実績が重視されるマーケティングの世界でも、資格の勉強や取得は役立ちます。資格勉強は知識を体系的に身に付けるために、資格取得は自らのスキルを客観的に示すために有効です。
本記事ではマーケターにとって資格はどんな風に、どのくらい役に立つのかを解説。初心者向けの資格から、分析・SEOなどの目的別の資格まで、おすすめ資格を17個紹介します。
これからマーケターを目指したい人や、マーケターとしてスキルアップをしたい人はぜひ参考にしてみてください。
- マーケターにとって資格はどのくらい役に立つのか
- レベル・目的別のおすすめ資格
- マーケターとして効率的にスキルアップする方法
「マーケティングに資格はいらない」論は半分正しい
マーケティングやWeb・IT業界では、「資格なんていらない」「実績がいちばん大切」という考えを持っている人は少なくありません。資格があるからといって就職や転職はあまりに有利にならないのではないかと、不安に感じる人もいるでしょう。
この「マーケティングに資格はいらない」論は半分正解、半分間違いといえます。マーケティングの世界で実績が重視されるのは事実ですが、資格がまったく役に立たないというわけではありません。
特に、公開できる実績がない人、業界未経験の人にとっては、転職や営業において資格が強力な武器になるでしょう。
マーケティング資格の取得が効果的な人の特徴
では、どのような人にとってマーケティング資格の取得は有効なのでしょうか。マーケティングに関する資格の勉強・取得が効果的な人の特徴を3つ紹介します。
マーケティング初心者
マーケティング初心者にとって、資格はとても大きな意味を持ちます。初心者で「何から勉強すればいいのかわからない」「どこから、どうやって知識を得ればいいのかわからない」というのなら、資格の公式テキストを使うことで、必要な知識を効率よく身に付けられます。
また、初心者には当然「マーケターとしての実績」がありません。そのため知識を身に付けても、就職や転職、最初の案件受託で躓くこともあるでしょう。資格を取得し自らの知識とスキルを客観的に示すことで、実績がないという弱点をカバーできます。
転職したいマーケター
転職したいマーケターにとって、資格には「自らのスキルを客観的に示す」というメリットがあります。
これは特に、面接官がマーケティングに詳しくない場合に大きいです。マーケティングをよく知らない面接官に実績を示しても、自らのスキルを理解してもらえないでしょう。しかし、資格なら「どんなスキルがあるのか」「どのくらいのレベルか」を客観的に示せます。
マーケター・ライターなどのフリーランス
転職したいマーケターと同じく、マーケターやライターなどのフリーランスにとっても、資格を取り自らのスキルを客観的に示すメリットは大きいです。
ポートフォリオやクラウドソーシングの自己紹介に資格を箇条書きすることで、自分のスキルや知識、力量を客観的に示せるでしょう。特に秘密保持契約により具体的な実績を示せない場合、資格を取りスキルを示すメリットは大きいです。
マーケティング初心者におすすめの資格6選
マーケティングの基礎知識を効率よく身に付けたい初心者、マーケターに就職・転職したいが実績がなく面接が不安という未経験者におすすめの資格を6つ紹介します。
マーケティング検定
マーケティング検定は内閣府認定の資格で、資格勉強・取得を通してマーケティングの基礎を身に付けられます。マーケティングやビジネスのセオリーを学び、直感に頼るのではなく、論理的な判断が下せるようになるでしょう。
消費者行動の捉え方やリサーチの方法、価格戦略など、マーケティングの基本的な概念を学べます。
公式サイト：公益社団法人日本マーケティング協会 - マーケティング検定
ネットマーケティング検定
ネットマーケティング検定は、Webマーケティングの基本を学べる資格です。広告やSEO、セキュリティなどのWebマーケターに欠かせない知識を体系的に身に付けられます。試験勉強を通し、SEMや会員向けサイトなど、目的に合った施策が取れるようになるでしょう。
公式サイトからは本試験と同じ40問の無料提供が行われているため、まずはこれを試し、今の自分の知識レベルを把握するのもいいでしょう。
公式サイト：ネットマーケティング検定
マーケティング・ビジネス実務検定
マーケティング・ビジネス実務検定は、マーケティングに関する知識を実務レベルで身に付けていることを証明する資格です。試験勉強を通して、マーケティング活動をする業界・業種にかかわらず、広く役立つ知識を身に付けられます。
試験対策の教材が充実しているのも特徴です。テキスト・問題集はもちろん、通信講座や通学講座などで勉強することもできます。自分に合った教材を活用することで、効率よく知識を身に付けられるでしょう。
公式サイト：マーケティング・ビジネス実務検定(R)｜どこでも通用するマーケティングのスキルを磨く
ネットショップ検定
ネットショップ検定は名前の通り、ネットショップの運営・EC業界で活躍するための知識が身に付く資格です。検定は5段階に分かれていて、基礎知識や実務知識はもちろん、ECの企画・経営能力を測るものもあります。
検定とは別にセミナー修了で取得できる資格もあるため、まずはセミナーを受けて基礎を身に付けるのと同時に、この資格の取得を目指すといいでしょう。
公式サイト：ネットショップ検定|ネットショップ能力認定機構 | ネットショップ運営での実務能力を証明するための資格「ネットショップ検定」を運営
Webライティング能力検定
Webライティング検定はWebマーケティングに必要な文章力が身に付く資格です。会社HPやネットショップ、オウンドメディアなどの文章を書く「Webライティング」はもちろん、商品・サービスを売るためのコピーライティングや自社サイトを検索上位に表示するSEOも学べます。
ライターへのフィードバックで気をつけるべきことも学べるため、執筆を外部ライターに委託しようと考えている企業の担当者にもおすすめです。
公式サイト：Webライティング能力検定｜一般社団法人日本WEBライティング協会
ビジネス著作権検定
公式サイト：ビジネス著作権検定 | 資格検定のサーティファイ│あなたのスキルアップを応援します|
ビジネス著作権検定は著作権とは何か、著作物を扱ううえでの注意点などを体系的に学べる資格です。マーケティングでは文章や画像を引用するなど、他者の著作物を扱う機会も多いです。意図せず不正利用をしてしまわないよう、著作権に関するルールを知っていなければなりません。
検定は3つのレベルに分かれていて、上級試験に合格すると、国家資格の「知的財産管理技能士1級・2級」への受験資格が得られます。マーケティング実務者はもちろん、コンサルタントとして活躍したい人にもおすすめです。
マーケティングに関する国家資格・有名資格3選
マーケティングに関する国家資格や有名資格を3つ紹介します。難しい資格もありますが、これらを取得することで就職・転職の可能性が大きく高まるでしょう。
中小企業診断士
中小企業診断士はマーケティングに限らず、中小企業の経営に関する知識を広く身に付けられる国家資格です。中小企業の経営課題を見つけ、その解決のための施策を考え、経営者に助言できることを証明します。
資格勉強を通して「商品やサービスを宣伝し、売る」という狭義でのマーケティングではなく、「商品・サービスの企画から販売、改善までの一連の流れ」という広義でのマーケティングについて、深く学べるでしょう。
公式サイト：J-SMECA 中小企業診断協会
ITパスポート
ITパスポートはITを利活用するすべての人に向けた、ITの基礎知識を身に付けられる国家資格です。経営戦略やマーケティングなどの経営全般に関する知識はもちろん、現代のマーケティングに欠かせないAIやビッグデータ、IoTなどの技術についての基礎知識があることを証明します。
知名度が高く難易度は低いため、まずはITパスポートの取得を目指すといいでしょう。
公式サイト：【ITパスポート試験】情報処理推進機構
MBA
資格ではなく学位ですが、MBAの取得を通してマーケティングや経営に関する知識を広く、深く身に付けられます。
MBAとは経営学修士のことで、経営大学院で所定のプログラムを修了することで学位が授与されます。大学院といっても働きながら通うこともでき、プログラムで学んだことを仕事で実践しながら血肉にしていくこともできるでしょう。
本記事で紹介するものの中でも難関で、取得には時間もお金もかかりますが、経営者やマーケターとしての可能性が大きく広がるはずです。
【分析系】マーケティングに役立つ資格5選
マーケティングにおいてデータの収集・分析は欠かせません。分析ツールの使い方やデータの見方が学べる資格を5つ紹介します。
Google Analytics Individual Qualification（GAIQ）
Google Analytics Individual Qualification（GAIQ）はオウンドメディアを使ったコンテンツマーケティングに欠かせない分析ツール「Googleアナリティクス」の使い方を学べる資格です。Google提供の、世界中で通用する資格として広く知られています。
下記リンクにある初級者向けコース・上級者向けコースを受けることで資格勉強ができます。資格には12ヵ月の有効期間がありますが何度でも受験・取得できます。12ヵ月おきの再取得を通して、Googleアナリティクスの知識を最新のものに更新できるでしょう。
公式サイト：Google アナリティクス個人認定資格（GAIQ）の準備方法 - アナリティクス ヘルプ
Webアナリスト検定
Webアナリスト検定は、Googleアナリティクスの使い方を体系的に学べる資格です。申し込み後に受け取れるテキストで事前学習をしたうえで、5時間の講座を受けることで、資格試験の受験資格が得られます。
Googleアナリティクスを使った分析を短期間で学べること、マーケティングの現場最前線で活躍する講師による講座を受けられることから、初心者にもおすすめできる資格です。
公式サイト：Webアナリスト検定 一般社団法人日本Web協会［JWA］
ウェブ解析士
ウェブ解析士はWebマーケティングにおけるデータの読み取り・分析について学べる資格です。データに基づき仮説を立て、正しい判断を下せることを証明します。
資格は公式テキストを購入・予習したうえで講座を受け、認定試験に合格することで取得できます。取得に必要な勉強時間の目安はWeb業界経験者なら15～30時間、未経験者なら40～60時間です。比較的短時間で取得できること、公式テキストを使って自分のペースで学べることから、自分のペースで勉強したい人にもおすすめできます。
公式サイト：ウェブ解析士とは | 一般社団法人ウェブ解析士協会
データ解析士
データ解析士は文部科学省認定の資格です。POSデータをマーケティングやマーチャンダイジングに利用したり、商品・サービスの改善のための調査を設計したりするのに役立つ「多変量解析」について学べます。
資格は多変量解析の実務講座を修了し、データ解析士認定試験に合格することで取得できます。講座修了の時点で修了証書が授与されるため、試験に一度で合格できなくても、就職や転職の可能性は高くなるでしょう。
公式サイト：一般財団法人 実務教育研究所
統計検定
統計検定は統計に関する知識とその活用力を測る資格です。データを集め、それに基づき価格的で客観的な判断を下せることを証明します。
資格のレベル・種類が多く、統計検定1～4級以外にも、データサイエンスに関する資格もあります。ビッグデータの活用が注目され、データサイエンティストの不足が課題となっている現代において、就職・転職の強力な武器となる資格です。
公式サイト：統計検定：Japan Statistical Society Certificate
【SEO系】マーケティングに役立つ資格3選
Webマーケティングにおいて、自社HPをブラウザの検索上位に表示させる「SEO」は欠かせません。SEOを学べる資格を3つ紹介します。
SEO検定
SEO検定はSEOやコンテンツマーケティングの初心者にもおすすめできる資格です。図解入りのわかりやすい公式テキストを使い、SEOの基礎から応用までを体系的に身に付けられます。学習用の動画もあり、自分に合ったスタイルで資格勉強を進めていけるでしょう。
検定は4つのレベルに分かれていて、それぞれキーワード選定や外部要因・内部要因の最適化、モバイル対応などについて学べます。
公式サイト：SEO検定 一般社団法人全日本SEO協会｜Webの資格
認定SEOスペシャリスト
認定SEOスペシャリストはその名の通り、SEOに精通したスペシャリストであることを証明する資格です。自社サイトのSEOはもちろん、クライアントのWebサイトを改善するうえでも役立ちます。実務担当者からフリーのコンサルタントまで、幅広くおすすめできる資格です。
認定SEOスペシャリストでは、スクールでの学習を通してSEOの知識を身に付けます。先述のSEO検定1～4級の内容も習得できるので、効率的でしょう。
公式サイト：認定SEOスペシャリスト養成スクール【ダウンロード学習コース】 | 鈴木将司のSEO対策セミナー
SEOマーケティングアドバイザー
SEOマーケティングアドバイザーは、SEOの基礎からメディアを成功に導くコツまでを広く学べる資格です。「アドバイザー」の名前の通り、実務だけでなくコンサルティングにも役立ちます。
専用テキストだけで十分に試験対策ができるので、初心者にもおすすめです。
公式サイト：SEOマーケティングアドバイザー | 一般社団法人日本技能開発協会
マーケティングに関する資格を取るメリット
マーケティングに関する資格を取るメリットは大きく3つあります。
- 体系的に知識を身につけられる
- 自分のレベルを客観視できる
- 知識やスキルを証明できる
それぞれの詳細を紹介します。
体系的に知識を身につけられる
これからマーケティングを学びたいという人にとって特に大きなメリットが、「体系的に知識を身に付けられる」ことです。ここまで紹介してきたように、たいていの資格には公式テキストや問題集があり、講座が提供されているものも少なくありません。
身に付けたい知識を決め、それに合った資格を選ぶことで、初心者にありがちな「ノウハウ本が多すぎてどれを選ぶべきかわからない」「自分のわからないことがわからない」という悩みを解決できるでしょう。
自分のレベルを客観視できる
マーケティングをすでに学んでいる人、マーケターとして働いている人にとって、資格試験を受けることには「自分のレベルを客観視できる」というメリットがあります。
資格試験を受けることで、自分の知識や実務レベルを客観的に測り、得意・不得意な分野を把握できます。自分の知識レベルや得意・不得意を知ることで、より効率的な学習プラン、キャリアプランを立てられるでしょう。
知識やスキルを証明できる
転職を考えている人やフリーのマーケターにとって、資格取得には「知識やスキルを客観的に証明できる」メリットがあります。
マーケティングの世界では実績が重視されますが、秘密保持契約により実績を示せないこともあるでしょう。面接官やクライアントがマーケティングに詳しくないと、実績を示しても実力を理解してもらえないこともあります。
そんなとき、資格があれば自分の力量や保有スキルを客観的に示せます。
資格以外でマーケティングスキルを高める方法
マーケティングに関する資格の取得・勉強を通して、今の自分に必要な知識を体系的に身に付けられるでしょう。
しかし、資格勉強だけでは不十分です。マーケティングの世界は変化が激しく、常日頃から勉強し、スキルアップし続けなければなりません。資格以外でマーケティングスキルを高める3つの方法を紹介します。
効率良く知識が身に付く「書籍」
効率よく知識を身に付けたいなら、「書籍」を使った勉強がいちばんでしょう。個人出版の電子書籍は別として、書籍には編集者が付いています。プロの編集者が付き、読者にとって役立つ情報を精査したりわかりやすい構成を作ったりしているのが書籍です。
書籍での勉強には、今の自分に必要な知識をピンポイントで身に付けられる、難しいことも理解しやすいといったメリットがあります。
マーケティング全般の書籍から、それぞれの手法に関する書籍まで多くの書籍が出版されているので、学習したい内容を決め、気になるものを一読するのもおすすめです。
最新情報を得るには最適「Webサイト・動画」
先述の通り、マーケティングの世界は変化が激しいです。そのため、常にアンテナを張り続け、自分の中にある知識を更新し続けていかなければなりません。
最新情報を得るのに最適なのが「Webサイト・動画」です。Webで公開されているコンテンツの中には、実績・実力のある第一人者が自ら検証したノウハウのような、極めて質の高いものもあります。マーケティングに関する動画は「ながら聴き」もでき、スキマ時間を使った勉強に最適です。
ただし、「誰でも情報発信ができる」という特性上、Webのコンテンツは玉石混合です。その情報やノウハウが本当に信頼できるのか、取り入れていいのかどうか、自分の頭でよく考えなければなりません。
最強なのは結局「実践」
座学で身に付けた知識を自らの血肉にするには、やはり「実践」がいちばんです。マーケティングに関する新しい知識やノウハウを身に付けたら、なるべく早くそれを試してみましょう。
Webマーケティングに携わるなら、自分のWebメディアやSNSアカウントを作り、施策の実践・効果検証をしてみるのがおすすめです。書籍やWebで学んだ知識を実践するだけでなく、自分で新しい施策や仮説を考え試してみることで、「経験に基づく生きた知見」が身につきます。
マーケティングの資格は転職や営業に役立つが、いちばん大切なのは自分の頭で考えること
- 資格勉強を通してマーケティングを体系的に学べる
- 資格を取り自らのスキルを客観的に示すことで、転職や営業活動が有利になる
- 資格の勉強や取得も役立つが、自分の頭で考え実践するのが何より大切
本記事で紹介したように、マーケティング資格には「分析」「SEO」「著作権」などさまざまな種類があります。どんな知識・スキルを身に付けたいのか明確にし、それに合った資格を選び勉強することで、効率よくスキルアップができるでしょう。
資格を取得すれば、自らの保有スキルや力量を客観的に示せます。転職を考えているマーケターや示せる実績のない業界未経験者の転職活動、フリーランスの営業活動において、資格は強力な武器となりえます。
ただ、資格にばかり目を向けるのも良くありません。マーケティングの世界では何より実績が重視されます。資格勉強を通して得た知識を血肉にするためにも、実績を示すためにも、学んだことはなるべく早く実践しましょう。
本記事を参考に、学習をする資格を決め挑戦しつつ、実務にもチャレンジしながら実績を積んでいきましょう。
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