWOT分析では目的を明確にし、各要素を混同しないように気をつけよう

本記事のまとめ
  • SWOT分析はマクロ視点での現状把握に強い手法
  • 4つの要因を客観的に振り分けることが大切
  • SWOT分析はほかの手法と組み合わせよう

SWOT分析は自社を取り巻くさまざまな要因を洗い出し、自社内部にある「強み」と「弱み」、自社の外部にある「機会」と「脅威」に振り分ける分析手法です。社内外のさまざまな要素をマクロ視点で洗い出せるため、自社の現状を把握したいときに役立ちます。

ただ、現状把握だけをしても意味はありません。SWOT分析の後はクロス分析をはじめとする手法を用い、具体的な戦略を立てましょう。PEST分析やVRIO分析などを併せて行い、より深い分析をするのも有効です。

本記事を参考に、自社の状況にあった分析を行ってみてください。

【関連記事】


hatenaはてブ