就活の選考方法として取り入れられている「グループディスカッション」。3〜10人程度のグループで、与えられたテーマに対して議論を行い、結論を出します。制限時間内で結論を出す必要がある他、議論している最中の参加者の態度が評価されるのが特徴です。
本記事では、そんな「グループディスカッション」について解説。6つの議論形式の特徴やテーマの例、グループディスカッションを成功に導く7つのポイントもご紹介しています。グループディスカッションに苦手意識を持っている学生はぜひ本記事を参考にしてみてください。
- グループディスカッションで面接官が注目しているポイントとは
- グループディスカッションで議論するテーマの例をご紹介
- グループディスカッションで用いられる6つの議論スタイルとは
グループディスカッションとは
「グループディスカッション」とは、学生を複数人のグループに分けてテーマを与えて議論させ、グループとしての結論を出させる就活の選考方法のことです。グループの人数は3人から多くても10人と幅があります。
中には、議論で導いた結論をグループごとに発表させる場合もあります。グループディスカッションのテーマは当日発表されるため対策のしようがないと思われがちですが、評価されるポイントを理解し、ある程度準備をしておけば気持ちに余裕を持って取り組めます。
就活でグループディスカッションが行われる目的
グループディスカッションは、通常の面接とは違いグループ内の立ち振る舞いや参加する際の姿勢などを見ることができる選考方法です。企業は議論が行われている間、何をチェックしているのでしょうか。就活でグループディスカッションが行われる目的を解説します。
協調性・コミュニケーション能力をはかる
グループディスカッションで面接官が最も重視しているのが、協調性やコミュニケーション能力の有無です。社会人として企業で働く上では、周囲の人との関わりは避けられません。
グループディスカッションでは、通常の1対1の面接では測ることができない協調性を見ることができます。実際に自社で働いた際のイメージがしやすいため、就活の選考方法として積極的に用いられています。
論理的思考・ビジネスや社会情報を把握しているのかを判断する
論理的思考ができるかどうかや、ビジネスや社会情報を把握しているのかどうかを判断する目的でも、グループディスカッションは用いられます。
論理的思考力は、グループのメンバーが内容を理解できるように議論を進められているかという点に注目します。発言の質と言い換えても良いかもしれません。根拠の土台作りから結論まで、論理的に話の内容が構築されているかどうかを面接官は見ています。
これから社会人の1人として活躍する上で、ビジネスのトレンドに敏感であることも就活では大切なポイントです。就活生の時点で社会情報を把握している学生は、社会人になった後も知識を学ぶことに意欲的な傾向が高く、活躍が期待されます。
積極性があるか判断する
グループディスカッションでは、積極性の有無も判断されます。議論に協力的で、積極的な発言があるかどうかを面接官は見ています。
ただし、発言の量が多ければ良いというものではありません。発言することに重きを置きすぎると、周囲への配慮に欠けていると見られることがあります。大切なのは自身の発言が結論を導くことに繋がっているかどうかです。周囲の意見を聞きながら、議論に積極的に取り組むことが大切です。
一度に多くの学生を選考できる
一度に多くの学生を選考できるのも、グループディスカッションが行われる目的のひとつです。
通常の面接では、1時間をかけて選考できる学生は1人のみ。自社の風土に合っているか人材か、活躍できそうかなどをじっくりと判断できるメリットはあるものの、選考人数が多いとその分時間がかかってしまいます。
一方、グループディスカッションであればあらかじめ設定されている判断軸に基づいて、一度に複数人の学生を選考することが可能です。選考の序盤で用いることで、ある程度学生を選抜できます。
グループディスカッションの流れ
グループディスカッションの流れは大きく6つに分けられます。役割決め・タイムスケジュールの設定・意見の出し合い・内容の整理・結論決定と発表の準備・発表が大まかな流れです。
グループディスカッションには、30〜40分という制限時間が設けられています。時間内で効率的に議論しなければならないため、最初の役割決めやタイムスケジュールの設定は6つのステップの中でも重要なポイントです。
役割には得意・不得意があるかと思いますが、スムーズな議論を実現するためにはどんな役割もこなせるように対策や準備をしておきましょう。
関連記事:グループディスカッションの進め方と役割|役割別の評価ポイントも解説
グループディスカッションの6つのテーマ種類別の特徴
グループディスカッションには、6つの議論スタイルがあります。当日、どの形式が用いられても対応できるように、ディスカッションタイプごとの特徴や出題可能性があるテーマ、面接官が重視するポイントは押さえておきましょう。
1.課題解決型
「課題解決型」は、与えられた課題の解決策を議論するタイプのグループディスカッションです。
<課題解決型のテーマ例>
- 新規事業の売り上げを2倍にするには?
- 労働人口が減少する日本で優秀な人材を確保するには?
- 女性の役員率を向上するには?
- 新商品の認知獲得のために最適な施策とは?
課題解決型では、業界や企業の研究成果が問われます。実現可能性は重要ではなく、根拠や具体的な数値に基づいた納得感のあるアイデアが出せるかどうかが重視されます。
2.ディベート型
「ディベート型」は、与えられたテーマに対して2つの派閥に分かれて議論するタイプのグループディスカッションです。
<ディベート型のテーマ例>
- 定年の年齢は引き上げるべきか?
- 仕事で大切なのはお金か、やりがいか
- 消費税は減税するべきか?
- 日本にも安楽死制度を導入するべきか?
ディベートのお題は、ライトなものから簡単に結論を出すのが難しいものまで幅広く出題されます。ディベート型で重視されているのは議論に勝つことではなく、相手の意見に耳を傾けながらグループ全体の意見としてまとめる力があるかどうかです。
3.自由討論型
「自由討論型」は、選択肢や答えのない抽象的なテーマが与えられ、それについて自由に意見を出し合いながら議論するタイプのグループディスカッションです。
<自由討論型のテーマ例>
- 成功する人の特徴とは?
- オフィスを移転するとしたらどこが良いか?
- 1億円をもらったらどうするか?
- 働く意味とは何か?
自由討論型は各々が自由に意見を出し合うため、話が脱線しやすくなります。軌道修正力や議論を進める力、言語化能力などがあるかどうかが重視されます。
4.選択肢型
「選択肢型」は、テーマに対していくつかの選択肢が与えられ、その中から答えを決めたり優先順位をつけたりするために議論を行うタイプのグループディスカッションです。
<選択肢型のテーマ例>
- 無人島に何を持っていくか?
- 仕事、恋愛、友情、家族に優先順位をつけてください
- 自身が面接官だとしたら5人の学生の中で誰を採用するか?
2つ以上の選択肢から、自身の考えに合うものを選択するのが特徴です。選択肢型では、グループ内での意見が分かれた際に多数決ではなく議論を行い、メンバー全員が納得できる結論を導き出せるかが重視されます。
5.フェルミ推定型
「フェルミ推定型」は、与えられたテーマに対して持っている情報や知識、データを用いて推論を立てて、論理的に計算を行い、数量という形で結論を出すタイプのグループディスカッションです。
<フェルミ推定型のテーマ例>
- 都内にあるスターバックスの1日の売り上げは?
- 都内で家庭用自動車を保有している世帯の数は?
- 日本で飼われている猫は何匹いる?
- 日本の大学生は何人いる?
フェルミ推定型のグループディスカッションで見られているのは、正確な数値を出せるかどうかではありません。正しい答えを出すことが難しい問題に対する基礎知識の有無や、仮説を立てる能力、計算能力などが重視されます。
6.実物作成・企画立案型
「実物作成・企画立案型」は、成果物を作成することを目的とするタイプのグループディスカッションです。
<実物作成・企画立案型のテーマ例>
- 1組のトランプを使ってできるだけ高いタワーを作ってください
- 積み木を組み立てて指定の形を作ってください
- 新商品の認知を高めるためのPR施策を考えてください
- 地方創生イベントの企画書を作成してください
実物作成では、イメージする制作物に近づいているかをPDCAを用いて確認・修正する能力の有無が評価されます。一方、企画立案型では、企業のポジションを考慮してビジネス的な観点から抜け漏れのない企画を作成できているかどうかが重視されます。
グループディスカッションを成功させる7つのポイント
グループディスカッションの流れや与えられるテーマなどを理解した後は、選考を有利に進めるための7つのポイントも押さえておきましょう。
- ポイント1.自分に適した役割を見極める
- ポイント2.話し合いに参加するときの態度に気を配る
- ポイント3.意見を伝えて通すのではなく、相手の意見も受け止める
- ポイント4.NGな行動・発言を行わない
- ポイント5.普段からニュースを見て、自分の意見を考える
- ポイント6.インターンや選考に参加して実践を積む
- ポイント7.他の人のGOODな発言や、態度を取り入れる
発言の量や質だけでなく、話を聞く際の態度や相手の意見の受け止め方なども面接官に評価されるポイントです。それぞれのポイントの詳細を紹介していきます。
ポイント1.自分に適した役割を見極める
グループディスカッションを成功させる1つ目のポイントは、自分に適した役割を見極めることです。
グループディスカッションでの役割は、主に司会進行・タイムキーパー・書紀・発表者・その他に分けられます。グループの人数によっては、必ず役割が割り振られる可能性があります。自分に適した役割であればスムーズに議論を進行できるため、予行演習をして自分が得意な役割を知っておきましょう。
得意な役割がグループ内でかぶってしまった場合に対応できるよう、全ての役割を一度は体験しておくことも大切です。
関連記事:グループディスカッションの進め方と役割|役割別の評価ポイントも解説
ポイント2.話し合いに参加するときの態度に気を配る
グループディスカッションを成功させる2つ目のポイントは、話し合いに参加するときの態度に気を配ることです。
発言時はもちろんのこと、他のメンバーの意見を聞いているときの態度も面接官はチェックしています。相手の方を見て話を聞いているか、適度に相槌を打っているかなど、周囲に配慮しつつも議論に積極的に参加している姿勢を示すことが大切です。
ポイント3.意見を伝えて通すのではなく、相手の意見も受け止める
グループディスカッションを成功させる3つ目のポイントは、意見を伝えて通すのではなく、相手の意見も受け止めることです。
いくら発言内容が良くても、他者の意見を聞く耳を持たないと判断されてしまえば、選考を突破するのは難しくなります。自分の意見を強引に押し通そうとする態度は、グループディスカッションにおいてマイナスイメージに繋がります。
自分の意見が正しいと思っていても、そこをグッと堪えて相手の意見に耳を傾け、ひとつの意見として受け止める心の余裕を持つように意識しましょう。
ポイント4.NGな行動・発言を行わない
グループディスカッションを成功させる4つ目のポイントは、NGな行動や発言をしないことです。
NGとされている行動の例としては、足を組む・腕組みをする・頬杖をつく・髪をいじるなどがあげられます。議論への参加意欲が感じられず、面接官にマイナスなイメージを持たれてしまいます。
NGとされている発言の例としては、論破する・テーマとは関連性のないアイデアを出す・伝わりにくい横文字を使うなどがあげられます。どの発言も議論を止めてしまいかねません。時間を浪費してしまうような発言や、相手が不快に思う可能性のある発言は避けてください。
ポイント5.普段からニュースを見て、自分の意見を考える
グループディスカッションを成功させる5つ目のポイントは、普段からニュースを見て、自分の意見を考えておくことです。
当日与えられるグループディスカッションのテーマの多くは、社会問題や企業課題に関連しています。中にはライトなテーマもありますが、そうしたテーマと比べて抽象的なテーマは普段から意見を考えておかないといきなりは対応することができません。
ニュースを見たら必ず自分の意見を考えることを習慣化しておくと、難題が与えられた際にもスムーズに議論に参加できます。
ポイント6.インターンや選考に参加して実践を積む
グループディスカッションを成功させる6つ目のポイントは、インターンや選考に参加して実践を積むことです。
苦手意識が強い学生も多いグループディスカッションですが、対策として一番有効なのは実践経験を積むことです。就活仲間と練習を重ねるのもおすすめです。慣れておくことで本番も緊張しすぎたり焦りすぎたりすることなく、自然体で臨めます。
ポイント7.他の人のGOODな発言や、態度を取り入れる
グループディスカッションを成功させる7つ目のポイントは、他の人のGOODな発言や態度を取り入れることです。
グループディスカッションでは発言量に加えて、発言の質もチェックされています。練習や実践経験を重ねる中で、良いと感じた発言やふるまいは積極的に取り入れて次の機会に活かしましょう。
例えば、話し合いが行き詰まったときに違う視点から案を出してみたり、状況が混乱しそうなときに全体の意見の方向性をまとめたりする言動は、プラスに評価されやすい傾向があります。
自信を持ってグループディスカッションに参加できる準備をしよう
- グループディスカッションでは積極性や論理的思考力などがチェックされている
- グループディスカッションには6つの議論スタイルがある
- グループディスカッションにはNGな発言や言動がある
グループディスカッションに最初は慣れなくても、実践を重ねることで対応力を身に付けることができます。テーマは当日にならないと分かりませんが、どんなテーマが与えられても積極的に参加できるようにするためには準備が大切です。
本記事を参考に、全体の流れや面接官が注目しているポイント、ディスカッション形式の特徴は必ず理解しておき、自信を持ってグループディスカッションに参加しましょう。
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