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貢献利益とは?限界利益との違いや関連用語、高め方を解説

U-NOTE編集部

2023/09/29(最終更新日:2023/10/23)


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貢献利益とは、商品やサービスをひとつ販売したときに得られる利益のことです。商品・サービスの収益性を確認できます。

本記事では貢献利益とは何か、計算式や限界利益との違いと併せて解説。損益分岐点や粗利益などの関連用語や、貢献利益を高める方法も紹介します。

本記事の内容をざっくり説明
  • 貢献利益とは何か、計算方法と併せて解説
  • 貢献利益の関連用語
  • 貢献利益を高める方法

 

貢献利益とは?

貢献利益とは、商品やサービスひとつあたりの利益のことです。商品を売ったりサービスの契約を結んだときに出た売上から、原価や販売のためにかかる費用を差し引いた利益を指します。

貢献利益を分析することで、商品・サービスごとの原価や利益率も把握できます。過去から現在までのデータを俯瞰することで、商品・サービスやマーケティングの改善点も見えてくるでしょう。

貢献利益の計算式

貢献利益の計算式は次の通りです。

貢献利益の計算式
  • 売上高-変動費-直接固定費=貢献利益

詳しくは後述しますが、この計算式に含まれる「変動費」と「直接固定費」とは経費のことです。

変動費とは売上に比例して増減する経費のことで、商品の原価や販売にかかる各種費用などのことです。

直接固定費は「売上に比例せず、固定でかかる経費=固定費」の一種で、その商品・サービスだけに必要な費用を指します。

限界利益との違い

貢献利益と似た用語として「限界利益」が挙げられます。広義ではこれらは同じ意味として捉えられますが、狭義では計算式も意味も異なります。限界利益の計算式は次の通りです。]

限界利益の計算式
  • 売上高-変動費=限界利益

貢献利益と異なり、限界利益の計算では、その商品・サービス固有の固定費である「直接固定費」を差し引きません。

詳しくは後述しますが、限界利益は黒字と赤字の境界線である「損益分岐点」と密接に関わった指標です。商品・サービスをひとつ販売したときに回収できる固定費を指します。

 

貢献利益の関連用語

貢献利益と併せて知っておきたい用語を紹介します。これらについて理解することで、経営について考えやすくなるはずです。

貢献利益率

貢献利益率とは、売上高のうち貢献利益が占める割合のことです。貢献利益率の計算式は次の通りです。

貢献利益の計算式
  • 貢献利益/売上高×100=貢献利益率

たとえば売上高が1,000万円、貢献利益が400万円の場合、貢献利益率は40%となります。この値が高いほど、商品・サービスの収益性は高く、より多くの固定費を回収できていることになります。

直接固定費と間接固定費

固定費は「直接固定費」と「間接固定費」の2つに分けられます。

直接固定費はその商品・サービスだけに必要な費用を指します。具体的には、商品・サービスの広告宣伝費、その商品・サービスの製造・提供に関わる従業員の人件費などです。

間接固定費は商品・サービスごとではなく、会社全体にとって必要な固定費のことです。具体的にはオフィスの家賃や、バックオフィスをはじめとする全社に関わる部門の従業員の人件費などがあります。

損益分岐点

損益分岐点とは、売上高とすべての費用の合計額が同じになる点、つまり損益がゼロとなる売上高のことです。簡単にいえば、売上が損益分岐点を超えるまでは赤字、超えてからは黒字となります。

損益分岐点を求めるために欠かせないのが、先述の「限界利益」です。限界利益の計算式を、もう一度確認しておきましょう。

限界利益の計算式
  • 売上高-変動費=限界利益

経費には「売上高に比例する変動費」と「売上高によらず決まった費用がかかる固定費」があります。限界利益の計算に必要な変動費には、ラーメンの材料費や水光熱費などが含まれます。固定費は売上にかかわらず決まった金額がかかる費用で、店舗の家賃や人件費などのことです。

たとえば1杯1,000円でラーメンを提供しているラーメン屋があるとしましょう。1杯のラーメンを作るのに必要な材料費や水光熱費などの合計(変動費)は400円だったとします。この場合、「1,000円-400円=600円」で、限界利益は600円となります。

この限界利益の合計が固定費と同じになる点が、損益分岐点です。

家賃や人件費などの合計(固定費)が30万円のお店なら、限界利益600円のラーメンを500杯売れば、固定費を回収できます。ラーメン1杯の売上高は1,000円のため、「1,000円×500杯=500,000円」で、損益分岐点は売上高50万円となります。

粗利益

粗利益とは、売上から売上原価を差し引いた利益のことで、次の計算式で求められます。

粗利益の計算式
  • 売上高-売上原価=粗利益

この売上原価には、変動費と固定費の両方が含まれます。商品・サービスを販売するために生じたすべての経費を差し引き、残った利益が粗利益です。

 

貢献利益を高める方法

貢献利益を高めることで、商品・サービスの収益性を高められます。貢献利益は商品・サービスひとつあたりの利益であるため、売上(販売数)を増やす以外にも、変動費を削減することで高められます。

仕入れ単価を下げる

貢献利益を高めるための最もわかりやすい方法は、仕入れ単価を下げることでしょう。大量仕入れにより商品ひとつあたりの単価を下げてもらう、1つの取引先からの仕入れ数を増やすために取引先を絞り込むなどの方法が考えられます。

取引先と交渉する

大量仕入れ以外にも、仕入れ単価を下げる方法はあります。たとえば支払い方法を手数料のかからない現金払いに変える、締め日から支払日までを短くするなどの交渉をすることで、取引先が単価交渉に応じてくれるかもしれません。

在庫管理について見直す

在庫を過剰に抱えてしまったり、廃棄商品が多かったりしては、その分貢献利益も下がってしまいます。大量仕入れにより仕入れ単価を下げることも大切ですが、これと同時に、在庫管理を徹底することも忘れてはいけません。

在庫管理の方法を見直し、販売と仕入れのバランスを取りましょう。

 

貢献利益を計算し、経営について見直そう

本記事のまとめ
  • 貢献利益とは、商品やサービスをひとつ販売したときに得られる利益のこと
  • 貢献利益や限界利益を把握し、経営判断の指標にしよう
  • 仕入れ単価や在庫管理を見直し、貢献利益を高めよう

貢献利益は商品やサービスをひとつ販売したときに得られる利益のことです。会社全体の赤字・黒字ではなく、商品・サービス単位の赤字・黒字や収益性を確認できます。

貢献利益のほかにも、限界利益や損益分岐点など、経営に関わる指標にはさまざまなものがあります。これらの計算方法や意味について理解し、経営判断に役立てていきましょう。

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