帝国データバンク(TDB)は8月25日(金)、中国政府が日本産水産品を全面輸入禁止した影響について調査。漁業や農業、食品加工などを行っている食品関連企業700社以上に影響を及ぼすと明らかにしました。
※調査結果は、中国本土のほか、「マカオ」「香港」両特別行政区も対象としています。
中国が日本産水産品を全面輸入禁止した背景
2011年の東日本大震災で放射性物質が拡散される事故が起きた東京電力福島第一原発(場所は福島県)。政府は8月22日(火)、原発の建屋内で発生する放射能汚染された水について、放射性物質「トリチウム」を除き一定の基準まで浄化し、速やかに海洋放出に向けて準備を進めるよう東京電力に要請しました。この要請を受け、東京電力は8月24日(木)、海への放出を始めたと発表しています。
廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議、ALPS処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた関係閣僚等会議|首相官邸
福島第⼀原⼦⼒発電所ALPS処理⽔の海洋放出開始について|東京電力
この海洋放出に反発した中国政府は同日、原産地を日本とする水産物(食用水生動物を含む)について全面輸入停止を行うと発表。これまでも中国政府や香港政府は、10都県の水産品や食品を輸入制限していましたが、より厳しい措置となります。
「中国市場は“最大の得意先”」
TDBによると、中国に輸出している日本企業を調査した結果、2023年8月現在で9270社に上りました(2019年比で83.7%増加)。そのうち、食品関連企業は727社、水産品関連企業は164社となりました。
中国国内で人気の高いナマコなどに加え、日本食ブームで日本産食品の中国への輸出量は近年増え続けており、全取引のうち中国向けの割合が50%を超える企業も多いそうです。
TDBは「『最大の得意(販売)先』として中国市場の存在感は大きい。食品輸出業者に加え二次・三次取引などを含めたさらに多くの企業で甚大な影響が及ぶとみられ、国内市場や代替輸出先の確保といった措置が急がれる」とコメントしています。
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