自社のブランディングや自社商品の認知獲得に便利な「SNSマーケティング」。手軽に開始でき、低コストで運用できることから多くの企業がSNSマーケティングを実施しています。気軽に始められる一方で、成果を出すには戦略が必要です。
本記事ではそんな「SNSマーケティング」について解説。SNSマーケティング戦略を立てる5つのポイントや参考となる成功事例もご紹介しています。これから自社でSNSマーケティングを取り入れようと考えている企業の方は、本記事で基本や注意点を理解しておきましょう。
- 企業がSNSマーケティングを取り入れている背景について説明
- SNSマーケティングで得られるメリットとは?
- 各種SNSの特徴を理解しよう
SNSマーケティングとは
SNSマーケティングとは、SNSを活用したマーケティング活動の総称です。コンテンツマーケティングで利用されるトリプルメディアのひとつ「アーンドメディア」に該当します。
SNSマーケティングは、SNSを通して一般生活者に情報を届け、適宜コミュニケーションを取ることで信頼関係を構築します。ブランドや商品の認知を拡大し、共感や理解を促すことでファンを獲得したり、購入に繋げたりする効果が期待できます。
SNSマーケティングの重要性が高まっている背景
SNSマーケティングの重要性が高まっている背景には、SNSによる情報収集が一般的になったことがあげられます。一般消費者が新たな商品やサービスに触れる重要なタッチポイントとなっているため、企業がブランドの認知度向上やブランディングを行う際にSNSマーケティングが注目されているのです。
「令和4年通信利用動向調査」によれば、20〜59歳のうち約9割がスマホを所有しており、そのうち約8割がSNSを利用していることがわかっています。
情報収集目的でSNSを利用し、そこで見つけた口コミを参考に店舗に足を運んだり、商品を購入したりしている一般消費者が増えています。SNSは一般消費者の購買意欲や購買行動に大きな影響を与えるため、マーケティング戦略を立てる際にSNSマーケティングを重要視している企業が増えているのです。
参考:アジャイルメディア・ネットワーク「[AMN調査リリース] SNSのクチコミが 生活者の購入・来店に与える影響を調査」
企業がSNSマーケティングを行う効果・メリット
企業がSNSマーケティングを行うと、どのような効果やメリットが得られるのでしょうか。5つのメリットについて解説します。
- メリット1.ブランド認知度が向上する
- メリット2.顧客との密なコミュニケーションによるブランディング効果・NPS・ロイヤリティの向上
- メリット3.効果検証がしやすい
- メリット4.顧客獲得単価を抑えやすい
- メリット5.オンライン上でサービスを展開している場合CVに直結する
メリット1.ブランド認知度が向上する
企業がSNSマーケティングを行う1つ目のメリットは、ブランド認知度が向上することです。
SNSは拡散力が高いプラットフォームです。自社のSNSアカウントで新商品や新サービスについて投稿し、それをフォロワーが拡散することで、フォロワー以外の人にまで情報が届きます。それによりブランドの認知度向上が期待できます。
インフルエンサーを活用したインフルエンサーマーケティングを行えば、よりブランドの知名度向上を加速させられます。新商品や新サービスなどを素早く広められるのはSNSマーケティングならではのメリットです。
メリット2.顧客との密なコミュニケーションによるブランディング効果・NPS・ロイヤリティの向上
企業がSNSマーケティングを行う2つ目のメリットは、顧客との密なコミュニケーションによるブランディング効果・NPS・ロイヤリティの向上です。
SNSは顧客との心理的距離が近く感じられ、まるで友人のように密なやりとりができます。通常、企業への問い合わせは心理的ハードルが高いうえ、どうしても企業対個人として意識してしまいます。SNS上であれば気軽にやりとりができ、それが親しみやすさや信頼を得ること、ひいては企業のブランディングにも繋がります。
さまざまな問い合わせに対して適切なやりとりを重ねることで、顧客ロイヤリティを示すNPSの数値やロイヤリティの向上も期待できます。
メリット3.効果検証がしやすい
企業がSNSマーケティングを行う3つ目のメリットは、効果検証がしやすいことです。
各種SNSは投稿の閲覧数やフォロワー増加数など、インサイトを分析できる機能が搭載されています。1つの投稿に対してだけでなく、アカウントそのものへの反応も数値で確認できるため効果検証がしやすいのがメリットです。
プラットフォーム内で無料でインサイトを確認できるため、費用を抑えたい企業にもぴったりです。
メリット4.顧客獲得単価を抑えやすい
企業がSNSマーケティングを行う4つ目のメリットは、顧客獲得単価を抑えやすいことです。
マーケティング活動にかかるコストを抑える場合にも、SNSマーケティングは便利に活用できます。Instagram・X(旧Twitter)・Youtube・TikTokなど、各種SNSは基本的に無料でアカウントを開設できるため、初期費用がかかりません。
SNS広告もテレビCMや新聞などの広告費用に比べると低価格で利用できます。上手にターゲティングできれば顧客獲得単価を最小限に抑えることが可能。低コストでファンを獲得できるのがSNSマーケティングを行うメリットのひとつです。
メリット5.オンライン上でサービスを展開している場合CVに直結する
企業がSNSマーケティングを行う5つ目のメリットは、オンライン上でサービスを展開している場合CVに直結することです。
オンライン上で購入できる商品やサービスを展開している企業であれば、SNSマーケティングはCVに直結する効果も期待できます。SNSプラットフォーム上から、直接購入ページに誘導することも可能です。
ただし、その場合はアカウント設計や信頼関係の構築が大切です。コミュニケーションをメインに運用していたのにいきなり宣伝のような投稿が頻発すると、フォロワーが身構えてしまいます。フォロー解除に繋がるリスクもあるので、どのようにCVに直結させるのか、戦略を練ってから行動に移す必要があります。
企業がSNSマーケティングを行うときの注意点
SNSマーケティングは戦略を練ったうえで運用すれば、企業ブランディングや商品・サービスの売上に繋がります。その一方で、注意するべきポイントもいくつかあります。3つの注意点を理解したうえでSNSマーケティングを行いましょう。
炎上のリスクがある
企業がSNSマーケティングを行う際にもっとも注意しなければならないのが炎上リスクです。過去に複数の企業でSNSをきっかけとした炎上が発生しています。特に、拡散性の高いX(旧Twitter)では炎上がすぐに広まってしまうため、注意が必要です。
炎上リスクを避けるには、運用ルールを定めるほか、部署内でのコンテンツのWチェックを徹底することが大切です。それに加えて、万が一炎上してしまった場合の対応方法についてもルールを決めておきましょう。
SNSでの炎上はいつ、何をきっかけに起こるかわからないものです。自社内での運用ルールや対応がしっかりしていれば、万が一炎上してしまっても冷静に対処できます。
各SNSにあったコンテンツの作成が必要
SNSマーケティングでは、各SNSの色にあったコンテンツを作成する必要があります。つい1つのコンテンツを転用してしまいがちですが、それでは効果を最大化することはできません。手間はかかりますが、各SNSの特徴を理解し、いいねが付いたりシェアされたりしやすいコンテンツを作成するように意識しましょう。
SNSマーケティングの担当者は多くの場合、他の業務を兼務しています。コンテンツの使い回しを防ぐには、コンテンツの作成カレンダーを用意し、早い段階から準備を進めるのがポイント。1人で全コンテンツを作るのは難易度が高いので、協力者を募り複数人でコンテンツ制作を進めましょう。
長期的な運用が必要
SNSマーケティングはすぐに効果が出るものではありません。コンテンツの設計から作成、投稿、効果検証までPDCAを回して少しずつ効果を高めていくのがSNSマーケティングの基本です。そのため長期的な運用が必要とされます。
SNSマーケティングは目的を設定することも大切です。なんとなく運用を始めて、闇雲に投稿するだけでは効果は出ません。何を目的に運用するのか明確にしたうえでアカウントを作成し、長期的なマーケティング戦略を策定してから運用を行いましょう。
SNSマーケティングで活用するSNSの特性
SNSマーケティングは各種SNSの特性を理解したうえで行うのが基本です。InstagramやX(旧Twitter)をはじめ、主要なSNSの特性をわかりやすく解説します。
Instagramは写真や動画をメインとしたSNSです。2022年の10〜12月の月間アクティブ利用者数は37億4,000万人を超えています。日本国内での月間アクティブ利用者数は2019年時点で3,300万人です。利用しているユーザーは10〜30代の男女がメインと言われています。
24時間で投稿が消えるストーリーズ機能や短尺動画のリール機能がローンチされるまではフィード投稿がメインでしたが、2023年時点ではストーリーズやリールを使うユーザーが増えています。特に、90秒の短尺動画を楽しめるリールは一般ユーザーからクリエイター、企業まで、多くのアカウントが利用しているメイン機能となっています。
参考:Meta 2022年第4四半期(10月-12月)業績ハイライト
参考:Instagramの国内月間アクティブアカウント数が3300万を突破
参考:INSTAGRAMリール
X(Twitter)
X(旧Twitter)は、テキストベースの投稿をメインとしたSNSです。2023年7月24日にTwitterから「X」にSNS名が改名され話題となりました。月間利用者数は4.5億人を超えています。日本国内における月間利用者数は明らかにされていません。ユーザーは20〜40代がメインと言われています。
X(旧Twitter)はリアルタイムに起きたことが投稿される傾向があります。いま話題になっていることがトレンドに上がるため、リアルタイムの情報を集めやすいのが特徴です。リツイートと呼ばれる投稿の拡散機能が搭載されているため、情報の拡散性が高いのもX(旧Twitter)の強みです。
YouTube
YouTubeは、動画をメインとしたSNSです。長尺から短尺までさまざまな動画を投稿でき、閲覧や共有をして楽しめます。世界で約25億人が利用しています。日本の月間ユーザー数は2022年時点で約7,000万人です。性別や年齢を問わず幅広いユーザーが利用しています。
Youtubeは長尺かつ横型の動画がメインのSNSとして立ち上げられましたが、YouTubeショートがローンチされた現在では、短尺かつ縦型の動画の視聴が増加しています。短尺動画を楽しみつつ、気になった動画は長尺で楽しむという使い方が主流となりつつあります。
参考:statista「2023 年 7 月時点で世界中で最も人気のあるソーシャル ネットワークを月間アクティブ ユーザー数でランキング」
参考:Google「YouTube をマーケティングのヒントに」
参考:Google「2023 年の YouTube 視聴はますます多様に」
TikTok
TikTokはショート動画をメインとしたSNSです。2017年に日本でリリースされてから利用者数が伸びており、2023年時点での日本の利用者数は約2,200万人です。リリース当初こそZ世代からの人気が高かったTikTokですが、現在は学生から社会人まで幅広く見られているプラットフォームとして成長しています。
TikTokは投稿しているユーザーよりも閲覧しているユーザーが多くいるのが特徴です。移動や仕事の合間に閲覧している方が多く、面白いコンテンツやお役立ちコンテンツが好まれる傾向にあります。
参考:statista「2023年7月時点 ティックトック(TikTok)の利用者数が最も多い国」
参考:TikTok「TikTok for Business デジタルメディアインサイトレポート」
Facebookは実名登録制のSNSです。2022年1月時点での世界での月間アクティブユーザー数は約29億人を超えており、SNSサービスのなかでももっともユーザー数が多いのが特徴です。日本での月間アクティブユーザー数は2019年時点で約2600万人に達しています。30代以降の年齢層が主なユーザーです。
実名登録制のため、自身のライフイベントを投稿したり、日記のような使い方をしたりするのが一般的。事業者向けに「Facebookページ」という機能が搭載されており、企業ページとして情報を発信したり、集客をしたりすることにも使えます。
参考:CNET Japan「フェイスブック ジャパン長谷川代表が語る「退任の真意」--独占ロングインタビュー」
LINE
LINEはチャットベースのコミュニケーションが可能なSNSです。日本国内の月間アクティブユーザー数は、2023年6月時点で9,500万人に達しています。男女比や女性がやや多いのが特徴。年齢は10〜60代まで、各年代による偏りはありません。
LINEは知り合いとの連絡ツールとして使われていることがほとんどです。各種SNSに比べてアクティブに使っているユーザーが多いのも特徴です。
参考:LINE キャンパス「LINEのユーザーはどんな人?」
LinkedInはビジネスに特化したSNSです。日本ではまだあまり知られていませんが世界的に見ると利用者は多く、「世界最大級のビジネスSNS」と呼ばれています。2023年5月時点で、世界の月間アクティブユーザー数は9億3000人を超えています。日本の月間アクティブユーザー数は300万人です。
LinkedInのユーザー層は学生から社会人まで幅広いのが特徴です。特にアメリカでは、高校生のうちからLinkedInのアカウントを開設し、企業の情報収集や就活に役立てられています。日本でも徐々にその使い方が広まりつつあります。
参考:ITmediaビジネスオンライン「世界9億人超が利用する「LinkedIn」とは? つながりの構築からリスキリングまで、日本法人新トップに効果的な活用方法を聞いた」
SNSマーケティングで使用される主な5つの手法
SNSマーケティングにはどのような手法があるのでしょうか。SNSマーケティングで使用される主な5つの手法を解説します。自社のSNSマーケティングの参考にしてみてください。
アカウント運用
アカウント運用は手軽に行えるSNSマーケティング手法のひとつです。最新情報や有益な情報を発信することでユーザーとの接点を増やし、ファンの獲得を目指します。ユーザーとの距離が近いため、コミュニケーションツールとして活用できるのもアカウント運用の特徴です。
ユーザーからの問い合わせに対してすぐに反応できるのもメリット。丁寧かつユーザーが求める対応を行うことで、顧客ロイヤリティが高まる効果も期待できます。
SNS広告
SNS広告は、各種SNSの広告機能を使って行います。テキストだけでなく画像や動画を使って商品やサービスをアピールできるので、新商品発売のタイミングやブランドの認知向上施策のひとつとして活用するのが一般的です。
SNS広告は、年齢・性別・仕事・趣味・興味関心など配信ターゲットを詳細に決められるのが特徴。商品・サービスのターゲット層に対して情報を届けられます。
SNS広告は低価格から活用できるので、予算が少ない場合にも便利に利用可能。期間も柔軟に設定できます。
インフルエンサーマーケティング
インフルエンサーマーケティングとは、SNSにおいて影響力を持つインフルエンサーを起用してターゲット層へ情報を届けるマーケティング手法のことです。口コミを参考に商品の購入を決定する層が多い昨今、多くの企業やブランドがインフルエンサーマーケティングを採用しています。
インフルエンサーマーケティングは、グルメや美容、旅行など特定ジャンルに特化したインフルエンサーに宣伝・PRを行ってもらうことで、商品やサービスを効果的に訴求できるのが大きなメリットです。単発でPRを依頼する方法のほか、長期的に自社製品をPRするアンバサダー契約などもあります。
関連記事:インフルエンサーマーケティングとは?基本情報から成功させる5つのポイントを解説
SNSキャンペーン
SNSキャンペーンはその名の通り、SNS上で行うキャンペーン施策のことです。特定のハッシュタグをつけて投稿を促すキャンペーンが一般的です。自社SNSアカウントのフォロワー獲得やキャンペーン情報の拡散、UGCの増加などへの効果が期待できます。
情報の拡散を狙うSNSキャンペーンであればX(旧Twitter)、UGC増加を狙うSNSキャンペーンであればInstagramなど、プラットフォームごとに期待できる効果が異なります。目的に合わせてプラットフォームを選ぶのがSNSキャンペーン成功のポイントです。
ソーシャルリスニング
ソーシャルリスニングとは、SNSを通してユーザーの率直な意見を収集する手法です。自社商品名やハッシュタグで投稿を検索し、ユーザーのリアルな声を調査。収集したデータは、商品やサービスの開発や改善に活かすことができます。
SNSマーケティングの戦略を検討するときの5つのポイント
自社でSNSマーケティングを実施する際、どんな点に注意すれば良いのでしょうか。SNSマーケティング戦略を検討するときの5つのポイントを解説します。
- 自社のマーケティング戦略・ユーザー層と親和性の高いSNSプラットフォームを活用する
- SNSの特性に合わせてコンテンツを作成する
- SNSの知見やITリテラシーの高い人材を担当者とする
- 炎上するリスクの把握と、対策案を検討する
- 長期的なSNS運用を前提とした戦略を検討する
自社のマーケティング戦略・ユーザー層と親和性の高いSNSプラットフォームを活用する
SNSマーケティングを実施する際、ターゲット層と親和性の高いプラットフォームを選定することは重要です。
例えば、20代の女性をターゲットとした商品・サービスの認知を獲得するならInstagram・TikTok・Youtubeなどが適しています。40代以降の男性であればX(旧Twitter)やFacebookは親和性の高いSNSです。
ターゲット層がよく利用しているSNSプラットフォームを利用することで、SNSマーケティングの効果が出やすくなります。
SNSの特性に合わせてコンテンツを作成する
各種SNSはプラットフォームごとに適したコンテンツが異なります。Instagramであれば画像や動画がメインなので、コンテンツのクリエイティブを重視することが大切です。一方、X(旧Twitter)はテキストがメインのSNSで、画像や動画も投稿できますがネタ系の内容が拡散されやすい傾向にあります。
また、それぞれのSNSプラットフォームの投稿スタイルに合わせて、適切な画像・動画メディアのサイズは異なります。
SNSマーケティングで各種SNSを運用するのであれば、特性を理解して適したコンテンツを用意すると成果が出やすいでしょう。
SNSの知見やITリテラシーの高い人材を担当者とする
SNSマーケティングはメリットを享受しやすい一方で、炎上をはじめとするリスクもつきまとっています。担当者にはSNSの知見やITリテラシーの高い人材を採用すると安心です。
著作権
SNSアカウントを運用するうえで、著作権への理解があると思わぬトラブルが起きるのを避けられます。著作権とは、著作物を創作した人に与えられる権利のことです。著作物のコピーやインターネット上での利用および無断利用は著作権に違反します。
SNSに投稿されたコンテンツは著作物である認識が薄く、なかにはフリー画像のように考えている方もいます。著作権に関する知識を有している担当者であれば、思わぬ炎上のリスクを減らせます。
ステマ(ステルスマーケティング)
ステマとはステルスマーケティングの略で、企業から依頼があったにもかかわらず宣伝・広告であることを伏せて情報発信する行動のことを指します。ステマは2023年10月1日より景品表示法違反となるため、SNS担当者はインフルエンサーマーケティングをする際に注意しなくてはなりません。
参考:消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」
炎上するリスクの把握と、対策案を検討する
SNSマーケティングは、いつ・どんな内容が炎上に繋がるのか明確ではありません。いくらSNSの知見があり、ITリテラシーの高い人材を担当者に選んだとしても、炎上リスクを完全に回避することはできません。炎上リスクを軽減するには、自社のSNS運用ガイドラインの作成が必須です。
併せて、炎上してしまった場合の対策も決めておきましょう。万が一、炎上が起きてしまっても迅速かつ適切な対応が可能な企業であれば、炎上によるイメージダウンを最低限にとどめられます。
関連記事:ステマとは?意味や、違法になるケース・対策方法をわかりやすく解説
長期的なSNS運用を前提とした戦略を検討する
SNSマーケティングは長期的な戦略を立てるのが基本です。短期的に成果を出す手法もなかにはありますが、ファンを獲得したり、信頼関係を強めたりする効果は期待できません。長期的な視点で戦略を立て、着実にブランディングを行いましょう。
企業のSNSマーケティング成功事例
企業のSNSマーケティングは、最初のアカウント設計や日々の運用が成功のカギです。他の企業はどのようにSNSマーケティングを行なっているのでしょうか。参考となる成功事例をご紹介します。これからSNSマーケティングに力を入れていきたいと考えている企業のSNS担当者は、ぜひ参考にしてみてください。
Instagramでオリジナルハッシュタグを使用した「日産」
自動車メーカー「日産」は、Instagramでオリジナルハッシュタグ「#5523」を使ったSNSマーケティングを実施。「GO!GO!日産」を基に作られたハッシュタグで、2023年10月時点で約11.5万件の投稿があります。
日産はアカウントプロフィールにハッシュタグ「#5523」を付けた投稿をリポストすることがあると明記しています。リポストされると多くの方が投稿を見るため、愛車をアピールしたい方は積極的に投稿を行います。ファンの心をくすぐり自然なUGCを生み出しているSNSマーケティングの成功事例です。
X(Twitter)の特性を活かしコミュニケーションをする「シャープ」
企業のX(旧Twitter)アカウントのなかでも随一の人気を有するのが「シャープ」です。X(旧Twitter)ならではの一般生活者との距離の近さをうまく活かした、まるで友人とやりとりをしているようなコミュニケーションが特徴です。
一般生活者だけでなく、他の企業アカウントとの交流を積極的に行なっているのもポイント。企業アカウントとは思えない自由度の高い運用をしつつも、一線を超えないようにしっかりとリスク管理もしています。アカウント運用の面で参考になる成功事例のひとつです。
参考:X@sharp_jp
SNSでの世界づくりが魅力的な「北欧、暮らしの道具店」
「北欧、暮らしの道具店」のSNSマーケティングは、世界観づくりの参考になる成功事例です。
「北欧、暮らしの道具店」は、Instagram・Youtube・LINE・X(旧Twitter)・Spotifyと各種SNSアカウントを開設しています。どのSNSでも北欧の雰囲気や暮らしを大切にしていることが伝わるクリエイティブと表現で、世界観が統一されているのが特徴です。
企業やブランドのイメージを壊さずSNSアカウントを運用するヒントが詰まっています。
参考:北欧、暮らしの道具店
SNSマーケティングを学ぶのにおすすめの本5選
企業のブランディングや売上向上に欠かせないSNS運用。企業のSNS担当者になったらまずはSNS運用の基礎とその時々のトレンドを学ぶことが求められます。これからSNSマーケティングを学びたいと考える方におすすめの本を5冊ご紹介します。
図解即戦力 SNS担当者の実務と知識がこれ1冊でしっかりわかる教科書
『図解即戦力 SNS担当者の実務と知識がこれ1冊でしっかりわかる教科書』は、企業のSNSアカウントの運用を任された方が最初に読む1冊としておすすめの書籍です。アカウント開設前の準備からコンテンツづくり、実際の運用までに知っておくべき情報がまとまっています。昨今、炎上しやすいSNSで炎上を防止する方法や、炎上してしまった場合の対応についても記載されており、勉強になります。
Facebook・Twitter・LINE・Youtubeと主要なSNSの運用が個別に解説されているのもポイント。SNSの良い面と悪い面をしっかりと学び、準備をしたうえで運用したい方におすすめの本です。
>>図解即戦力 SNS担当者の実務と知識がこれ1冊でしっかりわかる教科書
小さな会社・お店が知っておきたい SNSの上手な運用ルールとクレーム対応
今やSNSは大きな会社から小さな会社まで、自社のブランディングやマーケティングに必要なツールとなりました。効果的に使える一方で、苦情を書き込まれたり、1つの投稿から炎上に繋がってしまったりと運用にはリスクも孕んでいます。
小さな会社やお店はたった一度のトラブルが売上に大きく影響します。『小さな会社・お店が知っておきたい SNSの上手な運用ルールとクレーム対応』は、万が一炎上が起きてしまった場合の対応方法やそもそも炎上リスクを回避するには何に気をつけたら良いのか、SNSアカウントを安全に運用するためのルールがまとまったおすすめの1冊です。
>>小さな会社・お店が知っておきたい SNSの上手な運用ルールとクレーム対応
デジタル時代の基礎知識『SNSマーケティング』 第3版 「つながり」と「共感」で利益を生み出す新しいルール
SNSの基本知識や運用方法について学べる初心者向けの1冊が『デジタル時代の基礎知識『SNSマーケティング』 第3版 「つながり」と「共感」で利益を生み出す新しいルール』です。
著者は、一般社団法人SNSエキスパートの理事を務める本門功一郎氏と長谷川直紀氏の2人。2018年に発売された書籍が好評となり第2版が刊行され、2023年には本書である第3版が発売されました。
チャプターが6つに分かれており、SNSの基礎知識から運用に必要なコンテンツの分析方法、SNS広告の運用方法まで丁寧に解説されています。炎上予防と対策についても説明があるので、SNS初心者もこれ1冊でアカウント運用に必要なポイントは押さえられます。企業のSNSアカウントを任された方におすすめの本です。
>>デジタル時代の基礎知識『SNSマーケティング』 第3版 「つながり」と「共感」で利益を生み出す新しいルール
SNSマーケティング7つの鉄則
SNSマーケティングにはさまざまな手法が存在します。そうした手法に踊らされず、SNSの本質についての理解を促すおすすめの書籍が『SNSマーケティング7つの鉄則』です。
本書は4つの章に分かれています。1章では日本に根付いている「中の人神話」について解説。2章ではメディアの本質について触れています。続く3章では、SNS時代の購買プロセス「ULSSAS」を解説。そして4章では、タイトルにもなっているSNSマーケティングの7つの鉄則を紹介しています。SNSの全体像を俯瞰して捉えるのに役立つ内容がまとめられています。
プロモーションの主戦場がSNSになっている今だからこそ、改めてSNSの本質に立ち返りたいと考えるSNS担当者はぜひ読んでみてください。
僕らはSNSでモノを買う 僕らはSNSでものを買う
デジタルマーケティングファームである株式会社ホットリンクの執行役員CMOが執筆した1冊『僕らはSNSでモノを買う 僕らはSNSでものを買う』。「UGC」と「ULSSAS」を利用して売れ続けるサイクルを作る方法について解説されています。
現代はSNSで見かけた物を一般生活者が購入する時代です。そんな時代においてSNSマーケティングではまず広告を回すことが最初の運用となりますが、著者はそれを小手先の方法であり、本質的ではないと語ります。
SNSマーケティングを本質的な購買に繋げるにはどうしたら良いのか。その要となるのが「UGC」と「ULSSAS」です。SNS運用が成果に繋がらず悩んでいる担当者におすすめの本です。
自社の目的に合わせたSNSマーケティング戦略を検討しよう
- SNSマーケティングは低コストで高い効果を得やすい
- SNSマーケティング担当者はITリテラシーが高く、SNSの知見もある人材を採用すると安心
- SNSマーケティングを学ぶなら書籍を活用しよう
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