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【特別編】スピーチコンサルタント・松下公子さんに編集部員が話し方の悩みを相談してみた!

服部真由子

2023/09/22(最終更新日:2023/09/22)


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「経験と想いを熱く語る」ことで、25歳のときにアナウンサー職に選ばれたという松下公子さん。その当時は、新卒で入社した企業を退職してアナウンサーになることを志すフリーターだったそうです。

現在は、アナウンサー志望者の内定獲得をサポートするSTORYアナウンススクールの代表として、さらにはスピーチコンサルタントとしても活躍しています。

転職面接や、良い話し方についてお話をうかがったインタビュー前・後編に続いて、「話し方」に悩んでいる編集部員が、松下さんに相談する機会を特別にいただきました。

話し方に悩む人に、スピーチコンサルタントとしてどのように対応・指導してくれたのか……実際の様子を紹介します。

松下公子さんに転職面接の秘訣を訊いた前編はこちら、良い話し方について訊いた後編はこちらから

まずは相談者の話を聴くことから

夢を叶えて、みなさんいい笑顔!アナウンススクール内定会での松下さん(前列左から3人目)

相談者:YouTubeで、国際ニュースを自分で喋って紹介する動画を配信していて、真面目にするときと、ちょっとふざけたりしたいときのテンションを、どう使い分けをしたらいいかわかりません。

松下:それは、チャンネルのコンセプトによってアプローチは変わりますね。「情報バラエティー」という言葉があるように、難しいニュースをおもしろおかしく紹介することもできるし、真面目に紹介することもできますよね。

相談者:真面目なだけだと視聴者層が限られてしまうし……。たとえば「インドが今、注目を集めています」というようなニュースであれば、視聴者が飽きないように、明るいトーンで自分の感想も交えながらやわらかく伝えるのがいいのでしょうか?

松下:両方織り交ぜたいってことですね。YouTuberが配信するニュースには、テレビなどのニュースとくらべたときに「プラスアルファ」があることが大事だと思います。

配信者の想いが込められているから、その人の視点がわかりやすく紹介されているから……どんな「プラスアルファ」を付け加えられるかを考えてみてください。

悩みはいよいよ本題に

相談者:僕は声が低くて、明るく喋っているつもりでも相手に冷たい、暗い印象を与えているようです。これは声のトーンをあげて話すしかないのでしょうか。話し方の工夫として取り入れられることはありますか?

松下:今、喋っていて、高いトーンを意識していますか?ご自身にとっては高い/低いどちらのトーンでしょうか?

相談者:ちょっと(トーンを)あげてます。

松下:それは意識をして、ですか?

相談者:今は、やや意識をしています。普段は相手によるかもしれません。

松下:苦しくないですか?

相談者:苦しくはないですが、うるさく感じられていないかな、と気になります。

松下:声が低いことを気にされているようですが、いい声、響きのある声ですよ。今の話し方は聞き取りやすいし、冷たい印象は感じません。ご自身でどう思われますか?

相談者:たしかに自分できちんと前もって原稿を用意して、気持ちを込めて話した配信では、褒めていただくこともあります。

松下:どんなところを褒められましたか?

相談者:動画をご覧になった人からどんなマイクを使っているか、と質問されるんですが、ただスマートフォンのマイクで録っているだけなので……。

松下:それは声がよかった、と褒められたんですね!

もしかして、それは「思い込み」?

相談者:でも、声が低くて、トーンが低い、冷たいとなると、明るく・面白くしようとくだけた話し方をしてもダメなんじゃないかと不安です。

松下:面接でもよくあるんですけど「私って暗い印象ですよね」「私って〇〇なんです」とネガティブなことをいう人がいらっしゃるんです。「誰に言われたの?」とたずねると「誰にも言われてない」。実はご自身の思い込みだったということが多いんです。誰に冷たい印象があると言われましたか?

相談者:職場で「僕の話し方ってテンション低く聞こえますか?」とたずねたら、否定されませんでした。

松下:それは、YouTubeで見せたい明るい姿・印象と混ぜちゃダメですね。職場で「僕って暗いですか?」って質問している時点で暗いですよ(笑)。

相談者:そうですね(笑)。ちょっと確認したかったんです。

松下:「僕のYouTube見たことありますか?どんな印象ですか?」って聞いたほうが良いですね(笑)。おそらく職場での印象とは違うはずですよ。

相談者:職場とは確かに全然違いますね……。

松下:ご心配されずとも、ニュース配信なら、その声は活かせると思いますよ。

配信動画を観てのアドバイスも

相談者:実際に配信したショート動画を観て、ご意見をいただけますか?

相談者:どうでしょう? テンション、低いですか?

松下:暗い印象を与えているんではないか、と気にしていらっしゃるんですよね?

相談者:はい。

松下:まず、服装。人は「パッと見た」印象が残ります。暗い色の服を着ていると、暗い印象につながります。背景も落ち着いていて、明るい色がないですね。この動画を見る人は話し方を聴く前に「落ち着いている、トーンが低い」と最初に認識します。

それから、バックに流れている音楽が、声よりも目立つボリュームなのが気になりました。

相談者:なるほど……!

松下:話し方は、声を張りましょう。落ち着いて話していらっしゃる。それは悪いことではありませんが、明るい印象を求めるのなら、もっと声を張るといいですね。

話し方とその内容だけで印象付けることはとても難しいんです。全てのものを味方にしましょう。ありとあらゆるものを利用して、自分の想いを伝える方法を考えてみると良いですね。

相談者:ありがとうございました!

松下公子さんプロフィール

松下公子 (まつした・きみこ)
STORYアナウンススクール代表/株式会社STORY 代表取締役

1973年茨城県鹿嶋市生まれ。
アナウンサーを目指したのは、大学3年時に彼氏に振られたことがきっかけ。みんなに愛される女子アナになって見返したいと思った。しかし、第一印象が怖い、近づきづらいという見た目コンプレックス、さらに、コネなし、2流女子大出身、茨城なまりと4重苦に苦しむ。パッと見の印象ではなく、自分のことをわかって欲しいという思いから、アナウンサー受験では自分の経験と思いを熱く語る。その結果、25歳フリーターでアナウンサーに内定。テレビラジオ4局のステップアップを果たす。

その後、共感で選ばれるプレゼン手法「共感ストーリー」としてメソッド化。代表であるSTORYアナウンススクールでは、認定講師とともに個別指導で共感ストーリーメソッドを使った志望動機、自己PRを一緒に作成。面接における伝え方の指導も行い、NHKキャスターや地方民放局アナウンサーの内定に導いている。現在は一般企業の転職など選ばれる人になるサポートや講演活動を行っている。

著書に『「たった1人」に選ばれる話し方』『転職は話し方が9割』(ともにstandards)がある。

共感ストーリーは株式会社STORYの登録商標です。

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