大学で課題として出される「レポート」。なんとなく執筆している方は多いはずですが、実はレポートには型があり、その型を使うとレポートを書き上げるのが簡単になります。
そんなレポートのなかでも最初の文章は「書き出し(序論)」と呼ばれ、読み手に全体像を伝える役割があります。本記事では、書き出しで大切なポイントは何か、盛り込むべき内容や評価をあげる3つのコツなどをご紹介します。
- レポートの書き出しに入れるべき内容とは?
- レポートの書き出し例
- レポートの書き出しで評価をあげる3つのコツ
レポートの書き出し(序論)の役割
レポートは、序論・本論・結論の主に3段階で構成されています。書き出しは序論と呼ばれ、読み手に文章の内容や全体像を簡潔に伝える役割があります。
例えば、レポート内で扱う問いや目的、目的を遂行するために使用する手法などを示します。場合によっては使用する資料の紹介やデータの収集方法、本論の構成を紹介することもあります。
書き出しは、読み手が全体の概要を理解して読み進めるための重要なポイント。簡潔に、そしてわかりやすく伝えることを意識しましょう。
レポートの書き出し(序論)に盛り込むべき内容
レポートの書き出しは、簡潔であることを意識しすぎて情報が不足してしまうと意味がありません。盛り込むべき内容をきちんと押さえて、本論にスムーズに繋がる序論を作成しましょう。
レポートのテーマ・目的を記載する
レポートの書き出しには、必ずテーマや目的を記載します。レポートの読み手は授業を受け持っている大学教授ですが、必ずしも全ての学生の研究を把握しているわけではありません。初めて読む可能性も考慮し、テーマと目的はわかりやすく記載してください。
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テーマ
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研究の背景
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問題点
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研究の目的
- テーマ:世界的な問題のひとつとして地球温暖化がある。
背景:地球温暖化が進行すると、真夏日の日数が増加したり、海面水位が上昇したりするほか、農作物の色づきが悪くなり収穫時期に影響が出ると言われている。
問題点:温暖化の主な要因は大気中の二酸化炭素濃度の増加に伴い、温室効果ガスが増加していることにある。日本のCO2排出量の約6割は、そのライフスタイルに起因している。
研究の目的:本論では地球温暖化の現状と日本における対策について、温室効果ガスに焦点を当てて論じる。
重要な言葉は概念を説明する
レポートで論点となるような重要な言葉は、その意味と概念をはじめに説明しておきましょう。人によって定義が異なる言葉や、専門的な言葉や概念は、読み手の理解を深めるために説明が必要です。
例えば、「カーボンニュートラル」という言葉であれば、書き出しでは下記のように説明します。
- 地球温暖化対策として、日本でもカーボンニュートラルに関するさまざまな取り組みが行われています。カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにするという考え方のことです。排出量を削減しつつ、排出せざるを得なかった分については、吸収・除去することで差し引きゼロを目指すのがカーボンニュートラルです。
レポートの書き出し(序論)の例文
レポートの書き出しで盛り込むべき、目的や背景、概念や手段の説明はどのように執筆すれば良いのでしょうか。ポイントを解説し、参考になる例文をご紹介します。
タイトル
書き出しのタイトルは「はじめに」が使われることが一般的です。読み手側は、「はじめに」と書かれた章をまず読むことで、書き手の主張を理解することができます。本論で論じようとしている内容や目的など、読み手に対して伝えたいことを「はじめに」とタイトル付けしてまとめましょう。
書き出しを「はじめに」とした場合、結論は「おわりに」で締めましょう。セットで覚えておくとスムーズにレポートを完成させられます。
レポート作成の目的
レポート作成の目的は、テーマの背景とそれに関する課題について述べた後に記載します。書き出しに盛り込みたい内容のうち、もっとも重要な項目と言っても過言ではありません。
目的を書く際のポイントは、できるだけ具体的に書くことです。「日本の少子高齢化について論じる」「地球温暖化について論じる」という書き方はテーマが広すぎて、非常に抽象的です。例文を参考に、具体的な目的を考えてみてください。
【目的の例文】
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本論では、日本の少子高齢化における現状と対策について、社会保障料引き上げの観点から論じる。
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本論では、日本の教育格差の現状について、家庭の経済力格差や学校外教育を踏まえて考察する。
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本論では、日本の職業キャリアの多様化について、長寿化や就業期間の延長という観点から論じる。
研究や考察をする上での背景
研究や考察をするうえでの背景とは、レポートのテーマの背後の事情のことです。選んだテーマを論じる理由に繋がる部分と考えておきましょう。
例えば、「働き方の変化と海外移住者数の関係」についてレポートを書く場合、「働き方の変化の現状+海外移住者数の推移」という内容を記載します。その後に、問題提起と論述を行います。
【研究・考察の背景の例文】
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現在、日本では少子高齢化が進んでおり、それに伴い社会保障給付費が増加している。社会保障給付費は主に保険料と年金で賄われており、社会保障給付費が増加すると国民負担率が増加すると言われている。
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日本では現在、子供の教育格差が広がっていることが問題視されている。教育格差は、家庭の世帯年収や学校外教育の有無が大きく関係しており、教育格差は世代間連鎖を生むと考えられている。
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現代は人生100年時代と呼ばれている。世界有数の長寿国である日本では、生涯現役であることが求められている。長寿化に伴い問題視されているのが引退後の資金の確保だ。
研究や考察をする上で重要な概念
研究や考察をするうえで重要な概念は、書き出しの部分で定義づけや意味の説明をします。専門用語も同様に必ず説明しましょう。
【研究や考察をする上で重要な概念の説明例】
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本論では高齢者とは、65歳以上の男女のことを意味している。
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教育格差とは、出自や生まれ育った環境によって最終学歴が異なることを意味している。
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キャリアコンピテンシーとは、理想とするキャリアを実現するために主体的に考え、行動する思考や行動特性のことだ。変化の激しい現代において、自分のキャリアを自分で導くために思考し、行動する習慣が身に付いていることが重要だと考えられている。
研究や考察をしたときの手段
研究や考察をしたときの手段も、書き出しで説明すべき内容のひとつです。どのような手段を用いて、研究や考察に必要な情報を収集したのかを明記します。
【研究や考察をしたときの手段の例文】
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〜について、◯◯を対象にアンケートを行った。
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〜について実験を行った。
レポートの書き出し(序論)で評価を上げる3つのコツ
レポートの書き出しは、本論や結論に比べると重視されないイメージがありますが、実は全体の評価に直結する重要な部分です。書き出しがわかりやすくまとまっていると、本論や結論をスムーズに読み進めやすいのが理由です。レポートの書き出しで評価をあげる3つのコツを説明します。
- 本論や結論を書いた上で、矛盾がないように最後に執筆する
結論を書くのではなく、導入文として問題提起を行う
全体の10%程度の文字量となるよう簡潔にまとめる
本論や結論を書いた上で、矛盾がないように最後に執筆する
レポートは論理に矛盾がないことが非常に重要です。主張のズレが起きないようにできるのであれば、序論・本論・結論の順番に執筆しても構いませんが、レポートの執筆自体が不慣れな場合は、本論と結論を書き、最後に書き出しを執筆するのがおすすめです。
本論や結論を書き上げた後は記述した内容のほとんどが頭に入った状態なので、スムーズに序論を執筆できます。序論をまとめられなくてレポートの進捗が悪い場合も、まずは本論を書いてから取り組むことがおすすめです。
結論を書くのではなく、導入文として問題提起を行う
序論はあくまでも本論の導入文なので、結論ではなく問題提起を行うことを意識しましょう。序論で結論を書いてしまうと、続く本論・結論でも同じ主張が繰り返されるため、読み手にくどい印象を与えてしまいます。
序論では問題提起を、本論では根拠の説明を、結論では全体を通した答えを執筆する流れを意識して執筆することが大切です。
全体の10%程度の文字量となるよう簡潔にまとめる
レポートの書き出しの文章量は、全体の10%程度が目安です。目的やテーマ、背景、問題点などを述べつつも、できるだけ簡潔にまとめましょう。
200文字程度が目安と言われることもありますが、レポートは長いものほど入念に背景説明をする必要が生じます。全体の10%が目安だとすれば、2000文字のレポートの場合は200文字程度、3000文字のレポートの場合は300文字程度の文章量になります。全体のバランスを見ながら、多くても15%程度に収まるように執筆しましょう。
レポートの書き出しは型に当てはめると簡単に執筆できる
- レポートの書き出しは全体の10%程度の文章量に収めよう
- レポートの書き出しには必ず目的・テーマ・背景について情報を盛り込む
- 本論・結論との矛盾がないかどうかも確認しよう
レポートの導入部分となる書き出しは、本論や結論を執筆し終わってから書くとスムーズに完成させられます。慣れるまでは型を意識するとより簡単に執筆することが可能です。
本論と結論に繋げる導入文として必要な情報を簡潔に記載し、読み手に概要が伝わる書き出しを作成してみてください。
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