54万筆超のインボイス反対署名を届けた「インボイス制度を考えるフリーランスの会」が、インボイス制度開始1カ月を機に緊急意識調査を実施しました。
調査回答者は、年商1,000万円以下の事業者が6割、会社員は約3割に。職種では、経理・経営・財務系とクリエイティブ系で6割を占めました。
インボイス制度は実質的な強制か
インボイス登録済は約4割、登録検討中が1割と、「登録済み・登録検討中」が5割を占めています。複数回答ありで聞いた登録理由に関しては、45.2%が既に課税事業者だったから登録したものの、14.1%は登録しなければ取引が停止するから、12.9%は登録しなければ値下げするからと、取引先からの実質的な強制を受けています。
「強制があったわけではないが、登録しなければ仕事がなくなりそうだと感じたから」も39.5%を占めており、決して前向きな理由で登録した業者は多くないようです。
さらに、今回の調査では、取引先による一方的な値下げや、取引停止の事例が200件以上届いたといいます。
インボイス登録の実質的な強制があったと考えると、公正取引委員会などによる取り締まりが機能していない実態があるという見解を調査元は示しています。
インボイス制度の影響は会社員にも波及
インボイス制度による業務の変化では(複数回答可)、「経理負担が増えた」が5割超の結果になりました。事業・仕事への今後の見通しなどについても「廃業や異動はないが、今後の見通しは悪い」が過半数を超え、ネガティブな回答が多いようです。
個人事業主やフリーランスで問題にされがちなインボイス制度ですが、会社員にも影響が及んでいます。経理負担の増大はもちろんのこと、「免税事業者との契約は切れと言われ、下請法に引っかからない言い回しや順序をとり、現場的には取引を続けたい相手先を切らなければならなくなった」という事例も発露。インボイス制度の施行に関連した業務や事務負担を行っても、得られるものがないことに対しても、苦悩が寄せられました。
調査概要
集計期間:2023年10月20日(金)~10月31日(火)
調査主体:インボイス制度を考えるフリーランスの会
調査対象:フリーランス、会社員、経営者など、インボイス制度の影響を受ける人
調査方法:Webアンケートツールを用いたオンライン調査
有効回答数:2,868件
※本調査のグラフは小数点以下第2位を四捨五入しているため、必ずしも合計が100とはなりません。
<参照>
「着服」「ネコババし続けるつもりか」 免税事業者への誹謗中傷・一方的な値下げ・取引排除の実態が明らかに。インボイス制度開始で会社員含む約7割が仕事の継続を不安視
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