就活の選考方法のひとつである「グループディスカッション」。数人単位のグループに分かれて、与えられたテーマについて議論し、グループごとの結論を導き出します。その過程で学生一人ひとりの姿勢が評価されます。
本記事では、そんなグループディスカッションの進め方について解説。具体的な9つのステップや、役割別の評価ポイントについてもご紹介しています。これからグループディスカッションが控えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
- グループディスカッションの基本の進め方を解説
- 役割ごとの評価ポイント・注意点とは?
- 役割の決め方をご紹介
グループディスカッションの進め方9ステップ
グループディスカッションは進め方がある程度決まっています。9つのステップを覚えておけば、当日焦ることなく取り組めます。結論を出すことに集中するためにも、グループディスカッションの進め方を把握しておきましょう。
- STEP1.グループディスカッションの説明を聞く
- STEP2.自己紹介・役割分担
- STEP3.タイムスケジュール(時間配分)の決定
- STEP4.課題やテーマの定義・前提の確認を行う
- STEP5.最終的なゴールを決める
- STEP6.意見・アイデアを出す
- STEP7.意見・アイデアを整理・まとめる
- STEP8.発表の準備
- STEP9.発表
STEP1.グループディスカッションの説明を聞く
まずはじめに、面接官からグループディスカッションの説明を聞きます。
グループディスカッションは選考方法のひとつであり実施時間も定められているので、説明は端的に行われることがほとんど。全体の流れやグループ分け、議論するテーマの発表、結論の発表方法などが説明されるため、きちんと聞きましょう。
同じグループディスカッションでも企業によって細かな内容は異なるので、説明を聞いていないと致命的なミスに繋がりかねません。
STEP2.自己紹介・役割分担
指定のグループに分かれたら、同じグループの学生と自己紹介をし合いましょう。挨拶をすることで緊張がほぐれ、議論がしやすくなります。
- ◯◯大学◯◯学部の◯◯です。緊張していますが、積極的に意見ができればと思っています。協力して良い議論にしましょう。よろしくお願いします。
短い挨拶で構わないので、大学・学部・氏名は必ず伝えます。グループディスカッションへの意気込みがあれば、自己紹介に軽く付け足しても良いでしょう。
STEP3.タイムスケジュール(時間配分)の決定
次に、時間配分を決めます。役割決めから発表準備までが制限時間内に含まれることが多く、制限時間は30〜45分程度が一般的です。
- 役割決め:3分
- テーマの確認と最終ゴールの確認:7分
- アイデア出し:15分
- アイデアをまとめる:15分
- 発表準備:5分
決められた時間の中で結論を出すためには、どのステップにどの程度の時間を割り当てるかを明確にする必要があります。万が一、議論が白熱した場合でも決めたタイムスケジュール通りに内容をまとめることを、グループ内で最初に合意を取りましょう。
STEP4.課題やテーマの定義・前提の確認を行う
時間配分を決めた後は、課題やテーマの定義・前提の確認を行います。この確認と認識のすり合わせを怠ると議論がうまく進まないどころか、議論のやり直しすら発生しかねません。
5W1Hの形式を活用して前提のすり合わせを行います。例えば、「自社製品を20代女性にアプローチする最適な施策は何か」というテーマが与えられた場合、下記のように内容を整理できます。
- Who(誰が):日本の20代女性
- What(何について話し合うのか):◯◯企業の◯◯という製品
- Why(目的は何か):製品の認知を高めるPR施策
- When(施策を行う時期):来年の冬
- Where(どこで実施するのか):東京
- How(どのように考えるのか):利用者アンケートを実施してユーザーニーズを深堀する
STEP5.最終的なゴールを決める
アイデアを出す前に、最終的なゴールを決めることも重要なポイントです。
5W1Hを用いてテーマを掘り下げたら、その内容を元に最終的なゴールを決定します。上記の条件であれば「来年の冬、東京で実施する20代女性をターゲットにした◯◯企業の◯◯という製品のPR施策を考える」のがゴールとなります。
課題やテーマの定義や前提をしっかりとすり合わせておくと、最終的なゴールもスムーズに決定できます。
STEP6.意見・アイデアを出す
議論を行う前の準備が終わったら、意見やアイデアを出していきます。思いついた案をとにかく数多く出し合います。自由な発想で意見を出すことでグループの雰囲気が良くなり、議論のしやすさがアップします。
書記を担当している学生は自分も意見を出しながら、メンバーが出したアイデアを書き留めていきます。
STEP7.意見・アイデアを整理・まとめる
あらかじめ決定したタイムスケジュールに沿って意見を出したら、内容のまとめを行います。
まずは、アイデアを整理しましょう。抽象度が高い順に並べたり、実現可能性が高いものに絞ったりするのがおすすめです。共通点を見つけてグルーピングするとアイデアを整理しやすく、また結論の方向性も見えてきます。
アイデアが整理できたら、結論をまとめる段階です。グループ全員が納得できる結論を導きます。
STEP8.発表の準備
発表者は、発表の準備を行います。ここで明らかにしておきたいのは根拠の部分です。グループで導き出した結論の根拠を論理的に説明する必要があります。
具体性を意識すると、他のグループと差別化できるといわれています。施策であれば具体的な手段まで落とし込みます。施策実施後の成果を数字で表現するのも良いとされています。
STEP9.発表
最後に発表を行います。「PREP法」と呼ばれる説明法を活用すると、面接官や他のグループの学生に対して納得感を与える説明ができます。
- Point(結論)
- Reason(理由)
- Example(具体例)
- Point(結論を繰り返す)
PREP法を意識して説明を行いつつ、チームへの感謝を述べると好印象です。
グループディスカッションの役割の種類
グループディスカッションを行う際、最初に決めるのが役割です。議論を円滑に進行するためには、割り振られた役割に求められていることを理解することが大切。7つの役割と仕事内容、特徴をご紹介します。
ファシリテーター
「ファシリテーター」は、議論の内容をまとめたり、メンバー全員が意見を出せるように話を振ったりする司会進行の役割があります。グループ内の中心的な存在のため目立ちやすいのが特徴です。
タイムキーパー
「タイムキーパー」は、制限時間内に結論を出せるように時間をコントロールする役割を担っています。課題の確認から議論、内容をまとめて結論を出す時間と配分を行うのもタイムキーパーの仕事。時間を管理しながら自身も議論に参加する必要がある点を留意して置きましょう。
書記
「書記」は、メンバーが出した意見や議論の流れを書き留める役割があります。書記のメモは発表時に活用されるため、グループにとって重要なポジションです。タイムキーパー同様、議論に参加しながら書記の仕事もしなければならないため、やや難易度が高い役割とされています。
アイデアマン
「アイデアマン」は、名称の通りさまざまなアイデアを出す役割を担っています。議論を活性化させる目的で設置されており、積極的に発言することが求められます。アイデアの質よりも量やテーマとの関連性が重視されるポジションです。
監視役
「監視役」は、ディスカッションの流れが与えられたテーマや課題からズレていないかどうかを監視する役割です。タイムキーパーと兼任することが多くあります。論点がズレそうになったらさりげなく指摘を行い、軌道修正します。
発表者
「発表者」は、グループディスカッションで出した結論を発表する役割です。大勢の前で発表するため、プレゼン慣れしている学生や物怖じしない性格の学生が担当することの多いポジションです。
役割なし
グループディスカッションの人数が多ければ、役割がないケースもあります。その場合は、積極的に意見を出し、議論を進めることを意識しましょう。臨機応変な姿勢が求められ、時には役割がある学生のサポートも行います。
【役割の種類別】評価されるポイントと注意点
グループディスカッションには複数の役割があります。役割による有利・不利などの差はありませんが、評価されるポイントは異なります。各ポジションの意識したい点と注意点をご紹介します。
ファシリテーター
グループのリーダーとして円滑な議論の進行を行うのがファシリテーターです。発言量が自然と多くなるポジションですが、どんな振る舞いが評価されるポイントなのでしょうか。
■評価ポイント
- 論理的思考力
- リーダーシップ
- 意見をまとめる能力
- 意見を引き出す能力
- 周囲への配慮
- グループの雰囲気づくり
- 傾聴力
- 臨機応変な対応力
ファシリテーターは目立つポジションである分、評価ポイントが多いのが特徴です。同じグループの学生が意見を出しやすいように雰囲気を作ったり、控えめな学生がいれば話を振るなど、周囲に気を配りながら意見をまとめるリーダーシップが必要です。
■注意点
ファシリテーターの注意点は、自己主張をしすぎないことです。あくまでも司会進行役であり、メンバーの意見を引き出したり、意見をまとめたりする役割であることを十分に理解しましょう。
自身の意見を強引に押し通そうとするとグループの雰囲気が悪くなり、議論が停滞します。良い議論を行うには、全員の協力が必要です。自分1人が目立てば良いというものではありません。
タイムキーパー
グループディスカッションにおいて時間管理を行うタイムキーパー。時間管理だけすれば良いかと思いきや、他にも評価ポイントがいくつかあります。
■評価ポイント
- 時間管理能力
- 時間調整スキル
- 段取りを行う能力
- 他のメンバーへのサポートができているか
タイムキーパーは主に時間管理力が評価ポイントです。議論に参加しながら時間配分を行い、適宜残り時間を伝えます。発表準備の時間を確保しなければならないため、時間調整や臨機応変な対応も必要なポジションです。
■注意点
時間管理に気を取られてしまい、議論へ参加できないことにならないようにするのが注意点。逆に、議論を中断してしまうことを恐れて、必要なタイミングで残りの時間配分をメンバーに伝えられないこともないようにしましょう。
書記
議論の内容やメンバーの意見をメモするのが書記の役割です。発言しつつ書記も行うため他の役割に比べて作業は多いですが、その分グループへの貢献度が高いのが特徴です。書記の評価ポイントは、書記業務と発言量の主に2つです。
■評価ポイント
- 要点をまとめる能力
- メモを取るスキル
- 聞き取り力
- 文章化する能力
- タイピングスキル
書記が書き留めたメモは発表前の準備に使われます。今までに出た意見や議論の方向性を確認するため、要点がわかりやすくまとめられているかどうかが評価ポイントになります。
■注意点
書記はメモを取る作業が発生するため、発言量が少なくなる傾向があります。メモを取りつつ、自分の意見も出せるように注意してください。
アイデアマン
グループの良い雰囲気づくりが主な役割のアイデアマン。発言量の多さが評価される役割ですが、他にも評価されるポイントがいくつかあります。
■評価ポイント
- 多角的な視点での発言
- 意見しやすい雰囲気づくり
- 発言量
- グループへの貢献度
グループディスカッションのメンバーはお互いに初対面です。最初は意見が出しにくいため、アイデアマンが積極的に発言し場の雰囲気をあたためます。グループの空気を良くすることが求められるため、発言の質ではなく量や貢献度が評価されます。
■注意点
議論に刺激を与える発言は評価されますが、テーマからズレた発言が多いとメンバーを混乱させてしまうので注意。自身の発言によって議論が活性化されているかを注意深く観察しながら、多角的な視点でさまざまなアイデアを出していきましょう。
監視役
議論が白熱して論点がズレた際、軌道修正を行う監視役。冷静な判断力と傾聴力がある人物に割り当てられます。役割の特性上、評価ポイントは少なく、注意点が多いのが特徴です。
■評価ポイント
- 軌道修正力
- 傾聴力
- 冷静な判断力
監視役の評価ポイントは、議論の進行のコントロールができているかどうかです。論点がズレていることを指摘し、軌道修正ができているかどうかも面接官に見られています。
■注意点
指摘内容や表現方法が攻撃的にならないよう注意が必要。議論のコントロールは大切ですが、メンバーが意欲をなくすような発言は悪い印象を与えてしまいます。正論であっても言い方や態度には十分注意してください。
発表者
グループ内で出した結論を発表するのが発表者の役割。積極性があり、人前での発言に慣れているプレゼンスキルの高い学生に担当が割り振られます。ファシリテーター同様、注目を集めやすいポジションのため、評価ポイントも多い傾向があります。
■評価ポイント
- 積極性
- プレゼンスキル
- トークスキル
- 説明能力
グループの結論をわかりやすく説明することはもちろんのこと、自分の言葉で伝えることが主な評価ポイント。書記がまとめた原稿をそのまま読むのではなく、他のグループの学生や面接官の反応を見ながら噛み砕いて説明できているかどうかが評価されます。
■注意点
発表中の声の大きさや話すスピードは要注意ポイント。また、発表者の役割は発表だけではありません。議論に積極的に参加する姿勢ももちろん面接官に見られています。
役割なし
役割なしであっても評価されるポイントはたくさんあります。役割の有無で選考に有利・不利はなく、いかにグループに貢献できたかが重要です。
■評価ポイント
- 積極性
- グループへの貢献度
- 協調性
- 役割がある学生のサポートの有無
- 発言量
役割なしの場合、議論への積極性が主な評価ポイントとなります。役割があるメンバーをサポートするのも好印象。タイムキーパーに残り時間を聞いたり、意見していないメンバーに話を振ったりできるとなお高く評価されます。
■注意点
役割に対して執着しすぎないことを意識してみてください。役割なしとは、言い換えればどんな役割もこなせるということです。得意なポジションを取られた、他のメンバーのサポートはしたくないと意固地になることは避けましょう。
グループディスカッションの役割の決め方
グループディスカッションにおける役割の決め方には、2つの方法があります。立候補制もしくは指名制です。基本的には立候補制で決めるのが良いとされています。万が一、立候補がない役職がある場合は、積極的にその役割につきましょう。
指名制は立候補がない場合の最終手段です。その際は、ファシリテーターに自分が立候補し、他のメンバーに役割を割り当てます。なるべく話し合って決めるのが良いので、ただ適当に指名するのではなく、メンバーが納得して受け入れやすい理由も添えて指名を行いましょう。
グループディスカッションで役割を検討するときの3つのポイント
グループディスカッションで役割決めに使える時間は最大でも5分程度。時間をかけずに決めることができれば、余った時間を議論に充てられます。3つのポイントを押さえて、スムーズに役割を決めましょう。
グループディスカッションで役割を検討するときの3つのポイント
ポイント1.自分に適した役割を把握しておく
ポイント2.担当したい役割がかぶったときの対策をしておく
ポイント3.役割分担で揉めたときの対策を検討しておく
ポイント1.自分に適した役割を把握しておく
グループディスカッションで役割を検討するときの1つ目のポイントは、自分に適した役割を把握しておくことです。
就活の本番を迎える前に全てのポジションを経験しておき、自分が得意な役割を知っておきましょう。そのときに大切なのは、なぜ得意なのか理由も考えることです。役割決めで立候補する際に理由を添えられると、同じグループの学生から安心して役割を任せてもらえます。
ポイント2.担当したい役割がかぶったときの対策をしておく
グループディスカッションで役割を検討するときの2つ目のポイントは、担当したい役割がかぶったときの対策をしておくことです。
立候補制で得意な役割がかぶってしまったら、他のメンバーに譲ることを検討してみてください。その際、他のどの役割を担当したいのかも検討しておくようにしましょう。
ポイント3.役割分担で揉めたときの対策を検討しておく
グループディスカッションで役割を検討するときの3つ目のポイントは、役割分担で揉めたときの対応を検討しておくことです。
誰も立候補しなかったり、役割は決めなくても良いと言う人がいたりと役割分担で揉めた場合の対処法はいくつかあります。立候補者がいない場合は、自分がサポートするのでこの役割をお願いできないか提案しましょう。
役割を決めたくないと言う学生がいる場合は、役割決めの目的やメリットを共有して相手の説得を試みてください。どちらの場合もグループ内の雰囲気を悪くすることなく対処するのがポイントです。
グループディスカッションの流れと役割を把握しよう
- 9ステップを知っておけばグループディスカッションを円滑に進行できる
- 役割ごとに評価されるポイントと注意点が異なる
- グループディスカッションの役割決めは立候補制が基本
グループディスカッションは事前準備と対策が重要。全体の流れを把握しておけば、当日焦らずに議論に集中できます。役割に優劣はありませんが、評価されるポイントが異なるため、どの役割を割り振られても対応できるように注意点は知っておきましょう。
悔いのないグループディスカッションができるように、本記事を参考に議論開始から発表までの流れと役割について、しっかりと把握し、事前準備しておきましょう。
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