株式会社帝国データバンク(以下、TDB)が、2021年10月〜2023年10月の期間に、「事業承継の実態について分析可能な約27万社(全国・全業種)における後継者の決定状況と事業承継」について調査を実施。分析結果を公表しました。
2023年「後継者不在」状況は過去最低の53.9%
2023年の全国・全業種約27万社における後継者動向について調査した結果、後継者が「いない」、または「未定」とした企業は14.6万社でした。
全国平均での後継者不在率は53.9%であり、2022年と比較すると、3.3%減少しています。日本企業の「後継者問題」は改善傾向が続いていることが示されました。
業種別では、全7業種で過去最低を更新。「建設業」のみが60.5%という結果となりましたが、過去最も後継者不在率が高かったという2018年と比較して、10.9%減少したといいます。
内部昇格や外部招聘の後継者候補が増加
後継者就任の経緯(前経営者との関係性)を調べたところ、事業承継は血縁関係によらない役員・社員を登用した「内部昇格」によるものが35.5%に達しています。
従来は、同族による継承が多くみられた経緯だったそうですが、今年の調査では33.1%で、内部昇格を下回りました。
第三者による承継は自社社員もしくはM&Aなどの他社との吸収・合併によるものに2極化しているといいます。
後継者不在率減少の理由は?
TDBは、各自治体や地域金融機関をはじめ事業承継の相談窓口が全国に普及したことが、後継者不在率現象の要因だと伝えています。
続けて、第三者へのM&Aや事業譲渡、ファンドを経由した経営再建併用の事業承継など支援体制が整備・告知された効果があったと見ていることを指摘。
後継者候補においても事業承継の重要性が認知・浸透されてきたと分析しています。
一方で後継を取りやめる企業も
後継者不足が改善していくなかで、2018年時点では後継者候補がいたにも関わらず、23年に後継者不在となった「計画中止・とりやめ」が全体の1.5%・約2,000社にのぼることが明らかになりました。
経営環境の急激な変化や後継者の選び直し、候補者の辞退や退職など、要因は多岐にわたるそうです。
調査概要
調査機関:株式会社帝国データバンク
調査期間:2021年10月〜2023年10月
調査内容:事業承継の実態について分析可能な約27万社(全国・全業種)における後継者の決定状況と事業承継について
調査方法:信用調査報告書ファイル「CCR」(190万社収録)などの帝国データバンクデータベース
<参照>
後継者「不在率」、過去最低53.9% 事業承継「内部昇格」が初のトップ、脱ファミリー加速
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